第7次エネルギー基本計画とは|2040年度エネルギーミックスとS+3Eをわかりやすく解説

国内規制

2050年カーボンニュートラルへ向け、日本のエネルギーをどう転換していくのか。その国の方針を示すのが「エネルギー基本計画」です。2025年2月に閣議決定された第7次計画は、2040年を見据えた新しいエネルギーミックスを描き、大きな注目を集めました。

本記事では、第7次エネルギー基本計画とは何かという基本から、S+3Eの原則、2040年度の電源構成、計画の3本柱、そして脱炭素目標やGX2040との関係までを、できるだけわかりやすく整理します。

目次

第7次エネルギー基本計画とは

エネルギー基本計画は、日本のエネルギー政策の中長期的な方向性を定める、国の最上位の方針文書です。その7回目の改定が、第7次エネルギー基本計画にあたります。

エネルギー基本計画とは

この計画は、エネルギー政策基本法に基づいて政府が策定するもので、おおむね3年ごとに見直されます。電源構成の見通しや、再エネ・原子力・火力といった各電源の方向性、省エネや脱炭素の方針までを幅広く示す、いわばエネルギー政策の「羅針盤」です。

国の予算や規制、企業の投資判断にも影響する重要な文書のため、改定のたびに大きな議論を呼びます。とりわけ第7次計画は、2040年という新たな時間軸を据えた点で大きな注目を集めた計画です。

2025年2月に閣議決定・GX2040と一体

第7次エネルギー基本計画は、2025年2月18日に閣議決定されました(資源エネルギー庁 エネルギー基本計画)。特徴的なのは、同じ日に閣議決定された「GX2040ビジョン」と一体的に策定された点です。

エネルギー政策(基本計画)と、産業・経済の脱炭素戦略(GX2040)を歩調を合わせて打ち出すことで、脱炭素と経済成長、エネルギーの安定供給を一体で進める意図がうかがえます。GX2040の全体像はGX2040ビジョンとはもあわせてご覧ください。

S+3Eという基本原則

第7次計画を理解するうえで欠かせないのが、「S+3E」という基本原則です。日本のエネルギー政策が、長年この考え方を土台にしてきました。

S+3E|エネルギー政策の基本原則

安全性を大前提に、3つのEを同時達成

S

Safety
安全性

すべての大前提

E

Energy Security
安定供給

エネルギーを安定して確保

E

Economic Efficiency
経済効率性

コストを抑える

E

Environment
環境適合

脱炭素・環境配慮

3つのEは時に対立する。そのバランス調整こそがエネルギー政策の核心です。

出典:資源エネルギー庁・経済産業省の公開情報をもとにgreenote作成

S+3Eの4要素

S+3Eとは、4つの要素の頭文字を表します。まず大前提となるのがS=Safety(安全性)です。そのうえで、3つのE——Energy Security(安定供給)、Economic Efficiency(経済効率性)、Environment(環境適合)——の同時達成をめざします。

安全を最優先に、エネルギーを安定して供給し、コストを抑え、環境にも配慮する。この4つをバランスよく満たすことが、日本のエネルギー政策の基本方針となっています。

同時達成という難しさ

ただし、この4要素はしばしば対立します。たとえば、再エネを急拡大すれば環境適合は進みますが、コストや安定供給に課題が生じることもあります。原子力は安定供給と脱炭素に寄与する一方、安全性や社会的合意が問われます。

S+3Eの本質は、これらのトレードオフをどう調整するかにあります。第7次計画も、この難しいバランスのうえに描かれているのです。脱炭素の全体像はカーボンニュートラルとはもあわせてご覧ください。

2040年度のエネルギーミックス

第7次計画で最も注目されたのが、2040年度の電源構成(エネルギーミックス)の見通しです。日本の電気を、将来どの電源でまかなうのかを示す数字になります。

2040年度のエネルギーミックス

再生可能エネルギーを主力電源に

再エネ 40〜50%
原子力 2割程度
火力(脱炭素化)

再エネ 40〜50%

太陽光23〜29%・風力4〜8%+水力・地熱・バイオマス

原子力 2割程度

安全最優先で活用

火力

CCS・水素/アンモニアで脱炭素化しつつ活用

脱炭素電源を最大限に活用する方向性が示されました。

出典:資源エネルギー庁・経済産業省の公開情報をもとにgreenote作成(割合は計画上の見通し)

再エネ40〜50%・原子力・火力の構成

第7次計画は、2040年度のエネルギーミックスとして、再生可能エネルギーを電源構成の40〜50%にまで高める方針を示しました。内訳では、太陽光が23〜29%、風力が4〜8%とされています。再エネを「主力電源」と明確に位置づけた点が、大きな前進です。

原子力は2割程度を見込み、火力は脱炭素化を進めながら残りを担うとされています。再エネ・原子力・脱炭素化した火力を組み合わせ、脱炭素電源を最大限に活用する——これが2040年度の基本的な姿です。再生可能エネルギーの基礎は再生可能エネルギーとはもあわせてご覧ください。

電力需要の増加という前提

注目したいのは、この計画が「電力需要の増加」を前提に置いている点です。これまで日本の電力需要は減少傾向にありましたが、データセンターや半導体工場の拡大により、増加に転じる見通しです。

