セブン&アイのESG経営を分析|GREEN CHALLENGE 2050と食品ロス

2026.07.19
サステナビリティ開示

ESG Company Analysis

小売国内

コンビニは、私たちの生活に、最も近い場所のひとつです。その最大手が、セブン-イレブンを展開するセブン&アイ・ホールディングスだ。毎日、無数の人が訪れ、膨大な商品が売られる。だからこそ、その環境への影響は大きく、脱炭素の責任も重くなります。とりわけ、食品を大量に扱う小売業ならではの「食品ロス」は、避けて通れない課題です。本記事では、セブン&アイのESG経営を、環境宣言「GREEN CHALLENGE 2050」を軸に、公式情報をもとに中立に分析します。

この記事の目次

01

セブン&アイのESG経営とは|暮らしに最も近い小売

まず、セブン&アイがどんな企業で、そのESGの全体像を整理しましょう。

暮らしから、環境を変える

GREEN CHALLENGE 2050(環境宣言)
CO2排出量の削減
プラスチック対策
食品ロス・食品リサイクル対策
持続可能な調達

コンビニを中心とする巨大小売グループが、店舗と商品の両面から取り組む。

出典:セブン&アイ・ホールディングスの公表情報をもとにgreenote作成

コンビニを中心とする巨大小売グループ

セブン&アイ・ホールディングスは、コンビニエンスストア「セブン-イレブン」を中心とする、日本を代表する巨大小売グループです。スーパーや専門店なども傘下に持ちます。全国に無数の店舗を展開し、私たちの毎日の買い物に、最も身近にかかわる企業のひとつだ。

その事業の規模は、桁外れです。だからこそ、影響も大きくなります。多数の店舗を動かす電力、大量に扱う商品とその容器、そして売れ残る食品。これらすべてが、環境負荷につながります。裏を返せば、これほど身近な企業が変われば、社会に与える影響も大きい。ここに、小売業のESGの重要性がある。

GREEN CHALLENGE 2050という環境宣言

セブン&アイの環境への取り組みを束ねるのが、「GREEN CHALLENGE 2050」という環境宣言です。この宣言は、大きく4つのテーマで構成されています。第一が、CO2排出量の削減。第二が、プラスチック対策。第三が、食品ロス・食品リサイクル対策。第四が、持続可能な調達です。

注目したいのは、この4つが、店舗と商品の両面をカバーしている点です。CO2削減は主に店舗の運営を、プラスチックや食品ロス、調達は主に商品を対象にします。小売業の環境負荷は、自社の店舗だけでなく、売る商品にも広がります。その全体をとらえようとする点が、この宣言の特徴です。それぞれ2030年と2050年の目標を掲げ、グループ全体で取り組んでいる。

02

CO2排出削減|店舗運営を2050年に実質ゼロ

まず、GREEN CHALLENGE 2050の1つ目のテーマ、脱炭素を見ていきます。

店舗から、CO2を減らす

2013年度店舗運営のCO2排出量の基準
2030年2013年度比で50%削減
2050年排出量を実質ゼロ

店舗は冷蔵冷凍設備や照明・空調で多くの電力を使う。省エネ設備・太陽光・再エネ切り替えで削減。

出典:セブン&アイ・ホールディングスの公表情報をもとにgreenote作成

GREEN CHALLENGE 2050の1つ目のテーマが、CO2排出量の削減です。セブン&アイは、グループの店舗運営にともなうCO2排出量を、2013年度比で、2030年までに50%削減、そして2050年には実質ゼロにする目標を掲げています。脱炭素の全体像は、関連記事のカーボンニュートラルとはもあわせてご覧ください。

なぜ店舗が中心なのか。それは、コンビニやスーパーの店舗が、多くの電力を使うからです。24時間営業の店舗では、冷蔵・冷凍のショーケース、照明、空調などが、絶えず電気を消費します。そこでセブン&アイは、省エネ性能の高い設備への切り替えや、店舗の屋根への太陽光発電の設置、使う電力の再生可能エネルギーへの切り替えなどを進めている。無数の店舗の一つひとつを省エネ化する。その積み重ねが、大きな削減につながる。脱炭素の考え方は、関連記事のネットゼロとはもあわせてご覧ください。

03

食品ロス・食品リサイクル|コンビニ最大の課題

食品を大量に扱う小売業ならではの、重い課題です。

食べ物を、捨てない

-75%食品廃棄物を2013年度比で2050年までに削減(発生原単位)
100%飼料などへのリサイクル率を100%に

販売期限が近い商品の値引き、需要予測による発注精度の向上、消費者への呼びかけなどで減らす。

出典:セブン&アイ・ホールディングスの公表情報をもとにgreenote作成

セブン&アイのESGで、とりわけ特徴的なのが、食品ロス・食品リサイクル対策です。コンビニやスーパーは、大量の食品を扱います。しかし、売れ残ってしまえば、それは廃棄され、食品ロスになります。食品を扱う小売業にとって、これは最も重い課題のひとつです。

