サーキュラーエコノミーとは|3原則・ビジネスモデルと企業の取り組みを解説

2026.06.11
気候変動

「サーキュラーエコノミーという言葉はよく聞くが、3Rとどう違うのか、自社の事業にどう関わるのかが見えない」。サステナビリティや事業企画の現場では、こうした声をよく耳にします。

サーキュラーエコノミー(循環経済)とは、資源を循環させ続け、廃棄をできる限り出さない経済モデルを指します。「取る・作る・使う・捨てる」という従来のやり方とは異なり、設計の段階から廃棄を出さないことを前提とする点が核心です。環境対応であると同時に、新たな成長の機会でもあるのです。

本記事では、サーキュラーエコノミーの定義、エレン・マッカーサー財団の3原則、注目される背景、5つのビジネスモデル、国内外の政策動向、そして企業の取り組みと課題までを順に解説します。実務の判断に使える形へ整理しました。お役に立てれば幸いです。

リニアとサーキュラー、2つの経済モデル

直線型で「捨てる」か、循環型で「使い続ける」か

リニアエコノミー(直線型)

取る 作る 使う 捨てる

資源は減り、廃棄と環境負荷が増え続ける

サーキュラーエコノミー(循環型)

取る 作る 使う 再利用・再生・リサイクル

資源を循環させ、廃棄を最小化しながら価値を生む

この記事の目次

サーキュラーエコノミーとは|資源を循環させ廃棄を出さない経済モデル

サーキュラーエコノミーとは、資源を使い捨てにせず、循環させながら価値を生み続ける経済の仕組みです。廃棄を前提としない点が、従来の経済との決定的な違いです。まずは定義と、これまでのモデルとの違いを押さえましょう。

サーキュラーエコノミーの定義(捨てない前提)

サーキュラーエコノミーを一言で表すと、「捨てないことを前提とした経済システム」です。解説動画『サーキュラーエコノミー(循環型経済)とは?』でも、シンプルに言えば捨てないのが前提の経済だと説明されていました。

これまでの大量生産・大量消費は、資源を使い終えたら廃棄するという流れでした。サーキュラーエコノミーは、この流れを circular(円環)へと組み替えます。再利用や再生によって、資源を経済の中にとどめ続けるわけです。廃棄物を最小化しながら、企業の事業機会も広げられる発想と言えるでしょう。

リニアエコノミー(直線型経済)との違い

従来の経済モデルは、リニアエコノミー(直線型経済)と呼ばれます。「取る・作る・使う・捨てる」という、まさに一直線の流れです。高度経済成長期に主流となった、つくっては捨てるスタイルがこれにあたります。

しかし、この方式では資源が減り続け、ごみは増え続けるばかりです。同動画によれば、今のペースで資源を消費すると、2050年には地球2つ分の資源が必要になるとも言われます。直線から円環へ。これがサーキュラーエコノミーへの転換の本質です。

3Rとの違い|後処理から「設計思想」へ

「昔からある3Rと何が違うのか」と疑問に思う方も多いはずです。3Rとは、リデュース(減らす)・リユース(繰り返し使う)・リサイクル(再資源化する)の総称を指します。これらは、ごみが出た後にどう減らすかという後処理型の発想です。

一方サーキュラーエコノミーは、もっと上流の設計段階から廃棄を出さない仕組みを考えます。製品のデザイン、素材、使用後の回収までを、すべて循環を前提に設計するのです。3Rが「出たごみを減らす」、サーキュラーエコノミーが「そもそもごみを出さない」という、設計思想そのものが異なるのです。

サーキュラーエコノミーの3原則(エレン・マッカーサー財団)

サーキュラーエコノミーの考え方を体系化したのが、イギリスのエレン・マッカーサー財団です。同財団は、循環経済を支える3つの原則を示しました。土台となる考え方を整理しましょう。

原則1:廃棄物と汚染を生み出さない(設計)

第一の原則が、廃棄物と汚染を「設計の段階で」生み出さないことです。ごみが出てから対処するのではなく、そもそもごみや汚染が生じないように製品やサービスを設計する、という発想に立ちます。

たとえば、分解・再利用しやすい素材を選んだり、有害物質を使わない設計にしたりする工夫が当てはまります。出口での対策ではなく、入口での設計が問われるのです。ここが、後処理型の発想との最大の分かれ目です。

原則2:製品と原材料を使い続ける

第二の原則が、製品と原材料を、できる限り高い価値を保ったまま使い続けることです。一度つくったものを使い捨てず、修理・再利用・再生によって、繰り返し循環させます。

価値を保ったまま循環させる点が重要です。単に砕いて再資源化するだけでなく、製品のまま長く使う、部品として再利用するなど、価値の高い循環を優先します。資源の採掘や製造を減らせるため、脱炭素にもつながる考え方です。

