メタンとは|CO2に次ぐ温室効果ガスの排出源とグローバルメタンプレッジを解説

2026.08.14
気候変動

最終更新日:2026年8月4日

脱炭素というと二酸化炭素(CO2)に目が向きがちですが、じつはメタン(CH4)も、地球温暖化を大きく左右する温室効果ガスです。同じ量ならCO2より温室効果が強く、しかも減らせば効果が早く表れることから、気候対策の「切り札」として世界的に注目されています。

この記事では、メタンとは何か、どこから排出されるのか、なぜ今注目されるのか、国際的な取り組み「グローバルメタンプレッジ」、そして企業への影響と対応までを、中立的に整理します。GHGプロトコルネットゼロとも深く関わるテーマです。

※本記事は2026年時点の公表情報にもとづく一般的な解説です。数値や各国の参加状況は変わりうるため、最新・確定の内容は各公式情報をご確認ください。

メタンの3つの特徴
温室効果が強い同じ量ならCO2より大きな温暖化効果を持つ(100年でおよそ28〜30倍とされる)
大気中の寿命が短い約12年ほどで分解される(CO2は非常に長く残る)
削減の効果が早い寿命が短いぶん、減らせば温暖化の抑制が早く表れやすい

この記事の目次

メタンとは|CO2に次ぐ「効き目の強い」温室効果ガス

メタン(CH4)は、天然ガスの主成分でもある気体で、二酸化炭素に次ぐ主要な温室効果ガスです。IPCC第6次評価報告書などによれば、同じ重さで比べたときの温室効果(地球温暖化係数=GWP)は、100年でおよそ28〜30倍、20年ではさらに大きいとされています。

一方で、大気中に残る期間はおよそ12年ほどと、CO2に比べて短いのが特徴です。「効果は強いが、寿命は短い」——この性質から、メタンは短寿命気候汚染物質(SLCP)の一つに数えられ、減らせば温暖化の抑制が比較的早く表れると期待されています。

どこから出るのか|3つの主な排出源

メタンは、人間の活動を中心にさまざまな場所から排出されます。上図のように、大きく3つの源に整理できます。

メタンの主な3つの排出源
エネルギー

化石燃料からの漏出

石油・ガス・石炭の採掘や生産、輸送の過程で漏れ出るメタン(フガティブ・エミッション)。

農業

家畜と水田

牛などの反すう動物の消化(げっぷ)や、水田から発生するメタン。

廃棄物

埋立地での分解

埋め立てられた生ごみなど有機物が、酸素の少ない環境で分解される際に発生。

とくにエネルギー分野の漏出は、対策の費用対効果が高いとされ、優先的な削減対象と見られています。農業由来のメタンは、カーボンフットプリントScope3(サプライチェーン排出)の観点でも重要です。

なぜ今、注目されるのか|短期の「切り札」

「早く効く」対策としての価値

メタンが注目される最大の理由は、「早く効く」からです。CO2の削減が長期的な取り組みであるのに対し、寿命の短いメタンを減らせば、今後数十年の気温上昇を抑える効果が比較的早く現れると考えられています。

費用対効果の高いエネルギー部門の漏出対策

国際エネルギー機関(IEA)などは、とくにエネルギー部門のメタン漏出対策は、既存の技術で低コストに実施できるものが多く、当面の温暖化対策として費用対効果が高いと指摘しています。パリ協定の1.5℃目標に近づくうえでも、メタン削減は重要なピースとされています。

グローバルメタンプレッジ|2030年までに30%削減

2030年までに30%削減する枠組み

こうした背景から、国際的な枠組みも生まれています。2021年のCOP26で発足したグローバルメタンプレッジは、2030年までに世界全体のメタン排出を2020年比で少なくとも30%削減することを目指す、有志国による取り組みです。

参加国と実効性の課題

米国やEU、日本など多くの国が参加している一方、排出量の大きい一部の国は参加していないとされ、実効性をどう高めるかが課題です。参加国や進捗の状況は変わりうるため、最新の情報は公式サイトで確認することが大切です。

日本の状況|農業・廃棄物が中心

日本の温室効果ガス排出は大部分がCO2ですが、メタンも一定の割合を占めます。その主な源は農業(水田や家畜)と廃棄物で、地球温暖化対策推進法にもとづく報告や、削減の取り組みが進められています。

日本もグローバルメタンプレッジに参加しており、農業分野での排出削減技術(水田の水管理の工夫など)や、廃棄物の管理改善が進められています。エネルギー分野が中心の国々とは、排出源の構成が異なる点が特徴です。

