女性活躍推進法とは|101人以上の義務・男女賃金差異の公表とえるぼし認定をわかりやすく解説

2026.08.25
ESG開示

「女性管理職比率や男女の賃金差を公表してください」——採用サイトやIR資料で当たり前になったこれらの数字の多くは、女性活躍推進法が求めているものです。対象は大企業だけではなく、従業員101人以上の会社に行動計画と情報公表の義務があります。

この記事では、女性活躍推進法とは何か、対象企業と義務(行動計画・情報公表)、えるぼし認定のメリット、有価証券報告書の人的資本開示やDE&Iとのつながり、そして実務の進め方までを、わかりやすく解説します。

※本記事は2026年時点の公表情報にもとづく一般的な解説です。改正の内容・施行時期は変わり得るため、最新・確定の内容は厚生労働省の公式情報をご確認ください。

この記事の目次

女性活躍推進法とは

制度の骨格(行動計画×情報公表)

女性活躍推進法(正式名称:女性の職業生活における活躍の推進に関する法律)は、働く場での女性の活躍を後押しするため、2015年に成立した法律です。仕組みはシンプルで、対象企業に次の2つを義務づけます。

  • ①行動計画:自社の女性活躍の状況を把握・分析し、数値目標入りの「一般事業主行動計画」を作って届け出る。
  • ②情報公表:女性管理職比率などの実績データを、求職者や社会に見える形で公表する。

「目標を立てさせ、実績を公表させる」——数字を外に出すことで自律的な改善を促す、開示ベースの制度設計です。

強化の流れ(101人拡大・賃金差異・延長)

制度は段階的に強化されてきました。当初は常時雇用301人以上が対象でしたが、2022年4月から101人以上に拡大。同年7月には、301人以上の企業に男女間賃金差異の公表が義務づけられました。さらに、10年間の時限立法だった本法は2025年の改正で延長され、女性管理職比率の公表義務化など公表項目の拡充も進められているとされます。「一過性の取り組み」ではなく、恒常的な開示義務として定着していく流れです。

対象企業と義務の中身

企業規模(常時雇用)義務の内容
301人以上行動計画の策定・届出・公表+情報公表(男女間賃金差異は必須。管理職比率等の公表義務も拡充の方向とされる)
101〜300人行動計画の策定・届出・公表+情報公表(項目を選択して公表)
100人以下努力義務(任意で取り組み・公表が可能)

一般事業主行動計画(4ステップ)

STEP1
状況把握・課題分析
(採用比率・勤続年数等)
STEP2
数値目標入りの
行動計画を策定
STEP3
労働局へ届出・
社内周知・公表
STEP4
実行・点検・
次期計画へ

状況把握では、採用者に占める女性比率・男女の平均勤続年数の差・労働時間・管理職比率の4項目(基礎項目)の把握が基本とされます。課題が見えたら、「採用に占める女性比率を〇%以上に」「女性管理職を〇人に」といった数値目標を含む計画を作り、届出・公表します。

情報公表(男女賃金差異・管理職比率)

公表は自社サイトのほか、厚労省の「女性の活躍推進企業データベース」への掲載が一般的です。とくに注目度が高いのが男女間賃金差異(全労働者・正規・非正規の3区分)と女性管理職比率で、求職者・取引先・投資家が企業比較に使う「見られる数字」になっています。公表した数字は放置せず、毎年更新することが信頼につながります。

えるぼし・プラチナえるぼし認定

取り組みが優良な企業は、申請によりえるぼし認定(3段階)を受けられます。採用・継続就業・労働時間・管理職比率・多様なキャリアコースの5基準の充足数で段階が決まり、さらに高水準の企業はプラチナえるぼしに認定されます。

  • 公共調達で有利:国の調達で加点評価の対象になるとされ、官公庁と取引する企業には実利が大きい。
  • 採用ブランディング:認定マークを求人・名刺・サイトに使え、「働きやすさ」の客観的な証明になる。
  • 取引先・投資家への説明力:後述のESG評価・人的資本開示でもポジティブな材料になる。