セブン&アイは、この課題に具体的な目標で臨んでいます。食品廃棄物を、2013年度比で、2050年までに75%削減(発生原単位)し、飼料などへのリサイクル率を100%にする、という内容です。実現に向けて、販売期限の近い商品の値引き販売、AIなどを使った需要予測による発注精度の向上、そして消費者への呼びかけなど、さまざまな工夫を重ねている。食べ物を捨てないことは、CO2削減にも、資源の節約にもつながる。小売業ならではの、重要な取り組みです。循環型の考え方は、関連記事のサーキュラーエコノミーとはもあわせてご覧ください。

04

プラスチック対策と持続可能な調達|残る2つのテーマ

GREEN CHALLENGE 2050の残る2つのテーマも見ておきましょう。

商品そのものを、変える

プラスチック対策2050年までにオリジナル商品の容器を、バイオマス・生分解性・リサイクル素材・紙などの環境配慮型素材100%に
持続可能な調達オリジナル商品の食品原材料で、持続可能性が認められた材料を2030年に50%・2050年に100%

店舗だけでなく、商品そのものを環境に配慮したものへ変えていく。

出典:セブン&アイ・ホールディングスの公表情報をもとにgreenote作成

残る2つのテーマも見ておきましょう。3つ目が、プラスチック対策です。コンビニは、弁当やおにぎり、飲料など、多くの商品でプラスチック容器を使います。そこでセブン&アイは、2050年までに、オリジナル商品で使う容器を、環境配慮型の素材100%にする目標を掲げています。具体的には、バイオマス(植物由来)、生分解性、リサイクル素材、そして紙などです。

4つ目が、持続可能な調達です。セブンプレミアムなどのオリジナル商品に使う食品原材料について、持続可能性が認められた材料の使用割合を、2030年に50%、2050年に100%にする目標です。原材料の生産が、森林破壊や過剰な漁獲などにつながらないよう配慮します。店舗の運営だけでなく、商品そのものを環境に配慮したものへ変えていく。この2つのテーマは、その意思を表しています。責任ある調達については、関連記事の責任ある調達とはもあわせてご覧ください。

05

身近だからできること|消費者を巻き込む力

セブン&アイのESGには、小売業ならではの強みがあります。

一番近いから、動かせる

消費者に最も近い小売業
環境配慮商品を届ける環境に配慮した選択肢を店頭に並べる
食品ロス削減に協力を促す値引き商品などで消費者に呼びかける
行動変容のきっかけ日々の買い物を通じて意識を変える

無数の店舗と商品を通じ、社会全体の行動を変えうる

出典:セブン&アイ・ホールディングスの公表情報をもとにgreenote作成

セブン&アイのESGを考えるとき、忘れてはならない強みがあります。それは、消費者に最も近いという立場です。製造業や素材メーカーと違い、小売業は、私たち一人ひとりと、店頭で直接つながっています。

この近さは、大きな力になります。環境に配慮した商品を店頭に並べれば、消費者はそれを手に取れる。食品ロスを減らすため、販売期限の近い商品の購入を呼びかければ、多くの人が協力できます。日々の買い物という、ごく身近な行動を通じて、人々の意識や行動を、少しずつ変えられる。セブン&アイのような巨大小売グループが動けば、その影響は、無数の消費者へと広がります。自社を脱炭素するだけでなく、社会全体の行動を変えうる。ここに、小売業のESGの、大きな可能性があります。

06

まとめ|セブン&アイのESG経営から学べること

セブン&アイの歩みは、暮らしに近い企業が、どう社会を変えうるかを示してくれます。最後に、要点を振り返りましょう。

セブン&アイに学ぶ、3つのこと

店舗と商品の両面GREEN CHALLENGE 2050の4テーマで幅広く取り組む
食品ロスに正面から小売業最大の課題に、具体的な目標で挑む
消費者を巻き込む最も近い立場を生かし、社会の行動を変える

出典:セブン&アイ・ホールディングスの公表情報をもとにgreenote作成

セブン&アイのESG経営を振り返ると、いくつもの学びが見えてきます。

  • コンビニを中心とする巨大小売グループ。暮らしに最も近く、環境への影響も大きい
  • 環境宣言GREEN CHALLENGE 2050=CO2削減・プラスチック対策・食品ロス対策・持続可能な調達の4テーマ
  • 店舗運営のCO2を、2013年度比で2030年50%削減・2050年実質ゼロへ(省エネ・太陽光・再エネ)
  • 食品ロスは小売業最大の課題。食品廃棄物を2050年までに75%削減、リサイクル率100%へ
  • 容器の環境配慮素材100%、持続可能な調達100%と、商品そのものも変えていく

