GXリーグとは|目的・3つの取り組みとGX-ETSの仕組みを解説

2026.06.12
気候変動

「GXリーグに賛同しました」。大手企業のニュースで、そんな言葉を見かける機会が増えました。日本の脱炭素を、企業の力で前に進める。その中心にあるのがGXリーグです。

GXリーグとは、GX(グリーントランスフォーメーション)に積極的に取り組む企業が、官公庁・大学・金融機関などと協働する枠組みを指します。経済産業省が主導し、2023年度から本格的に動き出しました。脱炭素を、コストではなく成長の機会へ。その発想が根底にあります。

本記事では、GXリーグの意味と成り立ちから、3つの取り組み、排出量取引制度GX-ETSの仕組み、GX推進法や成長志向型カーボンプライシングとの関係、そして参加のメリットと留意点まで、わかりやすく解説します。お役に立てれば幸いです。

GXリーグとは

GXに取り組む企業が
官・学・金融と協働する場

主導経済産業省
基本構想の公表2022年2月
本格稼働2023年度(第1フェーズ)
参加企業747社(2024年度)

参加企業は日本の温室効果ガス排出量の5割超を占めます。2050年カーボンニュートラルを目指します。

この記事の目次

GXリーグとは|GXに取り組む企業の協働の場

まずは、GXリーグという言葉の意味と、その成り立ちを押さえましょう。ここを理解すると、3つの取り組みの狙いも見えてきます。

GXリーグとは

GXリーグは、脱炭素に本気で取り組む企業が集い、ともに未来をつくる「場」です。経済産業省 環境経済室長による解説でも、2050年カーボンニュートラルの実現と、新たな市場の創造を目指す枠組みだと語られていました。

ここでいうGXとは、グリーントランスフォーメーションの略。化石燃料中心の経済・社会を、クリーンエネルギー中心へと転換し、それを成長につなげる取り組みを指します。GXリーグは、その変革を、企業が官・学・金融と手を取り合って進めるための土台なのです。脱炭素全体の考え方は、関連記事のカーボンニュートラルとは|意味・脱炭素との違いと2050年目標・企業の取り組みもあわせてご覧ください。

設立の背景と経緯

GXリーグの構想が動き出したのは、2022年2月でした。経済産業省が「GXリーグ基本構想」を公表し、賛同する企業の募集を始めたのです。当初、440社が賛同を表明しました。

その後、準備期間を経て、2023年度(2023年4月)から第1フェーズが本格的に稼働します。気候変動への対応が急務となるなか、規制で縛るのではなく、意欲ある企業の自主的な行動を引き出す。その仕組みとして設計された点が、GXリーグの特徴といえるでしょう。

参加企業の状況

参加企業の数は、年々増える傾向です。2023年度の568社から、2024年度には新たに179社が加わり、合計747社となりました。製造業から金融、サービス業まで、その顔ぶれは多彩です。

注目すべきは、その排出規模です。GXリーグの参加企業は、日本の温室効果ガス排出量の5割超を占めるとされる規模です。日本の主要な多排出企業の多くが名を連ねており、その動向は日本全体の脱炭素を大きく左右します。

GXリーグの3つの取り組み(3つの「場」)

GXリーグの活動は、3つの「場」で構成されています。対話・ルール形成・排出量取引。それぞれの役割を見ていきましょう。

GXリーグの3つの取り組み(場)

対話・ルール・取引で日本のGXを後押し

1

未来社会像対話の場

産官学民が対話し、目指す未来像と移行像を描く

2

市場ルール形成の場

新たなビジネスや市場を生むルールづくりを行う

3

自主的な排出量取引の場

高い削減目標を掲げ、GX-ETSで排出量を取引する

3つ目のGX-ETSが、GXリーグの実践的な核心です。

未来社会像対話の場

1つ目が、未来社会像対話の場です。産官学民の幅広い関係者が集まり、ワーキンググループなどを通じて、目指すべき未来像を描きます。2050年に向けて、経済社会システムをどう移行させるか。その絵姿を、対話によって共有していくわけです。

