OCCTO(電力広域的運営推進機関)とは|全国大で電力を支える中立機関の役割をわかりやすく解説

2026.06.28
再生可能エネルギー

電気は、全国どこでも当たり前に使えます。でも、その裏側では、地域ごとに分かれた電力会社の送電網を、全国大でつなぎ、調整する司令塔が働いている。それが、OCCTO(電力広域的運営推進機関)です。需給が逼迫した地域へ電気を融通し、送電網の整備計画を描き、さまざまな電力市場を運営する——。本記事では、この縁の下の中立機関の役割を、資源エネルギー庁・OCCTOの一次情報をもとに、わかりやすく解説します。

電力市場の全体像は電力市場とは、電力システム改革の流れは電力システム改革とはもあわせてご覧ください。

この記事の目次

OCCTO(電力広域的運営推進機関)とは

まず、OCCTOをひとことで整理します。「全国大で電力の需給と送電網を調整する、中立の司令塔」という発想から入りましょう。

OCCTOをひとことで言うと

OCCTOとは、全国規模で電力の需給と送電網を調整する、中立的な機関です。電気は、地域ごとに分かれた送配電網で運ばれますが、地域内だけで完結させると、ある地域が足りないとき、隣の余っている地域から助けることが難しくなる。そこで、地域の垣根を越えて、電力を効率よく・安定的に使えるよう調整する役割を担うのが、OCCTOなのです。

その仕事は多岐にわたります。需給の監視と電力の融通指示、送電網の整備計画づくり容量市場や需給調整市場の運営、さらには電力会社の切り替え支援まで。まさに、日本の電力システムの裏方の司令塔といえる存在です。

読み方と位置づけ――電気事業法にもとづく中立機関

OCCTOは「オクト」と読みます。正式名称は電力広域的運営推進機関、略して広域機関とも呼ばれます。電気事業法にもとづき、2015年4月1日に設立された認可法人で、特定の電力会社に属さない中立的な立場にあるのが特徴です。

そして重要なのが、発電・送配電・小売といった電気事業者は、会員として加入することが義務づけられている点。大手電力も新電力も、みなOCCTOの会員です。だからこそ、OCCTOは全国の事業者にまたがる調整を、公平に行える。中立であり、かつ全員参加——。この立ち位置が、司令塔としての機能を支えています。

なぜ生まれたのか――2011年の教訓

OCCTOが2015年に生まれた背景には、2011年の東日本大震災で痛感した「地域をまたいで電気を融通できない」という課題がありました。

融通できなかった反省から、全国大の司令塔へ

2011年・震災時の課題

東日本の発電所が大きく被災。しかし東日本と西日本で電気の周波数が異なり、つなぐ設備や地域間連系線の容量も小さく、西から東へ十分な電力を送れなかった

2015年・OCCTO設立

全国大で電力を融通し合えるよう、電力システム改革の一環で中立的に広域運用を担う機関を創設。電気事業者は会員として加入。

出典:資源エネルギー庁・電力広域的運営推進機関(OCCTO)の公開情報をもとにgreenote作成

震災で電気を十分に送れなかった反省

2011年の東日本大震災では、東日本の発電所が大きく被災し、深刻な電力不足に陥りました。本来なら、被害の小さかった西日本から電気を送って助けたい。ところが、それが思うようにできなかったのです。

理由は、日本の電力網の構造にあります。東日本と西日本では、電気の周波数が異なる(東は50Hz、西は60Hz)。これをつなぐ周波数変換設備や、地域間を結ぶ送電網(連系線)の容量が小さく、西から東へ十分な電力を送れなかった。「電気は余っている地域があるのに、足りない地域へ届かない」——。この苦い経験が、改革の出発点になりました。

電力システム改革のなかで創設された

この教訓を受け、日本は大きな電力システム改革に踏み出します。その第一段階として、2015年にOCCTOが設立されました。狙いは明快です。地域ごとにバラバラだった電力運用を、全国大で広域的に束ねること。

