GHGプロトコル改定に企業はどう備える?|影響度チェックと今やるべき5つの準備

2026.08.29
Scope3

「GHGプロトコルの改定で、いま持っている再エネの証書が使えなくなるかもしれない」。そんな話を耳にして、不安に感じている実務担当の方は多いのではないでしょうか。実際には、改定はまだ確定しておらず、決まっていないことのほうが多いのが現状です。一方で、確定してから動き出したのでは間に合わない準備があるのも事実です。

この記事では、GHGプロトコル改定の最新状況を「確定・未確定」で仕分けしたうえで、企業(電気を使う側=需要家)が今から取り組むべき準備を実務目線で整理します。制度の詳しい解説よりも「うちは何をすればいいのか」を知りたい方向けの内容です。

※改定は議論の途中であり、内容は今後変わり得ます。本記事は公表情報(2026年8月時点)に基づく解説です。

この記事の目次

改定の現在地を3分で整理|何が決まって、何が未定か

GHGプロトコルは、企業の温室効果ガス排出量算定の国際標準です。今回の改定では、購入した電気の排出量であるScope2の算定ルール、特に契約や証書で再エネを主張する「マーケット基準」が大幅に厳格化される方向で議論されています。RE100やCDP、SBTiなど主要な制度・イニシアティブがGHGプロトコルを参照しているため、世界中の企業がこの改定に注目しています。

スケジュール|最終公表は2028年後半へ

まずスケジュール感です。2026年1月まで行われた第1回パブリックコンサルテーション(意見募集)には世界から1,000件を超える意見が寄せられ、その結果が2026年7月29日に公表されました。これを受けて、最終的な改定内容の公表は2028年第4四半期の見込みへと、当初想定から約1年後ろ倒しになっています。第2回の統合パブリックコンサルテーションは2027年第2四半期に予定されており、実際の適用(発効)時期はまだ示されていません。

「先の話なら急がなくてよいのでは」と思うかもしれません。しかし後述するとおり、GHGプロトコル本体より先に、SBTiの新基準が2027年2月に発効するため、対象企業にとって準備の時計はすでに動いています。

「確定」と「未確定」の仕分け表

状態内容
確定していることSBTi「企業ネットゼロ基準」V2が2026年6月11日に正式公表され、2027年2月1日に発効すること。アワリーマッチングは達成の義務化が見送られ任意となる一方、結果の報告(開示)の枠組みが盛り込まれたこと。
方向が見えていることGHGプロトコル改定の3つの厳格化ポイント(後述)と、緩和措置が併せて用意されること。FIT電源が「標準供給サービス(SSS)」に該当する可能性が高いこと。
未確定のこと日本の「市場境界」の線引き(全国一体か、東西分割かなど)。FIP・高度化法関連の証書のSSS該当性。緩和措置の具体的な水準・条件。レガシー条項(既存契約の保護)の範囲。適用開始の時期。

この「確定・方向・未確定」の3層で捉えておくと、ニュースが出るたびに右往左往せずに済みます。以降の章では、この仕分けを前提に実務への影響を見ていきます。

3つの厳格化ポイントをおさらい

改定案の核心は、マーケット基準の3つの厳格化です。それぞれの詳しい仕組みはアワリーマッチングとデリバラビリティの解説記事に譲り、ここでは実務への意味だけを押さえます。

① 時間の壁
アワリーマッチング
証書と電力消費を「年間の合計」ではなく「同じ1時間」で突き合わせる。
② 場所の壁
デリバラビリティ
証書は消費地に物理的に電気が届き得る「同じ市場境界」から調達する。
③ 持ち分の壁
標準供給サービス(SSS)
みんなの負担で支えられた電源は、エリアの比例配分までしか主張できない。
マーケット基準の3つの厳格化。「いつ・どこで・誰のものか」が問われるようになる。出典:greenote作成

アワリーマッチング(時間の壁)

現在は「年間の再エネ比率◯%」という形で報告できますが、改定案では時間単位のマッチングへ厳格化する方向が示されています。太陽光の証書を持っていても、発電しない夜間の消費はカバーできない——という世界観です。昼間は太陽光でマッチング率を稼げても、夜間に大きく下がる企業が多くなると見込まれます。年平均では見えなかった「再エネが足りない時間帯」を可視化し、必要な時間帯の再エネ開発を促すことが狙いとされています。