原則3:自然システムを再生する

第三の原則が、自然システムを再生することです。資源を奪うだけでなく、土壌や生態系といった自然の回復力を高める方向へ働きかけます。たとえば、再生型農業や生分解性素材の活用が挙げられます。

この原則は、生物多様性の回復を目指す動きとも重なります。自然を回復軌道に乗せるという視点は、関連記事のネイチャーポジティブとは|30by30・生物多様性枠組と企業の取り組みとも通じるものです。循環経済は、気候だけでなく自然全体を視野に入れているのです。

サーキュラーエコノミーの3原則

エレン・マッカーサー財団が示した循環経済の土台

原則 1

廃棄物と汚染を生み出さない

ごみが出てからではなく、設計の段階でそもそも生じないようにする。

原則 2

製品と原材料を使い続ける

高い価値を保ったまま、修理・再利用・再生で繰り返し循環させる。

原則 3

自然システムを再生する

資源を奪うだけでなく、土壌や生態系の回復力を高める方向へ。

出口での後処理ではなく、入口の「設計」で循環を組み込む点が、3Rとの最大の違いです。

なぜ今サーキュラーエコノミーなのか|資源・市場・脱炭素

サーキュラーエコノミーが注目される背景には、資源の制約、巨大な市場機会、そして脱炭素との関係があります。環境対応とビジネスの両面から、重要性が高まってきました。理由を整理しましょう。

資源制約と廃棄の問題

第一の背景が、資源の制約と廃棄の問題です。世界の人口と消費が増える中で、資源は有限であり、採り続ければいずれ枯渇へ近づきます。前述のとおり、今のペースでは2050年に地球2つ分の資源が必要とも試算されています。

廃棄の問題も深刻です。同動画によれば、日本だけでも年間約4,000万トンの一般廃棄物が出ており、焼却処理の過程でCO2も排出されます。資源を使い捨てる仕組みそのものが、限界を迎えつつあるのです。とりわけプラスチックは、国連プラスチック条約の交渉が続くなど、国際的にも対策が急がれています。

サーキュラーエコノミーが注目される背景

資源・廃棄・市場の3つの数字で見る

地球2つ分 2050年に必要な資源量

今のペースで消費を続けた場合

約4,000万t 日本の年間一般廃棄物

焼却処理でCO2も排出

80兆円 2030年の市場規模

日本の循環経済の見込み

資源制約と廃棄の問題が深刻化する一方、循環経済は大きな市場機会としても期待されています。

市場機会|2030年に日本で80兆円規模とも

第二の背景は、市場機会の大きさです。サーキュラーエコノミーは、単なるコスト対応ではありません。番組『サーキュラーエコノミー新時代』によれば、2030年に日本で80兆円規模の市場になるとも言われます。

廃棄物を減らしながら、新たな事業を生み出せる点が魅力です。資源価格の変動に左右されにくくなる、というメリットも生まれます。環境への配慮が、そのまま競争力につながる時代になってきました。

脱炭素・ネイチャーポジティブとの関係

第三の背景が、脱炭素や自然再生との関係です。資源の採掘や製品の製造には、多くのエネルギーが使われ、CO2が排出されます。資源を循環させて新規の製造を減らせれば、その分だけ排出も抑えられるわけです。

カーボンニュートラルという目標との関係は、関連記事のカーボンニュートラルとは|意味・脱炭素との違いと2050年目標・企業の取り組みで整理しました。循環経済は、脱炭素と自然再生を同時に進める手段としても期待されます。

サーキュラーエコノミーの5つのビジネスモデル

サーキュラーエコノミーは、理念にとどまりません。具体的なビジネスモデルとして、すでに各社で実装が進んできました。代表的な5つの型を、自社に取り入れる視点で見ていきましょう。

循環型サプライと回収・リサイクル

一つ目が、再生材や再生可能な資源を使う「循環型サプライ」です。枯渇性の資源に頼らず、再生可能・再生由来の原料へ切り替えるモデルです。二つ目が、使用後の製品を回収して再資源化する「回収・リサイクル」です。

私たちgreenote編集部の取材でも、衣類やペットボトルを回収し、自社で再生原料にまで戻す垂直統合型の企業が出てきました。回収からリサイクル、製品化までを一社で担う動きは、循環の輪を自前で閉じる試みと言えます。

製品寿命の延長(修理・再生)

