Scope3の15カテゴリ一覧|算定方法と関連記事をまとめて確認

2026.07.05
Scope3

「Scope3には15のカテゴリがあるらしいが、結局どれが自社に関係するのか分からない」――。この記事は、そんな悩みに応えるための一覧記事です。greenoteでは、Scope3の15カテゴリについて、個別の解説記事を公開してきました。カテゴリ1から15まで、すべての解説記事がそろいました。本記事は、その15カテゴリを上流8・下流7の枠組みで一覧整理するインデックスです。カテゴリ間の線引きや算定方法の傾向も整理しました。各カテゴリの詳しい解説記事へのリンクを、まとめて確認できます。どのカテゴリから読めばよいか迷っている方にも、地図として使っていただける内容です。まずは全体像から押さえていきましょう。

この記事の目次

Scope3の15カテゴリ全体像(おさらい)

個別カテゴリの解説記事を読む前に、まず全体の位置づけを確認しましょう。上流8・下流7という枠組みから入ります。この全体像を先に押さえておくと、次章以降の一覧表やカテゴリ間の線引きが、格段に理解しやすくなります。

Scope1・2・3と15カテゴリ

Scope1自社の直接排出
Scope2購入した電力等の間接排出
Scope3そのほかの間接排出(サプライチェーン全体)

Scope3は15カテゴリに分かれる

上流8カテゴリ

自社の活動より前に発生する排出。

下流7カテゴリ

自社の活動より後に発生する排出。

本記事は、この15カテゴリを一覧整理し、各カテゴリの解説記事にリンクするインデックスです。

出典:GHGプロトコルの公開情報をもとにgreenote作成

Scope1・2・3とカテゴリの関係

温室効果ガスの排出量は、Scope1・Scope2・Scope3の3つに分けて算定します。Scope1は自社の直接排出、Scope2は購入した電力等に伴う間接排出、Scope3はそのほかの間接排出です。GHGプロトコルとはで整理した通り、この3分類が算定の土台になる。

このうち、サプライチェーン全体を扱うScope3だけが、さらに15のカテゴリに細分化されている。Scope3とはで解説した通り、原材料の調達から製品の使用・廃棄まで、自社の外側で発生する排出を、活動の種類ごとに整理したものがこの15カテゴリです。多くの企業で、Scope3はScope1・2を合わせた排出量より大きくなる傾向があります。15カテゴリの内訳を知ることが、脱炭素の全体像をつかむ第一歩になる。

上流8カテゴリ・下流7カテゴリの枠組み

15のカテゴリは、大きく上流8カテゴリと下流7カテゴリに分かれる。上流は、自社が製品・サービスを生み出すより前に発生する排出です。購入した原材料や資本財、出張や通勤などが含まれます。下流は、自社が製品を販売・提供した後に発生する排出で、使用時のエネルギー消費や廃棄などが該当する。

「自社の主な活動の前か、後か」という視点を持つと、15カテゴリの位置づけが整理しやすくなる。次の章から、上流・下流それぞれの内容と、各カテゴリの詳しい解説記事を一覧で確認していきましょう。

上流8カテゴリ(カテゴリ1〜8)の一覧と解説記事

自社の外側、調達や購入の場面で発生する排出です。原材料や設備の調達から、出張・通勤といった従業員の移動まで、幅広い活動が含まれる。8カテゴリを一覧表で確認し、それぞれの詳しい解説記事へ進めるようにしました。

上流8カテゴリ(カテゴリ1〜8)

番号カテゴリ名・一言メモ
1購入した製品・サービス原材料や部品の調達
2資本財設備・機械・建物などの固定資産
3燃料・エネルギー関連活動Scope1・2に使う燃料・電力の上流工程
4輸送・配送<上流>自社が費用を負担する調達物流
5事業から出る廃棄物自社施設から出る廃棄物の外部処理
6出張従業員の出張に伴う移動
7雇用者の通勤従業員の通勤に伴う移動
8上流リース資産自社が借り手として使う資産

出典:GHGプロトコルの公開情報をもとにgreenote作成

カテゴリ1〜5の一覧

カテゴリ1「購入した製品・サービス」は、原材料や部品、外注サービスなど、調達に伴う排出です。多くの企業でScope3のなかでも大きな割合を占める。詳しくはカテゴリ1の解説記事で計算手法を確認できます。

