「TNFDという言葉を最近よく見かけるが、TCFDと何が違うのか整理しきれていない」。ESGやIRの現場では、そんな声をよく耳にします。
TNFDとは、企業や金融機関が自然・生物多様性に関するリスクと機会を開示するための国際的な枠組みを指します。気候版のTCFDに対して、こちらは「自然版」と呼ばれる存在です。2023年9月に最終提言が公表され、開示の世界標準として広がってきました。
本記事では、TNFDの定義と背景、4つの柱とLEAPアプローチ、TCFDとの違い、そして日本企業の開示動向とESG実務での始め方までを順に取り上げます。複雑なテーマですが、実務の判断に使える形へ整理しました。お役に立てれば幸いです。
TNFDの全体像|自然版TCFDとしての位置づけ
4つの柱(計14項目)
- ガバナンス
- 戦略
- リスクと影響の管理
- 指標と目標
LEAPアプローチ
- Locate(接点の発見)
- Evaluate(依存と影響)
- Assess(リスクと機会)
- Prepare(対応と報告)
≡目次
- 1TNFDとは|自然関連財務情報開示タスクフォースの基礎
- ►TNFDの正式名称と読み方
- ►いつ・誰が策定したのか
- ►対象となる企業・金融機関
- 2TNFDが注目される背景|自然資本と生物多様性のリスク
- ►自然への依存と影響(ネイチャーポジティブ)
- ►TCFD(気候)からネイチャーへの拡大
- ►投資家・規制からの要請
- 3TNFD提言の全体像|4つの柱と14の開示推奨項目
- ►ガバナンス
- ►戦略
- ►リスクと影響の管理
- ►指標と目標
- 4LEAPアプローチとは|自然との接点を評価する4ステップ
- ►Locate(接点の発見)
- ►Evaluate(依存と影響の診断)
- ►Assess(リスクと機会の評価)
- ►Prepare(対応と報告の準備)
- 5TNFDとTCFDの違い|共通点と使い分け
- ►枠組み構造の共通点
- ►対象範囲の違い(気候vs自然)
- ►ISSB・SBTNとの関係
- 6日本企業のTNFD開示動向|アダプター数と先行事例
- ►日本のTNFD Adopters登録状況
- ►業種別の開示傾向
- ►環境省によるLEAP実践支援
- 7ESG・IR担当者がTNFD開示を始める実務ステップ
- ►まず着手すべきこと(マテリアリティと接点把握)
- ►既存のTCFD・統合報告書との接続
- ►初年度開示で陥りやすい注意点
- 8まとめ|TNFDは「自然版TCFD」として開示の標準へ
- 9よくある質問(FAQ)
TNFDとは|自然関連財務情報開示タスクフォースの基礎
TNFDとは、自然関連財務情報開示タスクフォース(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures)の略称です。企業が自然資本への依存と影響を評価し、財務的なリスクと機会として開示するための枠組みを意味します。読み方は「ティーエヌエフディー」。まずは名称と位置づけを押さえましょう。
TNFDの正式名称と読み方
正式名称は、英語の頭文字をとった「Taskforce on Nature-related Financial Disclosures」です。日本語では「自然関連財務情報開示タスクフォース」と訳されています。名称が長いため、実務では「TNFD」と略す呼び方が定着しました。
ここで押さえたいのは、TNFDが単なる環境報告の手法ではないという点です。自然の問題を「財務情報」として扱う発想が、その根底にあります。自然の毀損が将来のキャッシュフローや企業価値を左右するという前提に立っているからです。つまり環境部門だけでなく、経営や財務の課題として向き合うべきテーマと言えます。この視点の転換こそ、TNFDを理解する出発点になるでしょう。
いつ・誰が策定したのか
TNFDは2021年に発足した国際的なイニシアチブから生まれました。国連開発計画(UNDP)や世界自然保護基金(WWF)などが関与し、金融機関や企業の代表で構成された組織です。約2年間の試行とパイロットを重ね、2023年9月に最終提言(v1.0)が公表されました(TNFD公式サイトで確認できます)。
策定の体制は、TCFDを強く意識したものでした。気候分野で先行したTCFDの構造を土台に据え、対象を自然全般へと広げる設計が選ばれています。だからこそ、TCFD対応の経験がそのまま生きる枠組みに仕上がりました。提言の原文はTNFD公式サイト(確認済み)で公開されています。SDGs mediaの解説動画でも、TNFDがTCFDの自然版として初心者向けに紹介されています。
対象となる企業・金融機関
TNFDは、業種や規模を問わず幅広い組織を想定しています。とりわけ自然への依存度が高い食品・農林水産・素材産業が、中心的な担い手に当たります。投融資を通じて影響を受ける金融機関も、重要な対象に含まれます。