脱炭素のために電化を進めれば、電力需要はさらに増えます。増える需要を、いかに脱炭素電源でまかなうか。第7次計画は、この新しい現実に向き合った計画でもあるのです。

計画の3本柱

2040年度のミックスを実現するため、電源ごとに方向性が示されました。再エネ・原子力・火力の「3本柱」として整理できます。

第7次計画の3本柱

電源ごとの方向性

再エネの主力電源化

最大限導入。次世代太陽電池(ペロブスカイト)や洋上風力を推進。系統整備が鍵。

原子力の活用

安全最優先で再稼働。建て替えや次世代革新炉の開発も視野に。

火力の脱炭素化

CCSや水素・アンモニア混焼で排出を抑えつつ、調整力として活用。

再エネ・原子力・脱炭素火力を組み合わせ、脱炭素電源を最大限活用します。

出典:資源エネルギー庁・経済産業省の公開情報をもとにgreenote作成

再エネの主力電源化

第一の柱が、再生可能エネルギーの主力電源化です。太陽光や風力を最大限に導入する方針で、軽くて曲がる次世代太陽電池「ペロブスカイト」や、洋上風力への期待が大きい状況です。

ただし、再エネは天候で出力が変動します。大量に導入するには、送電網(系統)の整備や蓄電池、需給調整の仕組みが欠かせません。再エネの拡大は、それを支えるインフラの整備とセットで進める必要があります。

原子力の活用と火力の脱炭素化

第二の柱が、原子力の活用です。第7次計画では、安全最優先を前提に再稼働を進め、廃炉を決めた原発の建て替えや、次世代革新炉の開発も視野に入れている点が特徴です。これは、東日本大震災後の「可能な限り依存度を低減する」という従来の表現からの転換点といえます。

第三の柱が、火力の脱炭素化です。火力をゼロにするのではなく、CCS(CO2回収・貯留)や水素・アンモニアの活用で排出を抑えつつ、調整力として使い続けます。火力の脱炭素化の手段はCCS(CO2回収・貯留)とはグリーン水素とはもあわせてご覧ください。

脱炭素目標とGX2040との関係

エネルギー基本計画は、単独で存在するわけではありません。日本の脱炭素目標やGX戦略と、密接に連動しています。

2040年度GHG73%削減と2050年カーボンニュートラル

第7次計画が描く2040年度のミックスは、日本の温室効果ガス削減目標と整合するように設計されています。日本は2040年度に温室効果ガスを2013年度比で73%削減し、2050年にカーボンニュートラルを実現する目標を掲げる方針です。

エネルギー由来のCO2は、日本の温室効果ガス排出の大半を占めます。だからこそ、電源構成をどう脱炭素化するかが、削減目標の達成を直接左右するのです。

GX2040ビジョンとの一体性

前述のとおり、第7次計画はGX2040ビジョンと同日に、一体的に閣議決定されました。エネルギーの「供給」側の方針(基本計画)と、産業・需要側の脱炭素・成長戦略(GX2040)を、両輪で進める構図です。

脱炭素を、コストやエネルギー安定供給と切り離さずに進める。この一体的なアプローチに、日本のエネルギー・産業政策の方向性が表れています。GX-ETSなどカーボンプライシングの動きは排出量取引(GX-ETS)とはもあわせてご覧ください。

課題と企業・実務への影響

野心的な計画である一方、その実現には多くの課題が伴います。企業活動への影響も小さくありません。

コスト・立地・系統という課題

最大の論点はコストです。再エネや原子力、脱炭素火力には、いずれも巨額の投資が必要です。電力料金への影響をどう抑えるかが問われます。加えて、再エネ適地と需要地が離れている日本では、送電網(系統)の増強や、発電所の立地確保も大きな課題です。

これらは一朝一夕には解決しません。計画の数字を絵に描いた餅にしないためには、インフラ投資と制度設計を着実に進める必要があるでしょう。

企業が備えるべきこと

企業にとって、この計画は「電力をめぐる環境変化」の予告でもあるのです。再エネ調達の機会が広がる一方、電力コストや調達の不確実性は高まる可能性があるのも事実です。脱炭素電源の確保は、事業継続やESGの観点でも重要になっていくでしょう。

自社の電力をどう脱炭素化し、コスト変動にどう備えるか。第7次計画が示す方向性を踏まえ、再エネ調達やエネルギー効率化を計画的に進めることが、これからの企業に求められます。

まとめ|2040年を見据えたエネルギーの羅針盤

第7次エネルギー基本計画は、2025年2月にGX2040ビジョンと一体で閣議決定された、日本のエネルギー政策の羅針盤です。S+3Eの原則のもと、2040年度に再エネを主力電源(40〜50%)とし、原子力を活用し、火力を脱炭素化する方向性を示しました。

背景には、2040年度GHG73%削減・2050年カーボンニュートラルという目標と、データセンター等による電力需要の増加があります。コストや系統、立地といった課題は重いものの、この計画は2040年に向けた日本のエネルギーの進路を示すものです。企業も、電力をめぐる変化を見据えた備えが求められます。脱炭素の全体像はカーボンニュートラルとはもあわせてご覧ください。

最終更新日:2026年6月21日

この記事の著者

greenote編集部

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