カテゴリ2「資本財」は、設備・機械・建物といった固定資産の調達に伴う排出です。購入年に全量を計上する点が、カテゴリ1と異なる。カテゴリ3「燃料・エネルギー関連活動」は、Scope1・2で使う燃料・電力そのものの上流工程を扱う。採掘・精製・送配電ロスなどが対象です。カテゴリ4「輸送・配送<上流>」は、自社が費用を負担する調達物流を扱う。カテゴリ5「事業から出る廃棄物」は、自社施設から出る廃棄物を外部で処理する際の排出です。それぞれカテゴリ2カテゴリ3カテゴリ4カテゴリ5の記事で詳しく解説しています。

カテゴリ6〜8の一覧

カテゴリ6「出張」・カテゴリ7「雇用者の通勤」は、いずれも従業員の移動に伴う排出です。「人の移動」という共通点から、1本の解説記事にまとめている。出張は距離ベース法、通勤は従業員アンケートによる平均データ法が中心になる。

カテゴリ8「上流リース資産」は、自社が借り手として使うオフィスや設備の排出です。貸し手側の下流カテゴリ13と算定の考え方が共通するため、こちらも1本の解説記事で扱っている。上流8カテゴリは、これで一通り出そろいました。カテゴリ1〜8のうち、どれが自社にとって重要かは、事業内容によって大きく変わります。

下流7カテゴリ(カテゴリ9〜15)の一覧と解説記事

自社が販売・提供した後に発生する排出です。製品の輸送や使用、廃棄から、投資先の排出まで、自社の手を離れたあとの活動を扱う点が特徴になる。7カテゴリを一覧表で確認しましょう。

下流7カテゴリ(カテゴリ9〜15)

番号カテゴリ名・一言メモ
9輸送・配送<下流>自社が費用を負担しない販売後の物流
10販売した製品の加工売った中間製品が下流で加工される排出
11販売した製品の使用製品を使う段階の排出。多くの製造業で最大級
12販売した製品の廃棄製品が使用後に廃棄される排出
13下流リース資産自社が貸し手として提供する資産
14フランチャイズ本部が加盟店の運営排出を計上
15投資投融資先の排出(ファイナンスド・エミッション)

出典:GHGプロトコルの公開情報をもとにgreenote作成

カテゴリ9〜12の一覧

カテゴリ9「輸送・配送<下流>」は、自社が費用を負担しない、販売後の物流に伴う排出です。上流のカテゴリ4と対になる関係にあり、カテゴリ9の記事で線引きを整理している。カテゴリ10「販売した製品の加工」は、売った中間製品が下流の企業で最終製品へ加工される際の排出で、こちらの記事で扱う。最終製品を作る企業では、加工工程を持たないため「関連なし」と判断することも少なくありません。

カテゴリ11「販売した製品の使用」は、製品を使う段階の排出です。自動車や家電など、多くの製造業で最大級の排出源になりやすい。カテゴリ11の記事が詳しい。カテゴリ12「販売した製品の廃棄」は、製品が使用後に廃棄される際の排出で、カテゴリ12の記事で解説しています。

カテゴリ13〜15の一覧

カテゴリ13「下流リース資産」は、自社が貸し手として提供するオフィスや設備の排出で、前述の通りカテゴリ8と同じ記事で扱う。カテゴリ14「フランチャイズ」は、本部が加盟店の店舗運営に伴う排出を計上するカテゴリです。フランチャイズ事業を持つ企業に固有になる。カテゴリ14の記事で詳しく解説している。フランチャイズ事業を持たない企業では、このカテゴリはそもそも発生しません。

カテゴリ15「投資」は、投融資先が出す排出を、投じた側が計上するカテゴリで、主に金融機関が対象になる。ファイナンスド・エミッションと呼ばれ、カテゴリ15の記事でPCAFなどの考え方を整理しています。これで、下流7カテゴリも一通り出そろいました。

カテゴリ間の線引き――重複・二重計上を避ける整理

15カテゴリのなかには、似た活動を扱うカテゴリの組が複数あります。境界があいまいなままでは、同じ排出を二重に数えたり、逆に漏らしたりしかねない。ここで、代表的な3組の見分け方をまとめて確認しておきましょう。