筆者がESG開示の支援現場で感じるのは、製造業やサービス業でも「自社は無関係」とは言い切れない実態です。水資源や原材料、土地の利用を通じて、多くの企業が自然とつながっているからです。一見すると自然と縁の薄い業種でも、サプライチェーンをたどれば接点が見えてきます。まずは「自社も当事者である」と捉える姿勢が、第一歩になるでしょう。
TNFDが注目される背景|自然資本と生物多様性のリスク
TNFDが急速に広がる背景には、自然資本の毀損が経済リスクとして認識され始めた事情があります。気候変動に続く「次の開示テーマ」として、投資家と規制当局の関心が高まってきました。ここでは3つの背景を順に見ていきます。
自然への依存と影響(ネイチャーポジティブ)
世界経済フォーラムは、世界のGDPの約半分が自然に中程度以上で依存していると指摘してきました(出典: World Economic Forum「Nature Risk Rising」2020年、部分確認)。水・土壌・受粉といった自然の恵みが失われれば、事業の前提そのものが崩れてしまいます。これは抽象的な環境問題ではなく、供給網と収益に直結する経営課題です。
近年は「ネイチャーポジティブ」という考え方も広がりました。ネイチャーポジティブとは、自然の損失を食い止め、回復の軌道へ乗せる状態を指す言葉です。2030年までの実現が国際的な目標に掲げられ、企業の取り組みを促す旗印になっています。守りの環境対策から、攻めの価値創造へと発想が移りつつあるのです。
TCFD(気候)からネイチャーへの拡大
開示の焦点は、気候から自然全般へと移ってきました。気候変動は自然破壊の一側面であり、両者は分かちがたく結びつくという認識が定着したためです。森林の減少が炭素吸収を弱め、気候変動が生態系を壊す。こうした相互作用が無視できなくなりました。
EY Japanが公開する開示動向の解説でも、気候開示の経験を自然分野へ応用する流れが紹介されています。気候で培った開示の型を、自然へ拡張する企業が増えてきました。ゼロから始めるのではなく、既存の取り組みを土台にできる点が後押しになっています。
投資家・規制からの要請
機関投資家は、自然リスクを投資判断の材料として求め始めました。生物多様性条約の国際枠組み(昆明・モントリオール生物多様性枠組み)でも、企業の情報開示を促す目標が盛り込まれています。資金の出し手が動けば、企業の対応も加速します。
私たちgreenote編集部の取材実感としても、IR担当者が投資家から自然関連の質問を受ける機会は確実に増えました。「御社は自然への依存をどう把握しているのか」。そんな問いに答えられるかどうかが、評価の分かれ目になりつつあります。開示の準備を前倒しする動きは、今後さらに強まるでしょう。
TNFDが注目される3つの背景
自然への依存・影響
GDPの約半分が自然に依存。ネイチャーポジティブが国際目標に。
TCFDから自然への拡大
気候開示の経験を自然分野へ応用する流れが定着。
投資家・規制の要請
国際枠組みと投資家が企業の自然関連開示を後押し。
TNFD提言の全体像|4つの柱と14の開示推奨項目
TNFDの開示提言は、TCFDと同じ4つの柱で構成されます。ガバナンス・戦略・リスクと影響の管理・指標と目標という枠組みで、合計14の開示推奨項目が定められました(TNFD最終提言v1.0に基づきます)。順に要点を解説します。
ガバナンス
ガバナンスの柱では、自然関連課題に対する取締役会や経営層の監督体制を開示します。誰が、どのような責任で自然リスクを管理するのか。その役割分担を明らかにする部分です。
経営トップの関与が見えない開示は、投資家から「形だけ」と受け取られかねません。だからこそ、意思決定の仕組みを具体的に語る姿勢が問われます。たとえばサステナビリティ委員会の役割や、取締役会への報告頻度を記すと説得力が増すでしょう。
戦略
戦略の柱では、自然関連のリスクと機会が事業戦略や財務計画へ与える影響を示します。短期・中期・長期という3つの時間軸で、自社への影響を語ることが求められます。
ここで鍵を握るのが、機会の視点です。自然リスクは脅威であると同時に、新たな事業の種でもあります。再生可能な原材料への転換や、自然再生に貢献する商品開発。こうした前向きな打ち手を描けるかどうかが、戦略の質を決めます。
リスクと影響の管理
この柱では、自然関連リスクを特定・評価・管理するプロセスを説明します。TNFDの特徴は、自社が受ける「リスク」だけでなく、自社が自然へ与える「影響」も対象に含む点にあります。双方向で捉える発想が、気候開示との違いを生んでいます。
影響の評価には、後述するLEAPアプローチが役立ちます。どの拠点が、どの自然に、どんな負荷を与えているのか。その把握なしに、実効性のある管理は描けません。
指標と目標
