サステナブルファッションとは|産業の環境負荷と私たちにできることを解説

2026.07.15
サステナビリティ開示

クローゼットにあふれる服。数シーズンで着なくなり、いつのまにか処分している。そんな経験は、多くの人にあるのではないでしょうか。実は、ファッション産業は、環境への負荷がとても大きい産業です。服を1着つくるだけで、多くのCO2が出て、大量の水が使われます。この現状を見直し、環境や人に配慮しようというのがサステナブルファッションです。本記事では、サステナブルファッションとは何か、産業の環境負荷、社会・人権の課題、そして私たち消費者にできることまでを、環境省などの情報をもとにわかりやすく整理します。

この記事の目次

サステナブルファッションとは(おさらい)

まず、サステナブルファッションがどのような考え方で、なぜ注目されるのかを整理しましょう。

つくる・着る・手放す、その全部で配慮する

原料・生産
流通・販売
着用
手放す(リユース・リサイクル)

サステナブルファッション=衣服の生産から廃棄までのプロセスで、地球環境や関わる人・社会に配慮した取り組み。

出典:環境省の情報をもとにgreenote作成

生産から廃棄まで配慮する

サステナブルファッションとは、衣服の生産から着用、廃棄に至るまでのプロセスにおいて、将来にわたり持続可能であることを目指し、地球環境や関わる人・社会に配慮したファッションのあり方のことです。環境省も、その普及を進めています。

ポイントは、服を「買うとき」だけの話ではない、という点にあります。原料を育て、糸をつむぎ、染め、縫い、運び、着て、そして手放す。この一連の流れすべてに、環境や人への配慮を織り込んでいく。安く早く大量に、というこれまでのあり方を見直し、長く大切にするファッションへ。それが、この言葉の目指すところです。

なぜ注目されるのか

サステナブルファッションが注目される背景には、ファッション産業が抱える大きな負荷があります。この産業は、大量生産・大量消費・大量廃棄を前提に成り立ってきました。その結果、製造にかかる資源やエネルギーの使用が増え、服のライフサイクルはどんどん短くなっています。

こうした環境負荷の大きさが、国際的な課題として認識されるようになった。SDGsやカーボンニュートラルへの関心が高まるなか、私たちがもっとも身近に接する「衣」の分野も、見直しを迫られています。エシカルな消費全体の考え方は、関連記事のエシカル消費とはもあわせてご覧ください。

ファッション産業の大きな環境負荷

ファッション産業は、環境への負荷がとても大きい産業です。数字で見ていきましょう。

服1着の、見えない負荷

約25.5kg

服1着の製造で排出されるCO2

約2,300L

服1着の製造で使う水

約48万t

日本で焼却・埋立される衣服(年間・1日約1,300t)

原料の栽培や製造の各段階で、多くの資源とエネルギーが使われる。

出典:環境省の情報をもとにgreenote作成

ファッション産業の環境負荷は、数字で見ると、その大きさがよくわかります。環境省の推計によれば、衣服を1着つくるのに排出されるCO2は、約25.5kgにのぼります。そして、その製造に使われる水は、約2,300リットルです。ペットボトルにすると、実に何千本分もの水が、たった1着のために使われている計算だ。

問題は、作るときだけではありません。捨てるときも、大きな負荷が生じます。日本では、年間約48万トン、1日あたりにすると約1,300トンもの衣服が、焼却または埋立で処分されていると推計されています。まだ着られる服の多くが、リユースにもリサイクルにも回らず、そのまま捨てられているのが現状です。作るにも捨てるにも、大きな代償が伴っているのです。

環境だけではない――社会・人権の課題

ファッションが抱える課題は、環境だけにとどまりません。社会や人権の問題もあります。

服の裏にある、もう一つの問題

労働・人権

人件費の安い国での低賃金や長時間労働、危険な労働環境。

水質汚染

染色などの工程で使われる薬品による汚染。

マイクロプラスチック

合成繊維の衣類の洗濯で発生する、微細なプラスチック。

出典:環境省の情報をもとにgreenote作成

サステナブルファッションを考えるうえで、忘れてはならないのが、社会・人権の側面です。私たちが着る服の多くは、人件費の安い国で生産されています。その現場では、労働者の低賃金や長時間労働、危険な労働環境が、しばしば問題になってきました。2013年にバングラデシュで起きた縫製工場の崩落事故は、その象徴として、世界に衝撃を与えたのです。