デリバラビリティ(場所の壁)と日本の市場境界

証書を「電気が物理的に届き得る範囲」から調達することを求めるルールです。日本にとっての最大の論点は、その範囲(市場境界)がどこで引かれるかです。日本は10の供給エリアに分かれているため、エリアごとに区切られるのか、連系線でつながっていれば一体と見なすのかで、調達戦略が根本から変わります。

これに対して経済産業省はパブリックコンサルテーションで、日本全体を1つの市場境界として扱うべきと意見を提出しています。需要地と再エネ適地が地理的に離れている日本の事情や、全国大での需給運用の実態が根拠です。一方で、50Hz/60Hzの周波数で東西に分かれるのではないかという見方や、連系線のない沖縄が別扱いになるのではないかという観測も業界内にはあり、現時点では確定していません。

標準供給サービス・SSS(持ち分の壁)

SSSは、賦課金のような「全員が義務的に負担するお金」で支えられている電源を指します。この電源の環境価値は特定の企業が買い占めることができず、エリア内の各需要家が比例配分(プロラタ)の持ち分までしか主張できないという考え方です。

重要なのは、改定案の中で日本のFIT制度が SSSの具体例として名指しされていることです。FIT電源は全需要家が等しく再エネ賦課金を負担して成り立っているため、「みんなのもの」として扱われる可能性が高い状況です。経産省もFITについては反論しておらず、FIP(フィードインプレミアム)と高度化法関連の証書は「SSSに該当しない」と主張する、という切り分けで意見を出しています。つまりFIT証書はSSS該当が濃厚、FIP・非FIT証書は自由調達を守りにいっている、というのが現在地です。

影響度セルフチェック|自社はどれだけ影響を受けるか

先に効いてくるのはSBTi新基準(2027年2月発効)

GHGプロトコル本体は2028年後半まで確定しませんが、関連するSBTiの企業ネットゼロ基準V2は2026年6月11日に正式公表され、2027年2月1日に発効することが確定しています。

V2では、アワリーマッチングの「達成」は義務化が見送られ、企業の自主的な取り組み(任意)と位置づけられました。ただし、一定規模以上の大企業(カテゴリーA)を対象に、アワリーマッチングの結果を報告(開示)する枠組みが盛り込まれています。解説セミナーでは、目安として年間の電力消費がグループ全体で50GWh(5,000万kWh)を超える規模——電気代にしておおむね年10億円以上のイメージ——の企業が対象になり、2028年以降の目標設定から適用され、報告は2030年頃から段階的に始まるとの見方が示されています。

言い換えると、「時間単位で高いマッチング率を達成せよ」とまでは求められないものの、大規模企業は自社のマッチング率を測って開示できる状態にはなっておく必要がある、ということです。測るためには時間別のデータが要ります。ここが、準備の時計がすでに動いていると述べた理由です。

影響が大きい企業の3つの条件

次の3つに当てはまるほど、今回の改定の影響は大きくなります。自社がいくつ該当するか確認してみてください。

条件なぜ影響が大きいか
① 電力消費が大きい(目安:グループで年50GWh超)SBTi V2のアワリーマッチング報告の対象になり得る。時間別データ基盤の整備が実質的に必要になる。
② 再エネ調達をFIT証書(FIT電源由来)に依存しているFITはSSS該当が濃厚。将来は「エリアの比例配分まで」しか主張できなくなり、実質再エネ100%のロジックが崩れる可能性がある。
③ ビッグテックなど先進的な取引先がある制度の義務化を待たず、取引先から24/7カーボンフリーに近い水準を要請される可能性がある。サプライヤー要請は制度より速く動く。

逆に、電力消費が小さく、FIT証書への依存が少なく、厳しい要請をする取引先もない企業であれば、当面は動向のウォッチだけで十分と考えられます。改定案でも一定規模未満の需要家には報告厳格化を免除する案が検討されています。

SSSの実務インパクト|FIT証書は「エリアの割合まで」に

主張できる量はどう決まるか(計算の考え方)

SSSルールが適用された場合、FIT電源の再エネ価値はエリア内の全需要家に比例配分されます。主張できる量の考え方は次のとおりです。

拠点の電力消費量 × そのエリアのSSS(FIT電源)割合
= その拠点で主張できる再エネの上限

解説セミナーでは、たとえば東京エリアのSSS割合は10%前後になるとの見方が示されています。仮にそうなると、東京の拠点で年間1,000万kWhを消費する企業がFIT証書をどれだけ買い集めても、SSS分として主張できるのは約100万kWh(10%)までという計算になります。「安いFIT証書を大量に買って実質再エネ100%」というロジックは、この時点で成立しなくなります。