似ているカテゴリは、ここで区別する

カテゴリ4と9

見分け方は輸送費用を自社が負担するか。負担する調達物流はカテゴリ4、負担しない販売後の物流はカテゴリ9。

カテゴリ8・13とScope1・2

組織境界(支配力基準など)の引き方で、資産がScope1・2に入るか、このカテゴリに入るかが決まる。

カテゴリ10・11・12

製品のライフサイクル段階(加工→使用→廃棄)で区別する。

境界の考え方を決めたら一貫して適用し、前提を記録することが二重計上を防ぐ。

出典:GHGプロトコルの公開情報をもとにgreenote作成

費用負担・契約の種類で分ける組

輸送系のカテゴリ4とカテゴリ9は、「輸送費用を自社が負担するか」で線引きする。自社が費用を負担する調達物流はカテゴリ4(上流)、費用を負担しない販売後の物流はカテゴリ9(下流)です。

他社が運営する拠点を扱うカテゴリ8・13とカテゴリ14は、「契約の種類」で見分ける。賃貸借(リース)契約に基づく資産ならカテゴリ8・13、フランチャイズ契約に基づく加盟店の運営ならカテゴリ14と整理する。契約書の性質を確認すれば、迷わず振り分けられます。

Scope1・2との境界にある組

カテゴリ8・13は、自社の組織境界(支配力基準など)の引き方が鍵になる。その引き方によって、Scope1・2に入るか、このカテゴリに入るかが決まる。境界の決め方を先に固めておくことが前提になります。

製品のライフサイクルを扱うカテゴリ10・11・12は、「加工→使用→廃棄」という段階で区別する。カテゴリ15の投資は、投資先の排出に帰属係数を掛けて自社の分だけを計上する。この仕組みのため、そもそも重複が起きにくい設計になっている。境界の考え方を一貫させ、記録に残すこと。これが、どの組み合わせでも共通する対策です。

算定方法の全体傾向――CDP回答に見る手法の分布

カテゴリの性質によって、実務で使われる算定方法には傾向があります。購入・調達系は支出ベース法、移動・輸送系は距離ベース法が中心になりやすい。CDPに開示された算定方法を、匿名・集計レベルで見渡すと、この傾向が見えてきます。カテゴリの分類と、使われる算定方法は、おおむね対応しているわけです。

カテゴリの性質と、主な算定方法

支出ベース法・ハイブリッド法が中心

対象:カテゴリ1・2(購入・調達系)

距離ベース法・平均データ法が中心

対象:カテゴリ3・4・6・7・9・12・14(移動・輸送・廃棄系)

資産別法・帰属係数などの専用手法

対象:カテゴリ8・13(リース資産)・15(投資)

CDP開示の匿名・集計データをもとにした大まかな傾向。個別企業の実態はこれと異なる場合がある。

出典:CDP・GHGプロトコルの公開情報をもとにgreenote作成

支出ベース法が中心のカテゴリ

カテゴリ1・2のような購入・調達系は、購入金額に排出原単位を掛ける支出ベース法が中心になりやすい。一部を活動量ベースに置き換えるハイブリッド法も使われる。CDPの回答傾向(匿名・集計)を見ても、この2カテゴリは支出ベース法の採用率が高い。

購入する製品・サービスの種類が多岐にわたるため、すべてを個別に追跡するのは難しい。金額をもとに簡便に見積もる方法が、実務的になりやすい背景です。もっとも、主要な購入先から実データを得られる部分は、より精度の高い方法に置き換えていくのが望ましい流れです。

距離ベース法・平均データ法が中心のカテゴリ

輸送を扱うカテゴリ4・9は、輸送量と距離を掛けたトンキロに、輸送モード別の原単位を掛ける方法が主流です。この距離ベース法は、上流・下流どちらでも共通して使われる。人の移動を扱うカテゴリ6・7も同様です。距離ベース法や、従業員アンケートによる平均データ法が中心になる。

カテゴリ8・13(リース資産)は、実績エネルギー量に係数を掛ける資産別法を使う。カテゴリ15(投資)は、投資先の排出量に帰属係数を掛ける専用の考え方を使う。カテゴリの性質によって、適した算定方法がある程度決まってくることが見えてきます。

どのカテゴリから着手すべきか――優先順位の考え方

15カテゴリを一度にすべて算定するのは、多くの企業にとって現実的ではありません。限られた人手と時間のなかで、どこから手をつけるかという着手の順番を考えます。

まず関連性、次に材料性

1

15カテゴリそれぞれの関連性を判断する。

2

関連なしなら理由を説明して除外する。

3

関連ありのなかから、材料性(自社にとっての重要度)が高いカテゴリを優先し、精度を上げていく。

一度にすべてを高精度で算定する必要はない。優先順位をつけて段階的に取り組む。

出典:GHGプロトコル・環境省の公開情報をもとにgreenote作成

関連性の判断が最初の一歩

まず取り組むのは、15カテゴリそれぞれが自社に関連するかどうかの判断です。フランチャイズ事業がなければカテゴリ14は関連なしになる。金融子会社を持たなければカテゴリ15の重要性も低い。こうした事業の実態に照らして見極めます。