環境面でも、CO2以外の課題があります。ひとつが、染色などの工程で使われる薬品による水質汚染です。もうひとつが、マイクロプラスチックの問題になります。ポリエステルなど合成繊維の衣類を洗濯すると、微細なプラスチックが排水に流れ出し、海の汚染につながることがわかってきました。服の裏側には、こうした見えにくい問題が、いくつも隠れている。

大量廃棄を生む「ファストファッション」の構造

環境負荷の背景には、大量生産・大量廃棄という産業の構造があります。

安く、早く、大量に

大量生産

流行の服を低価格で大量に、短いサイクルで供給

短命化

安く買えるため気軽に、すぐ着なくなる

大量廃棄

まだ着られる服が短期間で捨てられる

この作りすぎ・買いすぎ・捨てすぎの循環が、環境負荷の大きな要因。

出典:環境省の情報をもとにgreenote作成

これだけの環境負荷は、なぜ生まれるのでしょうか。その背景にあるのが、ファストファッションと呼ばれる産業の構造です。ファストファッションとは、流行の服を低価格で大量に、しかも短いサイクルで供給するビジネスモデルを指します。手軽に、安く、おしゃれを楽しめる。その魅力は、たしかに大きいものがある。

しかし、その裏には、影の部分もあります。安く買えるからこそ、服は気軽に扱われ、すぐに着なくなりがちです。そして、まだ着られるうちに捨てられてしまう。この「作りすぎ・買いすぎ・捨てすぎ」の循環こそが、環境負荷を大きくする根本的な要因になっている。安さの便利さと、環境への負荷。そのバランスを、いま問い直す時期に来ているのです。

企業の取り組み

課題に対して、ファッション企業もさまざまな取り組みを始めています。

作り手から変える

サステナブル素材

オーガニックコットンやリサイクル素材の活用。

回収・リサイクル

店頭での不要衣類の回収と再生。

長く着られる設計

丈夫で修理しやすい、飽きのこないデザイン。

情報開示

素材や生産の透明性を伝える。

出典:環境省の情報をもとにgreenote作成

こうした課題を受けて、ファッション企業の側でも、変化が始まっている。まず広がっているのが、サステナブルな素材の活用です。オーガニックコットンや、ペットボトルなどから作るリサイクル素材を使う動きが進んでいる。次に、回収・リサイクルです。店頭で不要になった衣類を回収し、新たな製品へと再生する取り組みも増えた。

さらに、服そのものを長く着られるように設計する動きもある。丈夫で修理しやすく、流行に左右されにくいデザインです。そして、素材や生産の背景をきちんと伝える、情報開示の姿勢も問われるようになりました。ただし、実態を伴わずにイメージだけをよく見せる行為には、注意が必要です。こうした見せかけは、関連記事のグリーンウォッシュとはもあわせてご覧ください。

私たち消費者にできること

サステナブルファッションは、消費者一人ひとりの行動から始まります。今日からできることを整理します。

今日から、できること

1

長く大切に着る

修理や手入れをして、一着を長く使う。最も効く行動。

2

賢く手放す

まだ着られる服はリユース、次に店頭回収などでリサイクル。

3

選んで買う

本当に必要か考え、長く使える質のよいものや環境配慮素材を選ぶ。

一人ひとりの小さな選択が、産業を変える力になる

出典:環境省の情報をもとにgreenote作成

サステナブルファッションは、企業だけの課題ではありません。私たち消費者にも、できることがたくさんある。もっとも大切なのが、服を長く大切に着ることです。修理をしたり、手入れをしたりして、一着を長く使う。実は、これがもっとも環境負荷を減らす行動だとされている。

次に、手放すときの工夫です。まだ着られる服は、いきなり捨てるのではなく、まずリユースを考えます。古着として売る、人に譲る、といった方法です。それが難しければ、店頭の回収などを通じて、リサイクルにつなげます。そして、選んで買うこと。本当に必要かを一度考え、長く使える質のよいものや、環境に配慮した素材の服を選ぶ。一人ひとりの小さな選択が、積み重なれば、産業全体を変える力になる。

まとめ|サステナブルファッションは「長く着る」から

サステナブルファッションは、装う楽しみと、地球や人への配慮を両立させる考え方です。最後に、要点を振り返りましょう。

  • サステナブルファッションとは、生産から廃棄までのプロセスで、地球環境や人・社会に配慮したファッションのあり方。環境省も推進
  • ファッション産業の環境負荷は大きく、服1着でCO2約25.5kg・水約2,300L。日本では年間約48万トンが焼却・埋立
  • 環境だけでなく、労働・人権、水質汚染、マイクロプラスチックなどの課題もある
  • 背景にファストファッションの「作りすぎ・買いすぎ・捨てすぎ」の構造がある
  • 消費者にできることは長く着る・賢く手放す・選んで買う。まず一着を長く使うことが最も効く