なお、FIT証書そのものが無価値になるわけではありません。比例配分の範囲では引き続き使えるほか、温対法報告など国内制度での扱いは日本の制度設計次第です。「国際イニシアティブ向けの主張」と「国内報告」を分けて考えることが重要です。

最優先はFIT依存度の棚卸し

ここまでを踏まえると、需要家が最初にやるべきことは明確です。自社の再エネ調達のうち、FIT電源由来が何割を占めるかを把握することです。電力会社の実質再エネメニューも、その中身がFIT証書なのか非FIT証書なのかで将来の扱いが変わります。契約書やメニューの仕様書で「どの証書が充当されているか」を確認し、依存度が高い場合は、FIP・非FIT由来の証書やPPAへの切り替えを中期計画に織り込むことが検討課題になります。

緩和措置を味方につける|過度に恐れない

厳格化の話ばかりが注目されますが、改定案には実務がついてこられるようにするための緩和措置がセットで用意されています。ここを知っておくと、必要以上にコストをかけずに済みます。

時間別データがなくても始められる(近似の方法)

アワリーマッチングには時間別の消費データが必要ですが、「細かいデータがなければ何もできない」わけではありません。改定案では次のような近似が認められる方向です。

■ ロードプロファイル近似:施設の標準的な需要カーブが分かっていれば、月間・年間の使用量をそのカーブに沿って割り付けて報告する方法。

■ フラット平均:月間や年間の総使用量を単純に時間数で割り、毎時同じ量を使ったと見なす、最もシンプルな方法。

つまり、スマートメーターの30分値が取れない拠点があっても、まずは近似で始められます。高額なシステム投資を慌てて行う前に、「どの拠点は実データが取れて、どの拠点は近似でしのぐか」を仕分けするのが現実的です。

免除枠・レガシー条項・段階導入

このほか、一定規模を下回る需要家を厳格化の対象外とする免除の閾値、締結済みの長期契約を保護するレガシー条項、複数年かけて導入する段階適用が検討されています。ただし注意点として、免除の水準もレガシー条項の範囲(契約の全部か一部か、何年守られるか)も現時点では未確定です。とくに既存のPPA契約が自動延長条項を含む場合、延長後もレガシーとして保護されるかは不透明なため、契約更新のタイミングを整理しておく必要があります。なお第1回パブコメの結果では、レガシー条項などの緩和はSSSには適用されない方向も示されており、FIT関連は緩和に期待しすぎないほうが安全です。

再エネ調達はどう変わるか|「FIT一本足」からポートフォリオへ

電源と証書の「価値の序列」が変わる

今回の改定が実装されると、これまで「再エネの証書」としてひとくくりに扱われてきた環境価値に、電源や時間帯による価値の差が生まれると見込まれます。方向性を整理すると次のとおりです。

調達手段改定後の位置づけ(見通し)
FIT証書SSS該当が濃厚。エリアの比例配分までの主張に制限される可能性が高く、「FIT証書で実質再エネ100%」のロジックは中期的に成立しにくくなる。
FIP・非FIT証書日本は「SSS非該当(自由調達可)」を主張中。認められれば相対的に価値が上がり、需要の集中も見込まれる。卒FIT電源やFIT電源のFIP転換にも注目が集まる。
PPA(フィジカル)発電所を特定した長期調達のため、トラッキングや追加性の観点で最も堅い。レガシー条項の対象にもなり得るが、契約の自動延長部分の扱いは未確定。
バーチャルPPA(太陽光偏重)昼間はマッチングできても夜間が埋まらない。時間の壁が立つと、太陽光だけのポートフォリオは可視化で弱点が露呈しやすい。
夜間を埋める電源(水力・地熱・バイオマス・蓄電池)アワリーマッチングの世界では夜間・悪天候時をカバーできる電源の価値が相対的に上昇。発電プロファイルに応じて証書価格に差がつく可能性も指摘されている。

要するに、「安い証書を年間の帳尻が合うだけ買う」調達から、自社の需要カーブに合わせて電源の組み合わせを設計する調達への転換です。これは電力調達がコスト管理の仕事から、ポートフォリオ設計の仕事へ変わることを意味します。