脱炭素は、一社の努力だけでは実現できません。だからこそ、立場を超えた対話を通じて、進むべき方向を見定める。この対話が、後のルールづくりや行動の出発点になります。

市場ルール形成の場

2つ目が、市場ルール形成の場です。描いた未来像を踏まえ、新たなビジネスモデルや市場を生み出すための、ルールづくりを担う場です。脱炭素を進める製品やサービスが、正しく評価され、選ばれる。そんな市場の土台を整える取り組みです。

ルールは、できあがってから従うものと思われがちです。しかしGXリーグでは、企業自らがルール形成に関わります。先んじてルールづくりに参画できる点は、参加企業にとって大きな意味を持つでしょう。

自主的な排出量取引の場(GX-ETS)

3つ目が、自主的な排出量取引の場です。参加企業が高い排出削減目標を自主的に掲げ、その達成に取り組みます。そして、削減の進捗を開示し、排出量取引(GX-ETS)を通じて過不足を調整します。

この排出量取引の仕組みこそ、GXリーグの実践的な核心です。次の章で、その中身を詳しく見ていきましょう。

GX-ETS(排出量取引)の仕組み

GXリーグの柱の一つが、排出量取引制度のGX-ETSです。2つのフェーズに分けて、その仕組みと変化を確認しましょう。

GX-ETSの2つのフェーズ

自主的な試行から、本格稼働・義務化へ

第1フェーズ

2023〜2025年度(自主)

企業が自主的に削減目標を設定・開示する、試行(パイロット)の段階。

第2フェーズ

2026年度〜(本格稼働)

改正GX推進法に基づき本格稼働。直接排出が年10万トン以上などの企業に義務化の要素。

自主の段階から、義務的な要素を伴う段階へと移ります。

GX-ETSとは

GX-ETSは、GXリーグの下で行われる排出量取引制度です。解説動画『GXリーグとGX-ETS』でも、企業が自ら削減目標を設定し、その達成を目指す日本独自の取引制度だと紹介されていました。

排出量取引そのものの基本的な仕組みは、関連記事の排出量取引制度(GX-ETS)とは|2026年度の本格稼働と企業への影響で詳しく解説しています。ここでは、GXリーグの中でどう位置づけられるかに焦点を当てます。

第1フェーズ(2023〜2025年度・自主)

GX-ETSは、2つのフェーズに分かれます。まず第1フェーズが、2023年度から2025年度までです。この段階は、企業の自主性に重きを置いた、いわばパイロット(試行)期間にあたります。

参加企業は、自ら削減目標を設定し、その進捗を開示します。罰則を伴う強い義務ではなく、まずは自主的な取り組みで経験を積む。そうして制度を育てながら、本格稼働への助走とする狙いがあったのです。

第2フェーズ(2026年度〜・義務化へ)

大きく変わるのが、2026年度から始まる第2フェーズです。ここでGX-ETSは本格稼働の段階に入ります。2025年には改正GX推進法が成立し、その法的な裏づけが整えられました。

解説動画『GX-ETSって、うちの会社も対象なん?』でも整理されていたように、第2フェーズでは、直接排出量が一定規模以上の企業に、参加の義務化が予定されています。対象は、CO2の直接排出量が年10万トン以上の法人などです。自主の段階から、義務的な要素を伴う段階へ。日本の排出量取引は、新たな局面を迎えます。

GX推進法・成長志向型カーボンプライシングとの関係

GXリーグは、日本の脱炭素政策の大きな枠組みの一部です。GX推進法やカーボンプライシングとの関係を整理しましょう。

GXリーグの沿革

構想から本格稼働、義務化フェーズへ

2022年2月
GXリーグ基本構想を公表 ― 経済産業省。440社が賛同を表明
2023年度
第1フェーズ 本格稼働 ― GX推進法が成立。GX-ETSの自主的取引が開始
2025年
改正GX推進法 成立 ― 排出量取引の本格稼働へ制度を整備
2026年度
GX-ETS 第2フェーズ開始 ― 本格稼働。多排出企業に義務化の要素