一着の服の向こうには、原料を育てた土地があり、それを縫った人がいて、環境への負荷があります。その背景に、少しだけ思いを寄せてみる。そして、お気に入りの一着を、長く大切に着る。それが、サステナブルファッションのいちばんの入り口です。装うことは、本来もっと豊かな営みのはず。その豊かさを、未来へとつないでいきたいものです。ESG・脱炭素の最新動向は、これからもgreenoteでお届けしていきます。

よくある質問(FAQ)

Q. サステナブルファッションとは何ですか?

A. サステナブルファッションとは、衣服の生産から着用、廃棄に至るまでのプロセスにおいて、将来にわたり持続可能であることを目指し、地球環境や関わる人・社会に配慮したファッションのあり方や取り組みのことです。環境省も、その普及を進めています。安く早く大量に、というこれまでのファッションから、環境や人に配慮した、長く大切にするファッションへの転換を目指す考え方です。

Q. ファッション産業の環境負荷はどれくらい大きいのですか?

A. 非常に大きいとされています。環境省の推計によると、衣服を一着製造するのに排出される二酸化炭素は約25.5kg、水の消費量は約2,300リットルにのぼります。原料の栽培や製造の各段階で、多くの資源とエネルギーが使われるためです。ファッション産業は、大量生産・大量消費・大量廃棄によって、環境負荷が非常に大きい産業と指摘され、国際的な課題となっています。

Q. 日本ではどれくらいの服が捨てられているのですか?

A. 環境省によると、日本では年間約48万トン、1日あたりにすると約1,300トンもの衣服が、焼却または埋立で処分されていると推計されています。手放される服の多くが、リユースやリサイクルに回らず、そのまま廃棄されているのが現状です。まだ着られる服が大量に捨てられていることが、大きな課題となっています。

Q. ファッションには環境以外にどんな課題がありますか?

A. 社会・人権の課題があります。衣服の多くは、人件費の安い国で生産されており、労働者の低賃金や長時間労働、危険な労働環境が問題になってきました。2013年にバングラデシュで起きた縫製工場の崩落事故は、その象徴として知られています。ほかにも、染色による水質汚染や、合成繊維の衣類の洗濯で発生するマイクロプラスチックなど、複数の課題があります。

Q. ファストファッションはなぜ問題視されるのですか?

A. ファストファッションは、流行の服を低価格で大量に、短いサイクルで供給するビジネスモデルです。手軽に安くおしゃれを楽しめる一方で、大量生産・大量消費・大量廃棄を加速させる側面があります。安く買えるために気軽に捨てられ、まだ着られる服が短期間で廃棄されやすくなります。この「作りすぎ・捨てすぎ」の構造こそが、環境負荷の大きな要因として問題視されています。

Q. 消費者としてサステナブルファッションのためにできることは何ですか?

A. 身近なことから始められます。1つ目は、服を長く大切に着ることです。修理や手入れをして、一着を長く使います。2つ目は、手放すときの工夫です。まだ着られる服は、まずリユース(古着として売る・譲る)を考え、店頭の回収などリサイクルにつなげます。3つ目は、選び方です。本当に必要か考えて買い、長く使える質のよいものや、環境に配慮した素材の服を選びます。

出典・参考(一次情報)

※ 本記事は上記の一次情報をもとにgreenote編集部が整理しています。最新の内容は各公式サイトでご確認ください。

この記事の著者

greenote編集部

ESG・サステナビリティ専門メディア 編集部

官公庁・国際機関・企業の一次情報に基づき、ESG・環境情報・サステナビリティ開示・IRの実務に役立つ解説を、出典を明記して発信しています。各記事は編集部が一次情報との整合を確認のうえ作成しています。詳しくは編集方針・運営者情報をご覧ください。

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greenote編集責任者

サステナビリティ実務・編集統括

ESG・サステナビリティ開示・脱炭素分野の一次情報を継続的に確認し、greenote掲載記事の企画・編集・公開に責任を持っています。官公庁・国際機関の公式情報に基づく編集方針を統括しています。

最終更新日:2026年7月15日

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