特定の電力会社の利害から独立した中立機関が、全国の需給を俯瞰し、いざというとき地域をまたいで電気を融通する。震災で見えた「つながっていなかった電力網」の弱点を、制度と組織の面から補う存在——。それが、OCCTOに与えられた使命でした。電力システム改革の全体像は電力システム改革とはもあわせてご覧ください。

役割①――需給を支える(平常時の調整と緊急時の融通指示)

OCCTOの最も知られた役割が、全国の需給を見守り、足りない地域へ電気を回す調整です。平常時と緊急時に分けて見ていきます。

足りない地域へ、電気を回す

OCCTO

全国の需給を監視し、融通を指示

供給に余裕のある地域

OCCTOの指示で電気を送る

電力の融通

需給が逼迫した地域

電気が足りない

需給逼迫時、OCCTOは余裕のある会社に融通を指示。平常時には広域的な周波数の調整も担う。

出典:電力広域的運営推進機関(OCCTO)の公開情報をもとにgreenote作成

全国大で需給を監視し、周波数を調整する

OCCTOは、会員各社の需給状況を、全国大で常に監視する。電気は、貯めておくのが難しく、使う量と作る量を、つねに一致させ続ける必要がある(同時同量)。需要と供給がずれると、電気の周波数が乱れ、最悪の場合は大規模停電につながりかねません。

そこでOCCTOは、各エリアの需給を見ながら、広域的な周波数の調整を担います。あるエリアが厳しくなりそうなら、早めに全体で手当てする。平常時から全国の電力を俯瞰し、バランスが崩れないように目を光らせている——。これが、地味ですが欠かせない日常の役割です。

需給逼迫時の「電力融通指示」

OCCTOの役割が最も鮮明になるのが、需給逼迫時です。猛暑や寒波、発電所のトラブルなどで、ある地域の電気が足りなくなりそうなとき。OCCTOは、供給に余裕のある他の会員に対し、その地域へ電気を送るよう「融通」を指示します。

これは、2011年の教訓から得た、まさに中核の機能です。実際、近年の需給逼迫の局面でも、OCCTOの融通指示によって停電が回避されてきました。一つの地域だけでは乗り切れない危機を、全国で支え合う。その実働部隊の指揮を執るのが、OCCTOなのです。

役割②――送電網を整える(マスタープランと系統アクセス)

電気をうまく融通するには、そもそも送電網が整っている必要があります。OCCTOは、その全国的な整備計画づくりも担います。

電気の通り道を、計画的に太くする

広域系統整備計画(マスタープラン)

地域間連系線をどこでどれだけ増強するか、将来を見据えて全国的な計画をつくる。偏って増える再エネを全国へ送れるようにする。

系統アクセスと供給計画

発電所などを送電網につなぐ接続検討の窓口を担う。各社の供給計画を取りまとめ、将来の需給を見通す

電気を融通できる送電網そのものを、計画的に整えるのもOCCTOの役割。

出典:電力広域的運営推進機関(OCCTO)の公開情報をもとにgreenote作成

連系線を増強する広域系統整備計画(マスタープラン)

電気を地域間で融通するには、その通り道である連系線が太くなければなりません。2011年の教訓も、まさに「連系線が細かった」ことでした。そこでOCCTOは、地域間連系線をどこでどれだけ増強するかを、将来を見据えて計画します。これが、広域系統整備計画(マスタープラン)です。

とくに近年は、再生可能エネルギーが、北海道や東北、九州など特定の地域に偏って増えてきた。これらを全国へ送り届けるには、連系線の増強が欠かせない。OCCTOのマスタープランは、再エネ時代の電力網の設計図としての性格を強めています。連系線増強の詳しい解説は地域間連系線・系統増強とはもご覧ください。