三つ目が、「製品寿命の延長」です。修理やメンテナンス、部品交換、再生(リファービッシュ)によって、製品をより長く使えるようにします。つくって売って終わりではなく、使い続けてもらう発想への転換です。

長く使われる製品は、買い替えの頻度を下げ、資源の消費を抑えます。メーカーにとっては、修理やメンテナンスが新たな収益源にもなり得ます。売り切り型から、関係を長く保つ型への移行が進んでいます。

シェアリングとサービス化(PaaS)

四つ目が「シェアリング」、五つ目が「サービス化」です。シェアリングは、一つのモノを複数人で共有し、稼働率を高めるモデルを指します。カーシェアが代表例でしょう。サービス化は、製品を売り切らず、サービスとして提供する考え方です。

サービス化は、PaaS(Product as a Service)とも呼ばれます。たとえば、照明を「機器の販売」ではなく「明るさの提供」として売る、サブスクリプション型のモデルが当てはまります。所有から利用へという価値観の変化が、こうしたモデルを後押ししているのです。

サーキュラーエコノミーの5つのビジネスモデル

内容と身近な例で整理

循環経済を実装する代表的な5つのビジネスモデル
モデル内容
循環型サプライ再生材・再生可能な資源を使う再生プラスチック原料
回収・リサイクル使用後に回収して再資源化するペットボトルの回収
製品寿命の延長修理・再生で長く使えるようにする家電の修理・再生
シェアリング共有して稼働率を高めるカーシェア
サービス化
(PaaS)
製品を売り切らずサービスで提供照明のサブスク

「所有から利用へ」という価値観の変化が、これらのモデルを後押ししています。自社の事業に合う型から取り入れます。

国内外の動向と政策

サーキュラーエコノミーは、政策の後押しを受けて加速しています。EUが世界をリードし、日本も戦略を打ち出してきました。国内外の主な政策動向を整理しましょう。

EUの新循環経済行動計画(2020年)

サーキュラーエコノミーのトップランナーは、EUです。EUは2020年3月に「新循環経済行動計画(CEAP)」を発表しました。これは、循環型経済を実現するための具体的な行動と、その内容を示した計画です。

製品の設計段階での規制や、修理する権利の確保など、踏み込んだ施策が並びます。EUは、環境政策を産業競争力の強化と結びつけて進めてきました。循環経済を、域内の成長戦略の柱に据えている点が特徴です。

日本の循環経済ビジョンと資源自律経済戦略

日本も、循環経済への移行を成長戦略として位置づけています。経済産業省は「循環経済ビジョン2020」を示し、2023年には「成長志向型の資源自律経済戦略」を打ち出した段階です。

資源の多くを輸入に頼る日本にとって、資源を国内で循環させる仕組みは、経済安全保障の観点からも重みを持ちます。資源の自律という視点が、戦略の名称にも表れているのです。環境と経済の両立を、国を挙げて目指す段階に入っています。

国際的な規制・開示の広がり

政策の動きは、規制や情報開示の広がりにもつながっています。製品に再生材の使用を求める規制や、循環性に関する情報開示の要請が、国際的に強まりつつあります。ESG投資の観点からも注目される領域です。

投資家がサステナビリティをどう評価するかは、関連記事のESG投資とは|評価基準・手法と企業が押さえるべきポイントで整理した通りです。循環経済への対応は、今後ますます企業の評価軸の一つになっていくでしょう。

企業の取り組みとつまずきやすいポイント

サーキュラーエコノミーへの移行では、設計の見直しと回収の仕組みづくりが鍵を握ります。一方で、つまずきやすい点も見えてきました。実務の進め方と課題を整理しましょう。

取り組みの進め方(設計・回収・連携)

取り組みの出発点は、自社の製品やサービスを「循環」の視点で見直すことです。筆者が事業会社の方と話す場でも、「自社の何なら循環できるか」という問いから入ると、議論が動き出します。長く使える設計か、再生しやすい素材か、回収の動線はあるか。こうした問いから、改善の糸口が見えてきます。

自社だけで完結しないのも、循環経済の特徴です。回収やリサイクルには、他社や自治体との連携が欠かせません。気候変動対応とあわせて事業リスクを捉える視点は、関連記事の気候変動リスクとは|物理的リスク・移行リスクと企業の対応策も参考になります。

回収インフラとコストの壁

第一の壁が、回収インフラとコストです。製品を循環させるには、使用後に回収する仕組みが欠かせません。しかし、消費者から効率よく回収する物流網を整えるのは、簡単ではありません。

