グリーン経済とは|UNEPの定義と3つの特徴・グリーン成長との関係をわかりやすく解説

2026.07.13
気候変動

環境を守ることと、経済を成長させること。この2つは、長らく相いれないものと考えられてきました。その常識を塗り替えようとするのがグリーン経済という考え方です。環境への負荷を減らしながら、人々の暮らしを豊かにし、社会の公正さも高めていく。国連が旗を振るこの構想は、脱炭素の時代の経済のあるべき姿を示しています。本記事では、グリーン経済とは何か、UNEPによる定義、3つの特徴、グリーン成長との関係、そして移行に必要な投資までを、国連などの情報をもとにわかりやすく整理します。

この記事の目次

グリーン経済とは(おさらい)

まず、グリーン経済がどのような考え方で、なぜ生まれたのかを整理しましょう。

環境を守りながら、暮らしと公正を高める

環境へのリスクと生態系の希少性を大きく減らす
グリーン経済
人々の暮らしの豊かさ(厚生)と社会的な公正を改善する

国連環境計画(UNEP)が2011年の報告書で提唱した考え方。

出典:UNEP・国連広報センターの情報をもとにgreenote作成

UNEPによる定義

グリーン経済とは、環境へのリスクと生態系の希少性を大きく減らしながら、人々の暮らしの豊かさと社会的な公正を改善する経済のあり方です。この定義は、国連環境計画(UNEP)が2011年に発表した報告書「Towards a Green Economy(グリーン経済に向けて)」で示されました。

言葉はやや硬いですが、伝えたいことはシンプルです。環境を犠牲にして豊かになるのでも、経済を止めて環境を守るのでもない。環境と経済と社会を、同時によくしていく。その統合的な発想が、グリーン経済の核心にあります。

従来の経済との違い

これまでの経済は、しばしば環境や社会への負荷を「外部のもの」として、勘定の外に置いてきました。安く早く大量に、が価値とされ、その裏で資源は枯渇し、格差も広がってきたのです。

グリーン経済は、この構造を問い直します。環境や社会への影響を、経済のあり方そのものに組み込む。目先の成長だけでなく、長い目で見た持続可能性を重んじる。従来の経済が「量」を追ってきたとすれば、グリーン経済は「質」を問う経済だといえるでしょう。

グリーン経済の3つの特徴

グリーン経済は、大きく3つの特徴で語られます。順に見ていきましょう。

グリーン経済を支える3本柱

低炭素

化石燃料への依存を減らし、温室効果ガスの排出を抑える。

資源効率

限られた資源を無駄なく使い、廃棄物を減らす循環的な仕組み。

社会的包摂

移行の恩恵を偏らせず、雇用や公正に配慮する。

出典:UNEPの情報をもとにgreenote作成

低炭素であること

第一の特徴が、低炭素です。化石燃料への依存を減らし、温室効果ガスの排出を抑える。再生可能エネルギーへの転換や省エネが、その中心的な手段になります。気候変動への対応は、グリーン経済のもっとも重要な柱です。脱炭素の全体像は、関連記事のカーボンニュートラルとはもあわせてご覧ください。

資源効率が高いこと

第二の特徴が、資源効率の高さです。限られた資源を無駄なく使い、廃棄物を減らす。使い捨てを前提とした「作って、使って、捨てる」経済から、資源を循環させる仕組みへの転換を目指します。少ない投入で多くの価値を生み出すことが、グリーン経済の目標のひとつです。

社会的に包摂的であること

そして第三の特徴が、社会的な包摂です。ここが、単なる環境政策とグリーン経済との大きな違いになります。環境への移行の恩恵を、一部の人や企業に偏らせない。雇用を生み、格差を広げず、誰も取り残さない。環境と経済の話に「公正」という視点を組み込んでいる点が、グリーン経済の特徴的なところです。

なぜ今グリーン経済なのか

グリーン経済が求められる背景には、複数の危機が重なっています。

重なり合う、3つの危機

気候変動

異常気象や災害の深刻化。

生態系の損失

生物多様性の減少と資源の枯渇。

格差

国家間や世代間の貧富の差。

グリーン経済への移行

環境と経済と社会の課題を、まとめて解決する道筋として期待される。

出典:UNEP・国連広報センターの情報をもとにgreenote作成

グリーン経済が注目される背景には、いくつもの危機が横たわっています。ひとつは、言うまでもなく気候変動です。異常気象や災害が深刻化し、従来の経済のままでは立ちゆかないことが、誰の目にも明らかになってきました。