系統アクセスと供給計画の取りまとめ

OCCTOは、送電網への「つなぎ方」を整える役割も担います。発電所などを送電網に接続するには、技術的な検討が必要です。その接続検討の窓口(系統アクセス業務)を担い、新しい電源がスムーズに、かつ公平に系統へつながるよう調整する。

さらに、各電気事業者が作成する供給計画を取りまとめ、全国の将来の需給を見通すのもOCCTOの仕事です。どの地域で、いつ、電気が足りなくなりそうか。先回りして課題を把握し、整備や対策につなげる。送電網というインフラそのものを、計画的に育てていく——。これも、安定供給を支える重要な役割です。

役割③――市場を運営する(容量市場・需給調整市場・連系線)

近年、OCCTOの役割は「電力にまつわる市場の運営」へと広がっています。これまで解説してきた市場の多くを、OCCTOが運営している。

OCCTOが運営する、3つの市場・仕組み

容量市場

kW=将来の供給力

将来必要な発電する力をあらかじめ確保する。OCCTOが市場管理者

需給調整市場

ΔkW=調整力

周波数を保つための調整力を取引する。OCCTOが運営に関与

連系線の利用

間接オークション

利用計画や空容量を管理し、値差をヘッジする間接送電権の発行にも関わる。

電気そのもの(kWh)を売買する卸電力市場はJEPXが運営。役割を分担している。

出典:資源エネルギー庁・電力広域的運営推進機関(OCCTO)の公開情報をもとにgreenote作成

容量市場(kW)と需給調整市場(ΔkW)の運営

OCCTOは、将来の供給力(kW)を確保する容量市場の市場管理者です。制度の検討から詳細設計、運営までを担い、2020年9月には初回のメインオークションの結果を公表しました。発電設備の維持に対価を払い、将来の供給力不足を防ぐ仕組みを、OCCTOが回しているのです。

また、周波数を保つための調整力(ΔkW)を取引する需給調整市場の検討・詳細設計にも関わっています。電気そのもの(kWh)を売買する卸電力市場はJEPXが運営しますが、将来の供給力(kW)と調整力(ΔkW)はOCCTOが担う——。市場ごとに、役割が分担されているわけです。

連系線の間接オークションと間接送電権

地域間連系線の使い方も、OCCTOが管理する。2018年10月に導入された間接オークションのもとで、連系線の利用計画や空容量を管理し、限られた送電容量を公平に配分する。

さらに、市場分断で生じるエリア間の値差をヘッジする間接送電権の発行にも関わっています。送電網の物理的な運用から、その上に乗る金融的な仕組みまで——。連系線をめぐる一連の仕組みを、OCCTOが下支えしているのです。

役割④――暮らしとの接点(スイッチングとセーフティネット)

OCCTOの仕事は、専門的な系統運用だけではありません。私たちの暮らしにつながる、身近な役割もあります。

暮らしを支える、2つの身近な役割

スイッチング支援

電力会社を切り替えるとき、新旧の事業者の間で必要な手続き情報をやり取りするシステムを運営。小売の自由化を裏で支える。

セーフティネット

万一、必要な供給力が足りなくなりそうなときに備え、最後のとりでとして供給力を確保する仕組みを担う。

専門的な系統運用だけでなく、私たちの電力会社選びや、いざというときの備えも支えている。

出典:電力広域的運営推進機関(OCCTO)の公開情報をもとにgreenote作成

電力会社の切り替えを支えるスイッチング支援

電力の小売は自由化され、私たちは電力会社を自由に選べるようになりました。この切り替えをスムーズにするのが、OCCTOが運営するスイッチング支援システムです。電力会社を変えるとき、新旧の事業者のあいだで必要な手続きの情報をやり取りする仕組みを、OCCTOが裏側で担っています。

普段は意識しませんが、「電気代が安い会社に乗り換えよう」と思ったとき、その手続きが滞りなく進む背景には、OCCTOの仕組みがある。自由化された電力市場の利便性を、地味ながら支える役割です。