GHGプロトコルは、関連性の低いカテゴリについて、理由を明示したうえで算定対象から除外することを認めている。無理にすべてを算定しようとするより、まず自社の事業構造を確認することが出発点になります。

材料性の高いカテゴリを優先する

関連ありと判断したカテゴリのなかでも、自社にとっての重要度(材料性)には差がある。製造業なら、購入した製品・サービス(カテゴリ1)の割合が大きくなりやすい。販売した製品の使用(カテゴリ11)も同様です。

環境省のグリーン・バリューチェーンプラットフォームも、優先順位をつけて取り組むことの重要性を示している。材料性の高いカテゴリから精度を上げ、他は簡便な方法から始めて段階的に精緻化する――。この進め方が、15カテゴリという大きなテーマに向き合う現実的な道筋になります。

Scope3の15カテゴリを俯瞰する

Scope3の15カテゴリは、上流8と下流7という枠組みで整理できる。上流は購入・資本財・燃料・輸送・廃棄・出張・通勤・リースの8つ。下流は輸送・加工・使用・廃棄・リース・フランチャイズ・投資の7つです。似たカテゴリの境界は、費用負担や契約の種類、組織境界、ライフサイクル段階といった軸で見分けられる。

算定方法にはカテゴリの性質による傾向があり、すべてを同じ精度でこなす必要はありません。まず関連性を判断し、材料性の高いカテゴリから優先的に取り組むのが現実的な進め方です。各カテゴリの計算ステップは、本記事からリンクした個別の解説記事をご覧ください。Scope3全体の考え方はScope3とは、ESGの全体像はESG完全ガイドもあわせてどうぞ。

なお本記事は、GHGプロトコル・環境省などの公開情報をもとに、15カテゴリの位置づけを整理したものです。特定のツールや製品を推奨するものではありません。CDPの算定方法に関する記述は、個社の回答内容を特定せず、傾向を匿名・集計レベルで一般化したものです。制度や係数は変わりうるため、算定時は最新の一次情報をご確認ください。

よくある質問(FAQ)

Q. 15カテゴリすべてを算定しなければいけませんか?

A. 該当しないカテゴリは「該当なし」と整理すれば足ります。上流8カテゴリ(1〜8)と下流7カテゴリ(9〜15)に分かれており、業種によって関係するものが大きく変わります。重要なのは網羅の主張ではなく、スコープ外とした判断の理由を説明できることです。

Q. カテゴリ間の二重計上はどう避けますか?

A. 線引きを先に決めることです。たとえば購入品の輸送費を自社が負担している場合、カテゴリ1(購入した製品・サービス)に含めるのかカテゴリ4(上流の輸送・配送)で数えるのかを決めておかないと、同じ排出を二度数えてしまいます。決めた線引きを文書化し、翌年も同じ基準を使うことが要点です。

Q. どのカテゴリから着手すべきですか?

A. まず全カテゴリを概算し、大きい順に精度を上げる進め方が定石です。一般に製造業ではカテゴリ1(購入品)とカテゴリ11(販売した製品の使用)、金融機関ではカテゴリ15(投資)が支配的になります。小さいカテゴリに精緻な算定をしても、総量の精度はほとんど動きません。

Q. どの算定手法が使われているのですか?

A. 実務では金額ベース(支出×原単位)から始め、影響の大きいところを物量ベースや取引先の実データに切り替える、という流れが多数です。金額ベースは安く買えば排出が減ったように見える弱点があるため、優先順位づけの道具として使い、削減の評価には使わないのが安全です。

出典・参考(一次情報)

最終更新日:2026年7月5日

この記事の著者

greenote編集部

ESG・サステナビリティ専門メディア 編集部

官公庁・国際機関・企業の一次情報に基づき、ESG・環境情報・サステナビリティ開示・IRの実務に役立つ解説を、出典を明記して発信しています。各記事は編集部が一次情報との整合を確認のうえ作成しています。詳しくは編集方針・運営者情報をご覧ください。

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greenote編集責任者

サステナビリティ実務・編集統括

ESG・サステナビリティ開示・脱炭素分野の一次情報を継続的に確認し、greenote掲載記事の企画・編集・公開に責任を持っています。官公庁・国際機関の公式情報に基づく編集方針を統括しています。

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