GXリーグは成長志向型カーボンプライシングの一翼を担います。

GX推進法と改正(2025年)

GXリーグの法的な土台となるのが、GX推進法です。2023年に成立し、脱炭素に向けた先行投資を国が後押しする枠組みを定めました。そして2025年には、改正GX推進法も成立済みです。

この改正により、GX-ETSの本格稼働や、義務化に向けた制度的な裏づけが整えられました。GX推進法の全体像は、関連記事のGX推進法とは|カーボンプライシングと企業への影響・対応策で解説しています。

成長志向型カーボンプライシングの中での位置づけ

GXリーグとGX-ETSは、日本が掲げる「成長志向型カーボンプライシング」を構成する、重要なピースです。カーボンプライシングとは、CO2の排出に価格をつけて削減を促す仕組みの総称になります。

その全体像のなかで、GX-ETSは「排出量取引」を担います。これに、2028年度から始まる化石燃料賦課金が組み合わさり、日本のカーボンプライシングは形づくられていくのです。全体像は、関連記事のカーボンプライシングとは|炭素税・排出量取引の種類と日本の動向もあわせてご覧ください。

GX経済移行債との連動

もう一つ、見逃せないのがGX経済移行債との連動です。これは、政府が脱炭素の先行投資を支援するために発行する国債で、今後10年間で大規模な投資が見込まれているのです。

排出削減に取り組む多排出企業を中心に、こうした支援策とGXリーグの取り組みが連動していきます。負担を求めるだけでなく、投資で後押しする。脱炭素を成長につなげる「成長志向型」の考え方が、ここにも表れているといえるでしょう。

GXリーグに参加するメリットと留意点

企業がGXリーグに参加すると、何が得られるのでしょうか。メリットと留意点の両面を確認しましょう。

GXリーグに参加するメリットと留意点

発信力やネットワークの一方、相応の責任も

メリット

  • 脱炭素企業としての発信力・評価の向上
  • 市場ルール形成への参画(先行者メリット)
  • 官学金融・他企業とのネットワーク構築

留意点

  • 高い削減目標の設定が求められる
  • 進捗の開示などの負担
  • 第2フェーズでの義務化への対応

参加を目的化せず、自社の脱炭素戦略と照らして検討することが大切です。

参加するメリット

GXリーグに参加するメリットは、いくつもあります。第一に、脱炭素に積極的な企業としての発信力と評価の向上です。投資家や顧客、取引先からの信頼につながります。

加えて、前述の市場ルール形成に関わることで、先行者としての優位を得られる点も大きいでしょう。さらに、官・学・金融や他の参加企業とのネットワークも築けます。脱炭素という共通の課題に挑む仲間と、知見を交わせる場でもあるのです。

留意点と負担

一方で、留意点もあります。GXリーグでは、高い排出削減目標を自主的に掲げることが求められます。掲げた以上、その達成に向けて、相応の努力と投資が必要になります。

また、目標の進捗を開示する負担も生じます。そして、第2フェーズでは、対象となる企業に義務化の要素が加わります。参加は「自主的」とはいえ、いったん参加すれば、相応の責任が伴う点は理解しておくべきでしょう。

参加の流れ

GXリーグへの参加を検討する場合、まずは公式サイトで募集要項や賛同の要件を確認するところから始まります。賛同企業として登録し、削減目標の設定や、GX-ETSへの参加へと進んでいく流れです。

大切なのは、参加そのものを目的にしないことです。自社の脱炭素戦略のなかに、GXリーグへの参加をどう位置づけるか。その見極めが、取り組みを実りあるものにします。カーボンクレジットの活用とあわせた戦略は、関連記事のカーボンクレジットとは|J-クレジット制度・種類と購入・活用方法も参考になります。

まとめ|GXリーグは日本のGXを動かす場

GXリーグとは、GXに取り組む企業が、官・学・金融と協働する枠組みでした。経済産業省が2022年に基本構想を公表し、2023年度から本格的に動き出した取り組みです。未来社会像の対話、市場ルールの形成、そして自主的な排出量取引(GX-ETS)という3つの「場」を通じて、日本の脱炭素を後押しする仕組みです。