ESG・人的資本開示とのつながり

女性活躍推進法の数字は、いまやESGの中核データです。2023年3月期から、有価証券報告書のサステナビリティ開示で、女性管理職比率・男女間賃金差異・男性育児休業取得率の記載が求められるようになりました(本法等にもとづく公表企業が対象とされる)。つまり本法への対応が、そのまま有報の人的資本開示の土台になります。

投資家の視点でも、ジェンダー多様性は人的資本経営の主要指標であり、ESG評価機関や議決権行使(取締役会の多様性基準)でも重視されています。制度対応を「義務」で終わらせず、DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)の戦略に位置づけることが、採用・定着・企業価値の面での回収につながります。健康経営人権デューデリジェンスと並ぶ、「S(社会)」領域の柱として捉えましょう。

実務の進め方|5つのステップ

  1. データを揃える:採用・賃金・管理職・労働時間・育休の男女別データを人事システムから毎年取れる状態にする(有報開示とも共通の基盤)。
  2. 差の「理由」を分析する:賃金差異は等級・勤続・職種構成の影響が大きい。数字の背景を説明できるようにしておく(説明欄の活用)。
  3. 実効性のある目標を立てる:形式的な目標より、採用パイプライン・登用・両立支援など自社のボトルネックに効く目標を。
  4. 公表をアップデート:データベース・自社サイト・有報の数字を毎年整合させる。矛盾は信頼を損なう。
  5. 認定に挑戦:基準を満たせるなら、えるぼし申請で取り組みを「見える資産」にする。

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まとめ

  • 女性活躍推進法は、101人以上の企業に行動計画+情報公表を義務づける開示ベースの制度。
  • 男女間賃金差異(301人以上)や女性管理職比率は、求職者・投資家に「見られる数字」。2025年改正で制度は延長・拡充の方向とされる。
  • 優良企業はえるぼし・プラチナえるぼし認定で、公共調達の加点や採用ブランディングの実利がある。
  • 本法のデータ整備は、そのまま有報の人的資本開示・DE&I・ESG評価への対応基盤になる。
  • 実務はデータ整備→差の分析→実効性ある目標→公表更新→認定の順で。

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リンク先は2026年時点で確認した公的機関の公開情報です(一部サイトは自動アクセス制限がありブラウザでご覧ください)。制度は改正されるため、最新は公式情報をご確認ください。

厚生労働省|女性活躍推進法特集ページ厚生労働省|女性の活躍推進企業データベース

よくある質問(FAQ)

Q. 女性活躍推進法の対象になるのはどんな会社ですか?

A. 常時雇用する労働者が101人以上の企業です(2022年4月に301人以上から拡大)。行動計画の策定・届出・公表と、女性活躍に関する情報公表が義務になります。100人以下は努力義務です。

Q. 何を公表しなければいけませんか?

A. 女性採用比率・管理職比率・労働時間の状況などから項目を選んで公表します。301人以上の企業は男女間賃金差異(全労働者・正規・非正規)の公表が必須で、女性管理職比率など公表項目は拡充の方向とされます。公表先は自社サイトや厚労省「女性の活躍推進企業データベース」が一般的です。

Q. えるぼし認定を取るメリットは何ですか?

A. 国の公共調達での加点評価、認定マークによる採用ブランディング、取引先・投資家への客観的な説明力が主なメリットです。基準は採用・継続就業・労働時間・管理職比率・多様なキャリアコースの5つで、充足数に応じて3段階+プラチナがあります。

Q. ESG・人的資本開示とはどう関係しますか?

A. 有価証券報告書では女性管理職比率・男女間賃金差異・男性育休取得率の開示が求められており、本法対応で整えたデータがそのまま土台になります。ジェンダー多様性はESG評価や機関投資家の議決権行使でも重視される、S(社会)領域の中核指標です。

最終更新日:2026年8月27日

この記事の著者

greenote編集部

ESG・サステナビリティ専門メディア 編集部

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