もうひとつが、生態系の損失です。生物多様性が失われ、資源も枯渇に向かっています。そして、見過ごせないのが格差の問題です。国家間や世代間で、貧富の差が広がっている。これらの危機は、別々のものではありません。グリーン経済は、この重なり合う課題を、まとめて解決する道筋として期待されているのです。2012年の国連会議「リオ+20」でも、グリーン経済が主要な議題となりました。

グリーン成長・グリーンリカバリーとの関係

グリーン経済とよく似た言葉に、グリーン成長やグリーンリカバリーがあります。関係を整理します。

似た言葉の、違いと重なり

グリーン経済環境・経済・社会の公正を同時に高める広い概念
グリーン成長環境保全と経済成長の両立。成長の側面に力点。
グリーンリカバリー危機からの復興を、環境配慮とともに行う。

グリーン成長やグリーンリカバリーは、グリーン経済を実現する道筋の一つ

出典:UNEP等の情報をもとにgreenote作成

まずグリーン成長です。これは、環境保全と経済成長を両立させ、環境分野を新たな成長の原動力にしようという考え方になります。力点は、どちらかといえば経済成長の側にあります。一方のグリーン経済は、成長に加えて社会的な公正や暮らしの豊かさまでを含む、より広い概念です。グリーン成長は、グリーン経済を実現するための道筋の一つと捉えるとわかりやすいでしょう。

次にグリーンリカバリー(緑の回復)です。これは、経済危機や災害からの復興を、環境への配慮とともに進める考え方を指します。単に元へ戻すのではなく、より持続可能な社会へと再建する。とくに新型コロナウイルス後の経済対策として、世界的に注目されました。景気刺激策を、再エネや省エネといったグリーンな分野に振り向ける。復興と脱炭素を、同時に進めようという発想です。

グリーン経済への移行と投資

グリーン経済への移行には、大きな投資が必要とされています。その規模を見てみましょう。

世界のGDPの約2%を、グリーンな分野へ

年 約1.3兆ドル規模世界GDPの約2%を、2050年まで投資

主な対象分野

エネルギー
農業
建設
製造
運輸
水・廃棄物管理

長期的には資源の節約や新たな雇用の創出につながると期待される。

出典:UNEPの情報をもとにgreenote作成

グリーン経済は、理想を語るだけの構想ではありません。UNEPは、移行に必要な投資の規模も示しています。それによれば、世界のGDPの約2%、試算では年間およそ1.3兆ドル規模を、2050年までグリーンな分野に投じることで、主要な産業を環境に配慮したものへ移行できるとされます。

対象となるのは、エネルギー、農業、建設、製造、運輸、水・廃棄物管理など、幅広い分野です。決して小さくない金額に見えるかもしれません。しかし、この投資は長い目で見れば、資源の節約や新たな雇用の創出につながると期待されています。目先の負担ではなく、未来への投資としてとらえる視点が求められます。こうした資金の流れを支える仕組みは、関連記事のサステナブルファイナンスとはもあわせてご覧ください。

課題と日本の動き

グリーン経済の実現には、乗り越えるべき課題もあります。日本の動きとあわせて整理します。

理想を、実態にするために

グリーンウォッシュとの線引き

見せかけでなく、実態を伴う移行か。

公正な移行

影響を受ける産業や労働者への配慮。

資金の確保

必要な投資をどう賄うか。

日本ではGX(グリーントランスフォーメーション)として、グリーン経済への移行が進む。

出典:UNEP・経済産業省の情報をもとにgreenote作成

グリーン経済には、まだ課題も残ります。第一が、グリーンウォッシュとの線引きです。環境に配慮しているように見せかけるだけで、実態が伴わない取り組みも少なくありません。本物の移行かどうかを見極める目が要ります。第二が、公正な移行(ジャストトランジション)です。脱炭素で打撃を受ける産業や労働者を、置き去りにしてはならない。この配慮が欠けると、社会の分断を招きます。

第三が、資金の確保です。前述の大きな投資を、どう賄うか。ここが移行の速さを左右します。日本でも、こうした流れは進んでいます。政府はGX(グリーントランスフォーメーション)を掲げ、経済社会全体をグリーン経済へと転換しようとしています。理想を実態へと変えていく努力が、いままさに続いているのです。

まとめ|グリーン経済は「環境と公正」を両立する経済

グリーン経済は、環境と経済、そして社会の公正を同時に高めようとする、新しい経済のかたちです。最後に、要点を振り返りましょう。

  • グリーン経済とは、環境リスクを減らしつつ、暮らしの豊かさと社会的公正を改善する経済。UNEPが2011年に提唱
  • 3つの特徴は低炭素・資源効率・社会的包摂。「公正」を含む点が単なる環境政策と異なる
  • 背景には気候変動・生態系の損失・格差という重なり合う危機がある
  • グリーン成長は成長に力点、グリーンリカバリーは危機からの持続可能な復興。ともにグリーン経済への道筋
  • 移行には世界GDPの約2%(年約1.3兆ドル)の投資が必要とされ、日本ではGXとして進行中