中核となるGX-ETSは、自主的な第1フェーズ(2023〜2025年度)を経て、2026年度からの第2フェーズで本格稼働し、一部の多排出企業には義務化の要素が導入されます。GXリーグは、GX推進法を土台とし、化石燃料賦課金とともに「成長志向型カーボンプライシング」を構成する、重要な一翼です。参加企業は日本の排出量の5割超を占め、その動向が日本全体のGXを左右します。

脱炭素は、もはや一部の先進企業だけのテーマではありません。GXリーグの動きは、いずれ多くの企業に関わってきます。まずは自社の排出量と削減目標を把握し、GXリーグやGX-ETSが自社にどう関係するのかを考えることから、始めてみてはいかがでしょうか。ESG・脱炭素の全体像はESGとは|意味・E/S/G・情報開示・投資まで完全ガイドもあわせてご覧ください。greenoteでは、脱炭素やサステナビリティの実務情報を、これからもお届けしていきます。

よくある質問(FAQ)

Q. GXリーグとは何ですか? A. GXリーグとは、GX(グリーントランスフォーメーション=脱炭素を通じた社会変革)に積極的に取り組む企業が、官公庁・大学・金融機関などと協働する枠組みです。経済産業省が主導し、2022年2月に基本構想を公表、2023年度から本格稼働しました。2050年カーボンニュートラルと、新たな市場の創造を目指しています。

Q. GXリーグの3つの取り組みとは何ですか? A. ①未来社会像について対話する「場」、②脱炭素に向けた新しい市場のルールを形成する「場」、③高い削減目標を自主的に掲げ排出量取引を行う「場」(GX-ETS)、の3つです。対話・ルールづくり・実際の排出削減という、3つの側面から日本のGXを後押しする構成になっています。

Q. GX-ETSとは何ですか? A. GX-ETSは、GXリーグの下で行われる排出量取引制度です。参加企業が自ら排出削減目標を設定し、その達成に向けて取り組みます。第1フェーズ(2023〜2025年度)は企業の自主性を重視した段階で、第2フェーズ(2026年度〜)から本格稼働します。改正GX推進法により、一部の多排出企業には義務化の要素が導入される予定です。

Q. GXリーグにはどのくらいの企業が参加していますか? A. 2024年度時点で、747社が参画しています(2023年度の568社から増加)。参加企業は、日本の温室効果ガス排出量の5割超を占めるとされ、日本の主要な多排出企業の多くが名を連ねています。製造業からサービス業まで、幅広い業種が参加しています。

Q. GXリーグとGX推進法はどう関係していますか? A. GXリーグは、日本の「成長志向型カーボンプライシング」を構成する取り組みの一つで、その法的な土台がGX推進法です。2023年に成立したGX推進法に基づき、GX経済移行債による先行投資支援や、排出量取引(GX-ETS)が進められています。2025年には改正GX推進法が成立し、排出量取引の本格稼働に向けた制度が整備されました。

Q. GXリーグに参加するメリットは何ですか? A. 脱炭素に取り組む企業としての対外的な発信力の向上、ルール形成への参画による先行者メリット、他企業や官学金融とのネットワーク構築などが挙げられます。一方で、高い削減目標の設定や、その進捗の開示といった負担も伴います。自社の脱炭素戦略と照らして、参加を検討することが大切です。

出典・参考(一次情報)

※ 本記事は上記の一次情報をもとにgreenote編集部が整理しています。最新の内容は各公式サイトでご確認ください。

編集責任

greenote編集責任者

サステナビリティ実務・編集統括

ESG・サステナビリティ開示・脱炭素分野の一次情報を継続的に確認し、greenote掲載記事の企画・編集・公開に責任を持っています。官公庁・国際機関の公式情報に基づく編集方針を統括しています。

最終更新日:2026年6月20日

この記事の著者

greenote編集部

運営

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