企業への影響と対応|漏出対策とサプライチェーン

企業にとってメタンは、GHGプロトコルで定めるScope1(自社の直接排出)やScope3(サプライチェーン)に関わるテーマです。上表のように、課題と打ち手をセットで捉えるのが実務的です。

企業のメタン対応|課題と打ち手

課題

自社(Scope1)の漏出・排出。エネルギー設備からの漏れや、畜産などでの排出。

打ち手

漏れの検知・修繕(LDAR)や設備更新で漏出を抑える。飼料や管理の改善に取り組む。

課題

サプライチェーン(Scope3)。調達する原料・エネルギー・食品にメタン排出が含まれる。

打ち手

取引先と連携して排出を把握し、低排出の調達や技術導入を促す。

課題

測定・把握の難しさ。漏出は見えにくく、量の推計が難しい。

打ち手

衛星やセンサーによるモニタリングを活用し、実測にもとづき開示・削減する。

エネルギー・食品・農業に関わる企業ほど、メタンの影響は大きくなります。近年は衛星による監視技術が進み、漏出が「見える化」されつつあります。実測にもとづく開示と削減は、カーボンニュートラルネットゼロに向けた取り組みの信頼性を高めます。

まとめ|「早く効く」削減にどう取り組むか

メタンは、「効果は強いが、寿命は短い」という性質から、今後数十年の温暖化を左右する重要な鍵とされています。CO2の削減が長期戦であるのに対し、メタン削減は「早く効く」対策として、世界的に優先度が高まっています。

企業に求められるのは、まず自社とサプライチェーンのどこにメタン排出があるかを把握し、漏出対策や低排出の調達を進めることです。CO2だけでなくメタンにも目を向けることが、これからのネットゼロへの着実な一歩になります。

よくある質問(FAQ)

Q. メタンとは何ですか?

天然ガスの主成分でもある気体(CH4)で、二酸化炭素に次ぐ主要な温室効果ガスです。同じ量ならCO2より温室効果が強く、大気中の寿命が短いという特徴があります。

Q. なぜメタンはCO2より「効き目が強い」のですか?

同じ重さで比べたときの温室効果(地球温暖化係数=GWP)が、100年でおよそ28〜30倍、20年ではさらに大きいとされるためです。一方で大気中に残る期間は約12年ほどとCO2より短く、減らせば効果が早く表れやすいのが特徴です。

Q. メタンはどこから排出されるのですか?

主に3つの源があります。化石燃料の採掘・生産・輸送での漏出(エネルギー)、牛などの反すう動物や水田(農業)、埋立地での有機物の分解(廃棄物)です。とくにエネルギー分野の漏出対策は費用対効果が高いとされます。

Q. なぜ今、メタン削減が注目されているのですか?

寿命が短いメタンを減らせば、今後数十年の気温上昇を抑える効果が比較的早く現れると期待されるためです。とくにエネルギー部門の漏出対策は、既存技術で低コストに実施できるものが多いと指摘されています。

Q. グローバルメタンプレッジとは何ですか?

2021年のCOP26で発足した、2030年までに世界のメタン排出を2020年比で少なくとも30%削減することを目指す有志国の取り組みです。米国・EU・日本など多くの国が参加する一方、排出量の大きい一部の国は参加していないとされます。

Q. 日本のメタン排出はどのような状況ですか?

日本の温室効果ガスは大部分がCO2ですが、メタンも一定を占め、主な源は農業(水田・家畜)と廃棄物です。日本もグローバルメタンプレッジに参加し、水田の水管理の工夫など農業分野の削減や廃棄物管理の改善が進められています。

Q. 企業にとってのメタンの影響は何ですか?

エネルギー設備からの漏れや畜産などの直接排出(Scope1)、調達する原料・エネルギー・食品に含まれる排出(Scope3)が関わります。とくにエネルギー・食品・農業に関わる企業ほど影響が大きくなります。

Q. 企業はメタンにどう対応すべきですか?

まず自社とサプライチェーンのどこにメタン排出があるかを把握することです。漏れの検知・修繕(LDAR)や設備更新、低排出の調達、衛星・センサーによるモニタリングの活用などを通じて、実測にもとづき削減・開示することが重要です。

出典・参考資料(一次情報)

※ 本記事は上記の公表情報をもとにgreenote編集部が整理した一般的な解説です。数値・各国の参加状況は更新されるため、最新・確定の内容は各公式情報でご確認ください。

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最終更新日:2026年8月14日

この記事の著者

greenote編集部

ESG・サステナビリティ専門メディア 編集部

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