セブン&アイから学べるのは、暮らしに近い企業ほど、社会を変える力を持つということです。無数の店舗と商品は、環境負荷の源であると同時に、環境配慮を広げる場でもあります。食品ロスの削減も、環境配慮型の容器も、私たち消費者の行動と、分かちがたく結びついています。自社の店舗を脱炭素するだけでなく、商品と売り場を通じて、社会全体の行動を変えていく。その可能性こそが、小売業のESGの、いちばんの魅力だといえます。なお本記事は、特定の企業や投資を推奨するものではありません。ESG・脱炭素の最新動向は、これからもgreenoteでお届けしていきます。

FAQ

よくある質問(FAQ)

Q. セブン&アイ・ホールディングスとはどんな企業ですか?

セブン&アイ・ホールディングスは、コンビニエンスストア「セブン-イレブン」を中心とする、日本を代表する巨大小売グループです。スーパーや専門店なども傘下に持ちます。全国に無数の店舗を展開し、私たちの毎日の買い物に、最も身近にかかわる企業のひとつです。膨大な数の店舗と商品を扱うため、その環境への影響は大きく、ESGへの取り組みが重要になります。

Q. GREEN CHALLENGE 2050とは何ですか?

GREEN CHALLENGE 2050は、セブン&アイ・グループの環境宣言です。大きく4つのテーマで構成されています。1つ目がCO2排出量の削減(脱炭素)、2つ目がプラスチック対策、3つ目が食品ロス・食品リサイクル対策、4つ目が持続可能な調達です。2030年と2050年の目標を掲げ、グループ全体で環境課題に取り組んでいます。小売業として、店舗と商品の両面から環境負荷を減らそうとする点が特徴です。

Q. セブン&アイのCO2削減目標はどうなっていますか?

セブン&アイは、グループの店舗運営にともなうCO2排出量を、2013年度比で2030年までに50%削減し、2050年には実質ゼロにする目標を掲げています。全国に多数ある店舗は、冷蔵・冷凍設備や照明、空調などで多くの電力を使います。そのため、店舗の省エネ設備への切り替えや、太陽光発電の活用、再生可能エネルギーへの切り替えなどを進めています。

Q. セブン&アイの食品ロス対策はどうなっていますか?

食品を大量に扱うコンビニやスーパーにとって、食品ロスは最重要の課題のひとつです。セブン&アイは、食品廃棄物を2013年度比で2050年までに75%削減(発生原単位)し、飼料などへのリサイクル率を100%にする目標を掲げています。販売期限の近い商品の値引き販売や、需要予測による発注の精度向上、消費者への呼びかけなど、さまざまな取り組みで食品ロスを減らそうとしています。

Q. プラスチック対策と持続可能な調達とは何ですか?

プラスチック対策では、2050年までに、オリジナル商品で使う容器を、バイオマス・生分解性・リサイクル素材・紙といった環境配慮型の素材に100%切り替えることをめざしています。持続可能な調達では、オリジナル商品(セブンプレミアムなど)に使う食品原材料について、持続可能性が認められた材料の使用割合を、2030年に50%、2050年に100%にする目標です。商品そのものを、環境に配慮したものへ変えていく取り組みです。

Q. セブン&アイのESG経営から学べることは何ですか?

最大の学びは、消費者に最も近い小売業だからこそ持つ、大きな影響力です。無数の店舗と商品を通じて、環境に配慮した選択肢を消費者に届けられます。食品ロスの削減や、環境配慮型の容器への切り替えは、私たち一人ひとりの行動にもつながります。自社の店舗運営を脱炭素するだけでなく、商品と売り場を通じて社会全体の行動を変えうる点が、小売業のESGの特徴です。なお本記事は特定の投資を推奨するものではありません。

Sources

出典・参考(一次情報)

※ 本記事は上記の一次情報および公開報道をもとにgreenote編集部が整理しています。企業評価や投資判断を目的とするものではありません。最新の内容は各公式サイトでご確認ください。

この記事の著者

greenote編集部

ESG・サステナビリティ専門メディア 編集部

官公庁・国際機関・企業の一次情報に基づき、ESG・環境情報・サステナビリティ開示・IRの実務に役立つ解説を、出典を明記して発信しています。各記事は編集部が一次情報との整合を確認のうえ作成しています。詳しくは編集方針・運営者情報をご覧ください。

編集責任

greenote編集責任者

サステナビリティ実務・編集統括

ESG・サステナビリティ開示・脱炭素分野の一次情報を継続的に確認し、greenote掲載記事の企画・編集・公開に責任を持っています。官公庁・国際機関の公式情報に基づく編集方針を統括しています。

最終更新日:2026年7月19日

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