同じ商品が2つ並んでいたら、あなたは何を基準に選ぶでしょうか。値段、品質、デザイン。それに加えて、「この商品は、誰かや環境を犠牲にしていないか」を考えて選ぶ。それがエシカル消費です。私たちの毎日の買い物は、実は社会や環境を動かす一票でもあります。本記事では、エシカル消費とは何か、人・社会・地域・環境という4つの配慮、SDGsとの関係、そして商品を見分ける認証ラベルまでを、消費者庁などの情報をもとにわかりやすく整理します。
≡この記事の目次
エシカル消費(倫理的消費)とは(おさらい)
まず、エシカル消費がどのような考え方で、なぜ広がっているのかを整理しましょう。
配慮して、選ぶ
エシカル消費=人・社会・地域・環境に配慮した商品やサービスを選んで消費する行動。
出典:消費者庁の情報をもとにgreenote作成
人・社会・地域・環境に配慮した消費
エシカル消費(倫理的消費)とは、人・社会・地域・環境に配慮した商品やサービスを選んで消費する行動のことです。「エシカル」とは、英語で「倫理的な」という意味だ。安さや便利さだけを基準にするのではなく、その商品が作られ、届くまでの過程に目を向ける。それがエシカル消費の出発点です。
たとえば、その商品を作る過程で、誰かが不当に安い賃金で働かされていないか。環境が大きく汚されていないか。そうした背景まで考えて選ぶ。消費者庁も、この考え方の普及に取り組んでいます。そこには、地域の活性化や雇用への配慮も含まれます。
「消費は投票」という考え方
エシカル消費を語るとき、よく使われる言葉があります。それが、「消費は投票」です。私たちが何を買うかは、どんな企業やどんな作り方を応援するかの、意思表示になる。エシカルな商品を選べば、そうした取り組みを行う企業に、お金という一票が投じられるのです。
一人の買い物は、小さな行動かもしれません。しかし、その積み重ねが市場を動かし、企業のあり方を変えていきます。社会的な課題に気づき、その解決のために自分は何を選べるかを考えてみる。これが、エシカル消費の第一歩だ。難しく考える必要はありません。
4つの配慮――エシカル消費の中身
エシカル消費は、大きく4つの配慮に整理できます。順に見ていきましょう。
4つの配慮で、選ぶ
人への配慮
フェアトレード、障害者支援につながる商品。
社会への配慮
寄付付き商品など。
地域への配慮
地産地消、被災地の産品の応援。
環境への配慮
エコ商品、認証を受けた商品。
出典:消費者庁の情報をもとにgreenote作成
エシカル消費と一口にいっても、その中身はさまざまです。大きく、4つの配慮に整理できます。第一が、人への配慮です。開発途上国の生産者を支えるフェアトレード商品や、障害者の就労につながる商品を選ぶことがこれにあたる。第二が、社会への配慮だ。売上の一部が寄付される、寄付付き商品などが代表例です。
第三が、地域への配慮です。地元の産品を買う地産地消や、被災地の産品を応援する購入がこれにあたる。そして第四が、環境への配慮だ。省エネ性能の高い商品や、後述する認証を受けた環境配慮型の商品を選ぶことです。これら4つは、別々のものではありません。ひとつの商品が、複数の配慮を兼ねることもよくある。
SDGs目標12との関係
エシカル消費は、SDGsの目標12と深くつながっています。その関係を整理します。
つくる責任と、つかう責任
つくる責任
企業が持続可能な方法で生産する。
つかう責任
消費者が責任を持って選ぶ=エシカル消費。
エシカル消費は、消費者がつかう責任を日々の買い物で実践する行動。
出典:消費者庁・国連の情報をもとにgreenote作成
エシカル消費は、SDGs(持続可能な開発目標)とも、しっかり結びついています。とりわけ関わりが深いのが、目標12「つくる責任 つかう責任」です。この目標は、持続可能な生産と消費のあり方を、社会全体に求めるもの。
ここで大切なのが、責任は作り手だけのものではない、という視点です。企業が持続可能な方法で「つくる責任」を果たすのと同じように、消費者にも、責任を持って「つかう責任」があります。エシカル消費は、この「つかう責任」を、私たち一人ひとりが日々の買い物で実践する行動なのです。消費を通じて、社会課題の解決に貢献する。SDGsとESGの関係は、関連記事のSDGsとESGの違いとはもあわせてご覧ください。
認証ラベルという「めじるし」
エシカルな商品を見分けるための手がかりが、認証ラベルです。代表的なものを紹介します。
選ぶときの、めじるし
開発途上国の生産者を適正な価格で支える。
有機農産物であることを示す。
適切に管理された森林の木材。
持続可能な漁業・養殖の水産物。
環境負荷の小さい商品。
ラベルは、エシカルな商品を見分けるわかりやすい手がかり。