設計の変更や新たな設備にも、初期投資がかかります。短期の収益だけで見ると、二の足を踏みがちです。とはいえ、長期で資源コストや廃棄コストを抑えられれば、投資は回収できるはずです。長い目で採算を捉える姿勢が問われます。

消費者の行動変容という課題

第二の壁が、消費者の行動です。回収やシェアリング、サービス化が広がるには、使う側の理解と協力が欠かせません。「所有から利用へ」という価値観の変化が、まだ途上にある分野もあります。

そのため、企業には分かりやすい情報発信や、参加しやすい仕組みづくりが求められます。回収に出すと特典がある、といった工夫も有効でしょう。仕組みと人の行動の両輪がそろって、循環は初めて回り始めます。

移行のつまずきと対応策

先に知っておきたい3つの課題

サーキュラーエコノミー移行で陥りやすい課題とその対応策
課題内容対応策
回収インフラ
とコスト
物流網の整備・初期投資の負担長期で資源・廃棄コストを抑え採算を捉える
消費者の
行動変容
「所有から利用へ」の理解が途上参加しやすい仕組み・特典の工夫
自社単独で
完結しない
回収に他社や自治体の協力が必要パートナーとの連携で循環の輪を閉じる

仕組みと人の行動の両輪がそろって、循環は初めて回り始めます。長い目で採算を捉える姿勢が鍵です。

まとめ|サーキュラーエコノミーは環境対応と成長を両立する

サーキュラーエコノミーとは、資源を循環させ続け、廃棄を出さないことを前提とした経済モデルでした。「取る・作る・使う・捨てる」のリニアエコノミーや、後処理型の3Rとは、設計思想そのものが異なります。エレン・マッカーサー財団の3原則が、その土台です。

資源制約や廃棄の問題を背景に、2030年に日本で80兆円規模とも言われる市場機会が広がってきました。循環型サプライからサービス化まで、ビジネスモデルは多様です。EUの新循環経済行動計画や日本の資源自律経済戦略など、政策の後押しも強まっています。回収インフラやコスト、消費者の行動という課題は残るものの、循環経済は環境対応と成長を両立させる道筋になります。

まずは自社の製品やサービスを「循環」の視点で見直す一歩から始めてみてはいかがでしょうか。greenoteでは、ESG・環境に関する実務情報を今後もお届けしていきます。

よくある質問(FAQ)

Q. サーキュラーエコノミーとは何ですか? A. サーキュラーエコノミー(循環経済)とは、資源を循環させ続け、廃棄をできる限り出さない経済モデルです。「取る・作る・使う・捨てる」という従来のリニアエコノミーと異なり、設計の段階から廃棄を出さないことを前提とし、再利用や再生、リサイクルによって資源を循環させます。

Q. サーキュラーエコノミーと3Rは何が違いますか? A. 3R(リデュース・リユース・リサイクル)は、ごみが出た後にどう減らすかという後処理型の発想です。一方サーキュラーエコノミーは、もっと上流の設計段階から廃棄を出さない仕組みを考えます。製品のデザインや素材、使用後の回収まで、すべて循環を前提に設計する点で、設計思想が異なります。

Q. サーキュラーエコノミーの3原則とは何ですか? A. エレン・マッカーサー財団が示した3つの原則です。第一に廃棄物と汚染を生み出さない(設計段階で)、第二に製品と原材料を高い価値のまま使い続ける、第三に自然システムを再生する、という3点です。循環経済の基本的な考え方の土台となっています。

Q. サーキュラーエコノミーにはどんなビジネスモデルがありますか? A. 代表的なものに、再生材や再生可能資源を使う循環型サプライ、使用後の回収・リサイクル、修理や再生による製品寿命の延長、シェアリング、そして製品を売り切らずサービスとして提供するサービス化(PaaS・サブスク)があります。自社の事業に合った型を選んで取り入れます。

Q. なぜサーキュラーエコノミーが注目されているのですか? A. 資源の制約と廃棄の問題、巨大な市場機会、脱炭素との関係が背景にあります。今のペースで資源を消費すると2050年には地球2つ分が必要とも言われます。一方で循環経済は、2030年に日本で80兆円規模の市場になるとも見込まれ、環境対応と成長を両立する手段として期待されています。

Q. サーキュラーエコノミーに関する政策にはどんなものがありますか? A. EUは2020年3月に新循環経済行動計画(CEAP)を発表し、世界をリードしています。日本でも「循環経済ビジョン2020」や、2023年の「成長志向型の資源自律経済戦略」が打ち出され、循環経済への移行を成長戦略として位置づけました。国際的にも規制や情報開示の動きが広がっています。

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最終更新日:2026年6月20日

この記事の著者

greenote編集部

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