ウェルビーイング経営とは|健康経営との違い・5つの要素と実践ステップをわかりやすく解説

2026.08.26
ESG開示

給与や福利厚生を整えても、エンゲージメントが上がらない。休職者が減らない——そんな企業が次に向き合うテーマがウェルビーイング経営です。従業員が心身ともに健康で、仕事と人生に満足し、力を発揮できている状態(Well-being)を、経営の目標として扱う考え方です。

この記事では、ウェルビーイングとは何か(健康経営との違い)、なぜいま経営テーマになったのか、構成要素と測り方、実践のステップ、そして人的資本開示・ESGとのつながりまでを、わかりやすく解説します。

※本記事は2026年時点の公表情報・研究にもとづく一般的な解説です。

この記事の目次

ウェルビーイング経営とは

Well-being=「よく在る」状態

ウェルビーイング(Well-being)は、WHO憲章の健康の定義——「病気でないだけでなく、身体的・精神的・社会的に良好な状態」——に由来する言葉です。企業文脈では、従業員が心身ともに健康で、仕事にやりがいを感じ、良い人間関係の中で、経済的にも安定して働けている状態を指します。これを福利厚生の「おまけ」ではなく経営の目標・指標として扱うのがウェルビーイング経営です。

日本でも、政府の経済政策文書にWell-beingが位置づけられ、内閣府が満足度・生活の質に関する指標(Well-beingダッシュボード)を整備するなど、個人の主観的な幸福を「測って良くする」対象とする流れが定着しつつあります。

健康経営との違い

混同されやすいのが健康経営です。関係は「部分と全体」で捉えると分かりやすいです。

健康経営
心身の健康が中心。健診・運動・メンタルヘルス等の施策で、優良法人認定など制度も整備。
ウェルビーイング経営
健康に加え、やりがい・人間関係・成長・経済的安定まで含む全体概念。働く体験そのものを設計する。

なぜいま経営テーマなのか

  • 人材獲得競争:報酬だけでは人が採れない・辞めていく時代に、「ここで働くと人生が良くなるか」が選社基準になった。
  • エンゲージメントと業績の接続:働きがいと生産性・離職率の関係が広く知られるようになり、ウェルビーイングが「コスト」ではなく「投資」として扱われ始めた。
  • 人的資本開示の広がり人的資本経営の流れで、エンゲージメントスコアや健康関連指標を投資家に開示する企業が増加。ウェルビーイングは開示の中核テーマの一つに。
  • リモート・多様な働き方:働き方が多様化し、画一的な福利厚生では従業員の状態を支えきれなくなった。

何で構成されるか|5つの要素と測り方

ウェルビーイングの整理には諸説ありますが、実務では次の5要素で捉えると設計しやすいとされます(ギャラップ社の5要素等を参考にした一般的な整理)。

要素内容測る指標の例
キャリア仕事のやりがい・成長実感エンゲージメントスコア
身体・心心身の健康・活力ストレスチェック・プレゼンティーイズム
人間関係信頼できる仲間・上司心理的安全性の設問
経済報酬・雇用の安定への納得報酬満足度・賃金差異の点検
コミュニティ組織・社会とのつながり帰属意識・eNPS

実践のステップ|制度より「日々の仕事」から

  1. 現状を測る:サーベイで5要素の現在地を可視化(部署別・属性別に見られる設計に)。
  2. ボトルネックを特定する:全社一律施策ではなく、「どの部署の・どの要素が低いか」から着手先を決める。
  3. 日々の仕事に埋め込む:ウェルビーイングを最も左右するのは直属の上司との関係と仕事の裁量とされる。1on1の質、業務量の調整、心理的安全性づくりが本丸で、福利厚生の追加は補助線。
  4. 経営指標に組み込む:エンゲージメント等を役員のKPIや開示に載せ、「気にかけるべき数字」に格上げする。
  5. 回して改善する:年1回のサーベイで終わらせず、施策→再測定のサイクルを固定化。

人的資本開示・ESGとのつながり

ウェルビーイングはESGの「S」の統合概念です。健康経営(心身)、DE&I(公平な機会)、心理的安全性(人間関係)、女性活躍(登用と賃金)——これらの施策は、突き詰めれば「従業員のウェルビーイング」という一つの目的に収れんします。

開示の面でも、人的資本経営の枠組みでエンゲージメントスコアや健康指標を統合報告書・有報で示す企業が増えており、ウェルビーイングは投資家との対話テーマになりつつあります。バラバラに見える人事施策を「ウェルビーイング」で束ね直すと、開示にも社内にも一本のストーリーが通ります。

まとめ

  • ウェルビーイング経営は、従業員が心身・やりがい・人間関係・経済面で良好な状態を経営目標として扱う考え方。
  • 健康経営は中核部分。ウェルビーイングはその全体版
  • 構成はキャリア・身体心・人間関係・経済・コミュニティの5要素で捉え、サーベイで測る。
  • 効くのは福利厚生の追加より、上司との関係・裁量・心理的安全性という日々の仕事の質。
  • 人的資本開示の中核テーマとして、S領域の施策を束ねる旗印になる。

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出典・参考資料(一次情報)

リンク先は2026年時点で確認した公的機関等の公開情報です。

内閣府|Well-beingに関する取り組み(満足度・生活の質に関する調査)経済産業省|人的資本経営

よくある質問(FAQ)

Q. ウェルビーイング経営とは何ですか?

A. 従業員が身体的・精神的・社会的に良好な状態(Well-being)——健康、やりがい、良い人間関係、経済的安定——を、福利厚生ではなく経営の目標・指標として扱う考え方です。エンゲージメントや離職率、生産性との関係から「投資」として位置づけられます。

Q. 健康経営との違いは何ですか?

A. 健康経営は心身の健康に焦点を当てた取り組みで、ウェルビーイング経営はそれを含む全体概念です。健康に加えて、仕事のやりがい・人間関係・経済的な納得感・組織とのつながりまでを対象にします。

Q. 何から始めればよいですか?

A. まずサーベイで現状を部署別・属性別に測り、弱い要素から着手します。効果が大きいのは福利厚生の追加よりも、上司との1on1の質、業務の裁量、心理的安全性といった「日々の仕事の質」の改善とされます。測定→施策→再測定のサイクルを固定化することが重要です。

最終更新日:2026年8月27日

この記事の著者

greenote編集部

ESG・サステナビリティ専門メディア 編集部

官公庁・国際機関・企業の一次情報に基づき、ESG・環境情報・サステナビリティ開示・IRの実務に役立つ解説を、出典を明記して発信しています。各記事は編集部が一次情報との整合を確認のうえ作成しています。詳しくは編集方針・運営者情報をご覧ください。

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サステナビリティ実務・編集統括

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