出典:各認証機関・消費者庁の情報をもとにgreenote作成
エシカルな商品を選びたくても、見た目だけでは判断がつきにくいものです。そこで頼りになるのが、認証ラベルだ。第三者が一定の基準を満たしていることを認めた、いわば「めじるし」です。
代表的なものを挙げましょう。開発途上国の生産者を適正な価格で支える国際フェアトレード認証。有機農産物を示す有機JASマーク。適切に管理された森林の木材を示すFSC認証。持続可能な漁業や養殖の水産物を示すMSC・ASC認証。そして、環境負荷の小さい商品につくエコマークなどです。フェアトレードとは、開発途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に購入し、生産者の生活向上を目指す仕組みを指します。こうしたラベルを知っておくと、買い物の際の心強い味方になる。
企業に求められること
エシカル消費の広がりは、企業にも新たな対応を求めています。ポイントを整理します。
選ばれる企業になるために
エシカルな商品の提供
環境や人権に配慮した選択肢を消費者に用意する。
サステナブル調達
原材料の調達段階から人権や環境に配慮する。
透明な情報開示
取り組みを根拠とともにわかりやすく伝える。
消費者が安心して選べるよう、根拠を伴った発信が欠かせない。
出典:消費者庁の情報をもとにgreenote作成
エシカル消費が広がると、企業の側も応えていく必要が出てきます。求められる対応は、大きく3つです。第一が、エシカルな商品・サービスの提供だ。環境や人権に配慮した選択肢を、消費者に用意することです。
第二が、サステナブル調達です。商品そのものだけでなく、原材料を仕入れる段階から、人権や環境に配慮する。サプライチェーンをさかのぼった目配りが求められます。そして第三が、透明な情報開示だ。どんな配慮をしているのかを、根拠とともにわかりやすく伝えることです。消費者が安心して選べるよう、裏づけのある発信が欠かせません。エシカル消費の広がりは、企業の姿勢そのものを静かに問うています。
課題と注意点
エシカル消費には、乗り越えるべき課題もあります。注意点とあわせて見ていきます。
広げるための、3つの壁
認知度
言葉は広まりつつあるが、具体的な行動につながりにくい。
価格
エシカルな商品は割高になりやすく、継続の妨げに。
エシカルウォッシュ
実態が伴わないのに、エシカルであるかのように見せかける。
出典:消費者庁の情報をもとにgreenote作成
エシカル消費の道のりには、いくつかの壁もあります。第一が、認知度です。言葉としては広まりつつあるものの、実際の行動に移す人は、まだ多いとはいえません。知っていることと、選ぶことの間には、距離があります。第二が、価格の問題になります。エシカルな商品は、丁寧に作られる分、割高になりがちです。この価格差が、続けることの妨げになることもあります。
そして第三が、エシカルウォッシュです。実態が伴わないのに、いかにもエシカルであるかのように見せかける行為を指します。環境分野のグリーンウォッシュと、同じ構図です。消費者としては、ラベルや表示の根拠を確認し、その実態を見極める目を持ちたいところです。見せかけを見抜く力は、関連記事のグリーンウォッシュとはもあわせてご覧ください。
あわせて読みたい:「いい会社」を第三者が証明する国際認証 → B Corp(Bコーポレーション)認証とは|基準・5分野・2025年新基準とメリット
まとめ|エシカル消費は「選ぶ」ことから始まる
エシカル消費は、日々の買い物を通じて社会や環境に貢献する、身近な行動です。最後に、要点を振り返りましょう。
- エシカル消費(倫理的消費)とは、人・社会・地域・環境に配慮した商品やサービスを選んで消費する行動。消費者庁が推進
- 「消費は投票」――何を買うかが、どんな企業や作り方を応援するかの意思表示になる
- 中身は人・社会・地域・環境への4つの配慮。SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」の「つかう責任」の実践
- 認証ラベル(フェアトレード・有機JAS・FSC・MSC/ASC・エコマークなど)が商品選びのめじるし
- 企業には商品提供・サステナブル調達・情報開示が求められる。課題は認知度・価格・エシカルウォッシュ
エシカル消費は、特別な人だけのものではありません。いつもの買い物で、ほんの少し背景に思いを巡らせる。その小さな選択の積み重ねが、めぐりめぐって、より公正で持続可能な社会をつくっていきます。まずは、手に取った商品のラベルを見てみることから。選ぶという行為には、社会を変える力が宿っています。ESG・脱炭素の最新動向は、これからもgreenoteでお届けしていきます。
よくある質問(FAQ)