ケース別に見る影響と打ち手

■ ケース1:FIT証書で「実質再エネ100%」を掲げてきた大手製造業
最も影響が大きい類型です。SSSルールでFIT証書の主張がエリア比例配分に制限されると、現在の再エネ率の看板が維持できなくなります。打ち手は、FIP・非FIT証書やPPAへの段階的な切り替え計画を今から描くこと。切り替えには電源の確保と契約交渉の時間がかかるため、確定を待ってからでは間に合わない可能性があります。

■ ケース2:太陽光バーチャルPPA中心で調達してきた企業
年間ベースでは高い再エネ率でも、時間別に見ると夜間のマッチング率が低いことが可視化で判明しがちです。打ち手は、まず自社の需要カーブと発電カーブの重なりを測ってみること。そのうえで、夜間を埋める電源(水力・蓄電池併設など)を組み合わせる検討に進みます。

■ ケース3:電力消費が小さく、取引先要請も緩やかな中堅企業
慌てる必要はありません。免除の枠が検討されており、時間別データも近似で足ります。打ち手は、契約中の再エネメニューの中身(FITか非FITか)だけ確認しておき、あとは年1回程度の動向チェックで十分です。

今やるべき準備5つ|実務チェックリスト

ここまでの内容を、実務のチェックリストに落とし込みます。上から順に着手するのがおすすめです。

1
契約・証書の棚卸し
既存のPPA・証書・再エネメニューが「FIT/FIP/非FIT」のどれに当たるか、トラッキング情報(発電所の特定情報)はあるかを一覧化する。
2
FIT依存度の把握
再エネ調達に占めるFIT由来の割合を算出する。SSS該当が濃厚である前提で、依存度が高ければ代替調達(FIP・非FIT・PPA)の検討に入る。
3
時間別データ基盤の整備
拠点ごとに30分値・時間別データが取得できるかを確認し、取得後の管理の仕組みを検討する。取れない拠点は近似(ロードプロファイル・フラット平均)でカバーする前提で仕分けする。
4
調達戦略の複数シナリオ化
市場境界が「全国一体」「東西分割」のどちらでも成り立つよう、調達計画を複数シナリオで持つ。単一シナリオへの賭けは避ける。
5
動向ウォッチと意見発信
2027年第2四半期予定の第2回パブリックコンサルテーションが次の節目。日本の市場境界とFIP・高度化法の扱いを注視し、機会があれば業界団体などを通じて意見を発信する。

蓄電池と環境価値の扱い|見落としやすい論点

再エネと蓄電池を組み合わせる調達が増えるなかで、「蓄電池を経由した電気の環境価値はどう扱われるのか」という論点が出てきています。実務で押さえておきたいのは次の整理です。

まず、再エネ発電所に併設された蓄電池からの供給は、同じ系統連系点から電気が届く限り、デリバラビリティの要件は満たすと考えられています。一方で、「環境価値として有効か」は別の問題で、こちらはアワリーマッチングの国際標準であるEnergyTag(エナジータグ)スタンダードの領域です。EnergyTagでは、充電した記録と放電した記録を時間単位で追跡し、二重計上(ダブルカウント)を防ぐこと、充放電のロスを控除することが求められます。しかもロスはメーカーの公称値ではなく、実績値に基づいて評価する必要があるとされています。

系統から充電もする蓄電池(経済性のために系統充電と再エネ充電を併用する運用)では、この充放電トラッキングの巧拙が環境価値の信頼性を左右します。蓄電池付きの電力を調達する場合は、事業者側がどのようなデータ管理・認証の仕組みを持っているかを契約前に確認することが、新しいデューデリジェンス項目になりつつあります。

アワリーマッチングと「24/7カーボンフリー」の違い

混同しやすい2つの概念を整理しておきます。アワリーマッチングは「測り方」、24/7カーボンフリー(24/7 CFE)は「目標」です。

アワリーマッチングは、時間単位で需要と供給を突き合わせて「その時間の電気がどれだけカーボンフリーだったか」を可視化する手法そのものを指します。マッチング率が低くても、まず現状を測ることに意味があります。一方の24/7 CFEは、そのマッチングを前提に、24時間365日すべての時間帯をカーボンフリー電源で賄うことを目指す考え方です。Googleが提唱して世界に広がりました。昼は太陽光、夜はバイオマスや蓄電池からの放電で埋める、といった組み合わせの設計が必要になります。