グリーン経済は、環境か経済かという二者択一を乗り越えようとする挑戦です。環境を守ることが、暮らしを豊かにし、公正な社会をつくることにもつながる。そんな好循環を、どうすれば回せるのか。答えは一つではありませんが、めざす方向ははっきりしています。環境と経済と社会を、切り離さずに考える。その視点こそが、これからの時代の羅針盤になります。ESG・脱炭素の最新動向は、これからもgreenoteでお届けしていきます。

よくある質問(FAQ)

Q. グリーン経済とは何ですか?

A. グリーン経済とは、環境へのリスクと生態系の希少性を大きく減らしながら、人々の暮らしの豊かさ(厚生)と社会的な公正を改善する経済のあり方です。国連環境計画(UNEP)が2011年の報告書「Towards a Green Economy」で提唱しました。単なる環境対策ではなく、環境保全と経済成長、そして社会的な公平さを同時に実現しようとする、統合的な考え方である点が特徴です。

Q. グリーン経済の3つの特徴は何ですか?

A. グリーン経済は、大きく3つの特徴で語られます。1つ目は「低炭素」で、化石燃料への依存を減らし、温室効果ガスの排出を抑えることです。2つ目は「資源効率が高い」ことで、限られた資源を無駄なく使い、廃棄物を減らす循環的な仕組みを目指します。3つ目は「社会的に包摂的」であることで、経済移行の恩恵を一部の人に偏らせず、雇用や公正に配慮する点です。

Q. グリーン経済とグリーン成長はどう違うのですか?

A. 両者は重なる部分が多く、厳密な線引きは文脈によります。グリーン成長は、環境保全と経済成長を両立させ、環境分野を新たな成長の原動力にしようという考え方で、主に経済成長の側面に力点があります。一方のグリーン経済は、成長に加えて社会的な公正や人々の暮らしの豊かさまでを含む、より広い概念です。グリーン成長は、グリーン経済を実現するための道筋の一つと捉えるとわかりやすいでしょう。

Q. グリーンリカバリーとは何ですか?

A. グリーンリカバリー(緑の回復)とは、経済危機や災害からの復興にあたって、単に元に戻すのではなく、環境や気候変動への配慮を組み込んで、より持続可能な社会へと再建しようとする考え方です。とくに新型コロナウイルス後の経済対策として世界的に注目されました。景気刺激策を、再生可能エネルギーや省エネなどグリーンな分野に振り向けることで、経済回復と脱炭素を同時に進めることを目指します。

Q. グリーン経済への移行にはどれくらいの投資が必要ですか?

A. UNEPの報告書では、世界のGDPの約2%(試算では年間およそ1.3兆ドル規模)を、2050年までグリーンな分野に投資することで、主要な産業を環境に配慮したものへ移行できるとされています。対象となるのは、エネルギー、農業、建設、製造、運輸、水・廃棄物管理など幅広い分野です。大きな投資が必要な一方で、長期的には資源の節約や新たな雇用の創出につながると期待されています。

Q. グリーン経済の課題は何ですか?

A. 主な課題は3つあります。1つ目は、環境に配慮しているように見せかけるだけの「グリーンウォッシュ」との線引きで、実態を伴う移行かどうかの見極めが必要です。2つ目は「公正な移行(ジャストトランジション)」で、脱炭素で影響を受ける産業や労働者への配慮が欠かせません。3つ目は、必要な資金をどう確保するかという点です。日本でも、GX(グリーントランスフォーメーション)としてグリーン経済への移行が進められています。

出典・参考(一次情報)

※ 本記事は上記の一次情報をもとにgreenote編集部が整理しています。最新の内容は各公式サイトでご確認ください。

この記事の著者

greenote編集部

ESG・サステナビリティ専門メディア 編集部

官公庁・国際機関・企業の一次情報に基づき、ESG・環境情報・サステナビリティ開示・IRの実務に役立つ解説を、出典を明記して発信しています。各記事は編集部が一次情報との整合を確認のうえ作成しています。詳しくは編集方針・運営者情報をご覧ください。

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greenote編集責任者

サステナビリティ実務・編集統括

ESG・サステナビリティ開示・脱炭素分野の一次情報を継続的に確認し、greenote掲載記事の企画・編集・公開に責任を持っています。官公庁・国際機関の公式情報に基づく編集方針を統括しています。

最終更新日:2026年7月13日

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