Q. エシカル消費(倫理的消費)とは何ですか?
A. エシカル消費(倫理的消費)とは、人・社会・地域・環境に配慮した商品やサービスを選んで消費する行動のことです。「エシカル」は英語で「倫理的な」という意味です。安さや便利さだけでなく、その商品が作られる過程で誰かや環境が犠牲になっていないかを考えて選ぶ、という考え方です。消費者庁が普及に取り組んでおり、地域の活性化や雇用への配慮も含まれます。
Q. エシカル消費の「4つの配慮」とは何ですか?
A. エシカル消費は、主に4つの配慮で整理されます。1つ目は「人への配慮」で、フェアトレードや障害者支援につながる商品などです。2つ目は「社会への配慮」で、寄付付き商品などが含まれます。3つ目は「地域への配慮」で、地産地消や被災地の産品の応援です。4つ目は「環境への配慮」で、エコ商品や認証を受けた商品の選択です。これらに配慮して選ぶことが、エシカル消費の中身です。
Q. エシカル消費とSDGsの関係は何ですか?
A. エシカル消費は、SDGs(持続可能な開発目標)の目標12「つくる責任 つかう責任」と深く関わります。目標12は、持続可能な生産と消費のあり方を求めるものです。作り手だけでなく、使い手である消費者も責任を持って選ぶ。エシカル消費は、この「つかう責任」を、私たち一人ひとりが日々の買い物で実践する具体的な行動といえます。消費を通じて社会課題の解決に貢献するという考え方です。
Q. エシカル消費に関わる認証ラベルにはどんなものがありますか?
A. 商品を選ぶ手がかりとなる認証ラベルが数多くあります。開発途上国の生産者を適正な価格で支える「国際フェアトレード認証ラベル」、有機農産物の「有機JASマーク」、適切に管理された森林の木材を示す「FSC認証」、持続可能な漁業・養殖の「MSC・ASC認証」、環境負荷の小さい商品の「エコマーク」などです。こうしたラベルは、エシカルな商品を見分けるための、わかりやすいめじるしになります。
Q. エシカル消費で企業に求められることは何ですか?
A. 企業には、大きく3つの対応が求められます。1つ目は、エシカルな消費者のニーズに応える商品・サービスの提供です。2つ目は、原材料の調達段階から人権や環境に配慮する「サステナブル調達」です。3つ目は、その取り組みを消費者にわかりやすく伝える情報開示です。消費者が安心して選べるよう、根拠を伴った透明な情報発信が欠かせません。エシカル消費の広がりは、企業の姿勢そのものを問うています。
Q. エシカル消費の課題は何ですか?
A. 主な課題は3つあります。1つ目は認知度で、言葉は広まりつつあるものの、具体的な行動にはつながりにくい面があります。2つ目は価格で、エシカルな商品は割高になりやすく、継続の妨げになることがあります。3つ目は「エシカルウォッシュ」で、実態が伴わないのに、エシカルであるかのように見せかける行為です。ラベルや表示の根拠を確認し、実態を見極める目が、消費者にも求められます。
出典・参考(一次情報)
- 消費者庁「エシカル消費とは」
- 消費者庁「エシカル消費特設サイト(あなたの消費が世界を変える)」
- 消費者庁「「倫理的消費」調査研究会 取りまとめ」
※ 本記事は上記の一次情報をもとにgreenote編集部が整理しています。最新の内容は各公式サイトでご確認ください。
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greenote編集責任者
サステナビリティ実務・編集統括
ESG・サステナビリティ開示・脱炭素分野の一次情報を継続的に確認し、greenote掲載記事の企画・編集・公開に責任を持っています。官公庁・国際機関の公式情報に基づく編集方針を統括しています。
最終更新日:2026年7月15日