最後の備え――セーフティネットとしての供給力確保

そしてもう一つが、セーフティネットとしての役割です。さまざまな市場や仕組みを整えても、なお将来の供給力が足りなくなりそうな事態は起こりえます。そんなとき、OCCTOは最後のとりでとして、供給力を確保する仕組みを担います。

「市場に任せきり」ではなく、いざというときに電気が足りなくなる事態を防ぐ最終的な備えを用意しておく。安定供給という、電力システムの根幹を守るための保険のような役割です。需給逼迫時の融通指示とあわせて、OCCTOは「最後は電気を絶やさない」という責任を、制度の面から引き受けているのです。

OCCTOをどう捉えるか

OCCTOは、全国大で電力の需給と送電網を調整する、中立的な司令塔です。2011年の震災で「地域をまたいで電気を融通できない」という弱点が露呈したことを教訓に、2015年に設立されました。需給逼迫時の融通指示、連系線を増強するマスタープラン、容量市場や需給調整市場・連系線の運営、スイッチング支援やセーフティネット——。その役割は、電力システムの隅々に及びます。

大切なのは、OCCTOを「お役所的な管理機関」と捉えるのではなく、「地域ごとにバラバラだった電力を、全国でつなぎ、支え合えるようにするための中立の調整役」として理解することでしょう。再生可能エネルギーが偏って増え、需給の変動が大きくなる時代に、地域を越えて電力を融通し、送電網を整え、市場を回す存在の重要性は、ますます高まっています。電力システムの全体像は電力システムまるわかりガイドもご覧ください。

私たちが当たり前に電気を使えるその裏で、全国の電力をつなぎ、調整し続ける。OCCTOは、再エネ時代の安定供給を支える、見えにくいけれど不可欠な司令塔なのです。なお本記事は制度を中立に整理したものであり、最新の内容は資源エネルギー庁やOCCTOの公表資料でご確認ください。

よくある質問(FAQ)

Q. OCCTOとは何ですか?読み方も教えてください。

A. OCCTOは『電力広域的運営推進機関』の略称で、『オクト』と読みます。広域機関とも呼ばれます。電気事業法にもとづき2015年4月に設立された中立的な認可法人で、発電・送配電・小売といった電気事業者が会員として加入しています。全国大で電力の需給を見守り、地域をまたいで電気を融通し合えるように調整する、いわば電力システムの司令塔のような存在です。

Q. OCCTOは具体的に何をしているのですか?

A. 主な役割は4つあります。①全国の需給を監視し、足りない地域へ電気を回す融通指示などの需給調整、②連系線を増強するマスタープランづくりや系統アクセス(接続)の窓口など送電網の整備、③容量市場や需給調整市場、連系線の間接オークションといった市場の運営、④電力会社の切り替えを支えるスイッチング支援や、最後の備えとしての供給力確保(セーフティネット)です。

Q. なぜOCCTOがつくられたのですか?

A. きっかけは、2011年の東日本大震災です。東日本の発電所が大きく被災したものの、東日本と西日本では電気の周波数が異なり、これをつなぐ設備や地域間の送電網(連系線)の容量が小さかったため、西日本から東日本へ十分な電力を送れませんでした。この教訓から、全国大で電力を融通し合えるよう、中立的に広域運用を担う機関として、電力システム改革の一環で2015年に設立されました。

OCCTOの役割がわかったら

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出典・参考(一次情報)

最終更新日:2026年7月12日

この記事の著者

greenote編集部

ESG・サステナビリティ専門メディア 編集部

官公庁・国際機関・企業の一次情報に基づき、ESG・環境情報・サステナビリティ開示・IRの実務に役立つ解説を、出典を明記して発信しています。各記事は編集部が一次情報との整合を確認のうえ作成しています。詳しくは編集方針・運営者情報をご覧ください。

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サステナビリティ実務・編集統括

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