実務の順序としては、いきなり24/7を目指すのではなく、まず自社の需要カーブに対するマッチング率を可視化するところからです。太陽光のバーチャルPPAに偏った調達をしている企業は、夜間のマッチング率が想像以上に低いことが「見える化」で判明するケースが多いと指摘されています。詳しくはアワリーマッチングの解説記事環境価値の全体像の解説記事をご覧ください。

まとめ|決まってからでは遅い、でも慌てる必要もない

GHGプロトコル改定は、最終公表が2028年後半に延び、日本の市場境界やFIP・高度化法の扱いなど未確定の論点を多く残しています。一方で、SBTiの新基準は2027年2月の発効が確定しており、大規模企業にはアワリーマッチング結果の報告の枠組みが先にやってきます。FIT証書のSSS該当が濃厚という方向性も、調達戦略の見直しを促すには十分な材料です。

やるべきことは奇をてらったものではありません。①契約と証書の棚卸し、②FIT依存度の把握、③時間別データ基盤の準備、④複数シナリオの調達戦略、⑤動向のウォッチ。この5つを粛々と進めておけば、どの方向に確定しても対応できます。緩和措置(近似・免除・段階導入)も用意される方向ですから、過度に恐れず、しかし確定を待たずに、できる準備から始めていきましょう。

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出典・参考資料(一次情報)

リンク先は2026年8月時点で確認した各機関の公開情報です。改定は議論の途中であり、最新は各公式情報をご確認ください。

GHGプロトコルGHG Protocol|Corporate Suite of Standards and Guidance Update ProcessGHG Protocol|Key Standard Development Updates(2026年7月29日・パブコメ結果)

SBTiSBTi|Corporate Net-Zero StandardSBTi「企業ネットゼロ基準 V2」(日本語版・PDF)

解説・参考JERA Cross|アワリーマッチングとは参考動画:JERA Cross|GHGプロトコル改訂解説ウェビナー(2026年7月22日開催)

よくある質問(FAQ)

Q. いま持っているFIT証書はすぐ使えなくなりますか?

A. すぐには変わりません。GHGプロトコル改定の最終公表は2028年後半の見込みで、適用時期も未定です。当面の報告では従来どおり使えますが、FITはSSS(標準供給サービス)に該当する可能性が高いため、中期的にはエリアの比例配分までしか主張できなくなる前提で、依存度の把握と代替調達の検討を始めておくことをおすすめします。

Q. アワリーマッチングは義務になるのですか?

A. SBTiの新基準(2027年2月発効)では、達成の義務化は見送られ任意とされました。ただし一定規模以上の大企業にはマッチング結果を報告する枠組みが盛り込まれています。GHGプロトコル本体での扱いは、第1回パブコメで世界的に反対が優勢だったこともあり、まだ確定していません。

Q. 中小企業も時間別データを整備する必要がありますか?

A. 当面は不要と考えられます。改定案には一定規模未満の需要家を厳格化の対象外とする免除の枠が検討されており、時間別データがない場合の近似方法(フラット平均など)も用意される方向です。まずは自社の電力消費規模と取引先からの要請を確認しましょう。

Q. 日本の「市場境界」はどうなりそうですか?

A. 未確定です。経済産業省はパブリックコンサルテーションで日本全体を1つの市場境界として扱うべきと主張しています。一方、業界では50Hz/60Hzの東西で分かれる案や、連系線のない沖縄を別扱いとする見方も聞かれます。線引き次第でエリアをまたぐ調達の可否が変わるため、調達計画は複数シナリオで持っておくのが安全です。

Q. 何から手を付ければよいですか?

A. 契約・証書の棚卸しが最初の一歩です。既存の調達がFIT/FIP/非FITのどれに由来するかを一覧化するだけで、SSSルールが確定したときの影響額を試算できるようになります。並行して、拠点ごとに時間別の電力データが取れるかどうかを確認しておくと、その後の判断が速くなります。

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最終更新日:2026年8月29日

この記事の著者

greenote編集部

ESG・サステナビリティ専門メディア 編集部

官公庁・国際機関・企業の一次情報に基づき、ESG・環境情報・サステナビリティ開示・IRの実務に役立つ解説を、出典を明記して発信しています。各記事は編集部が一次情報との整合を確認のうえ作成しています。詳しくは編集方針・運営者情報をご覧ください。

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