指標と目標の柱では、進捗を測る指標と具体的な目標値を開示します。水使用量、土地利用、汚染、外来種といった項目が代表例に挙げられます。数値で語ることで、取り組みの本気度が伝わります。
初年度から完璧な数値を揃える必要はありません。まず測れる指標から開示し、段階的に拡充する。そんな現実的な進め方が、多くの企業様に支持されています。
TNFDの4つの柱(計14の開示推奨項目)
TCFDと同じ4本柱の構造。気候開示の経験をそのまま活かせます。
| 柱 | 開示する要点 |
|---|---|
| ガバナンス | 取締役会・経営層による自然関連課題の監督体制と責任分担 |
| 戦略 | 自然のリスクと機会が事業・財務に与える影響(短中長期) |
| リスクと影響の管理 | リスクの特定・評価・管理プロセス(自社が与える影響も対象) |
| 指標と目標 | 水使用量・土地利用・汚染などの指標と目標値 |
LEAPアプローチとは|自然との接点を評価する4ステップ
LEAPアプローチとは、企業が自然関連課題を評価するためにTNFDが示した手順です。Locate・Evaluate・Assess・Prepareという4段階の頭文字をとっています。何から始めればよいか迷う企業にとって、心強い道しるべになるでしょう。
Locate(接点の発見)
最初のステップは、自社の事業活動が自然とどこで接点を持つかの特定です。拠点やサプライチェーンが、どの地域の自然と関わるのか。地図上で「どこ」を押さえる作業に当たります。
ここを丁寧に行うほど、後の工程が安定します。逆に接点の把握が甘いと、評価全体がぶれてしまいます。水ストレスの高い地域に工場はないか、生物多様性の重要地域に拠点を構えていないか。地理情報を起点に洗い出していきましょう。
Evaluate(依存と影響の診断)
次のステップでは、特定した接点での自然への依存と影響を診断します。水を大量に使う、土地を改変する、排水を出す。そうした関わりを一つずつ洗い出す段階です。
依存と影響は、コインの裏表の関係にあります。自然に支えられている部分(依存)と、自然へ負荷を与えている部分(影響)。両面を切り分けて捉えると、課題の輪郭がはっきりします。ここで使えるデータベースやツールも整いつつあります。
Assess(リスクと機会の評価)
3番目のステップでは、診断結果をリスクと機会として評価します。原材料の調達難という脅威もあれば、自然再生に貢献する新事業という好機も見えてきます。財務への影響度と発生可能性の両面から、優先順位をつけていきます。
すべてのリスクに同時に対応するのは現実的ではありません。だからこそ、自社にとって重要度の高い課題を絞り込む判断が要となります。
Prepare(対応と報告の準備)
最後のステップでは、評価をもとに対応策と開示の準備を進めます。環境省が公開するLEAPの解説ワークショップでも、この4段階を順に進める実務的な手順が示されています。行政の解説資料は、初学者にとって信頼できる出発点になるはずです。
筆者の支援経験でも、Locateを丁寧に踏んだ企業ほど、最終的な開示の説得力が高い傾向が見られました。急がば回れ。土台づくりに時間をかける価値は大きいと感じています。
LEAPアプローチ|自然との接点を評価する4ステップ
Locate
事業と自然の接点を地図上で把握
Evaluate
依存と影響を診断
Assess
リスクと機会を評価し優先順位づけ
Prepare
対応策と開示を準備
TNFDとTCFDの違い|共通点と使い分け
TNFDとTCFDは、構造が共通する一方で対象範囲が異なります。TCFDが「気候」に絞るのに対し、TNFDは「自然全般」を扱う点が核心の違いです。両者は競合せず、補完し合う関係にあると整理できます。
枠組み構造の共通点
両者は4つの柱という同じ骨格を持ちます。ガバナンスから指標・目標までの流れが共通するため、TCFD対応の経験をTNFDへ転用しやすいのです。開示文書のひな型や社内体制も、多くを共有できます。
この互換性は、企業の負担を軽くする利点になります。まったく新しい開示をゼロから組み立てる必要はありません。
対象範囲の違い(気候vs自然)
TCFDは温室効果ガス(GHG)と気候リスクが中心でした。一方でTNFDは、水・土地・生物多様性を含む自然資本の全体を視野に入れます。気候は自然という大きな枠の一部、という整理です。
そのぶんTNFDは、扱うテーマが幅広く複雑になります。評価の難易度も上がるため、LEAPのような手順が用意されたわけです。
ISSB・SBTNとの関係
TCFDは2023年に役割を終え、ISSB(国際サステナビリティ基準審議会)の基準へと引き継がれました。TNFDはこの流れと整合するよう設計され、科学的根拠に基づく目標を扱うSBTN(Science Based Targets Network)とも連携しています。
SDGs mediaの用語解説動画でも、TCFD・SBT・CDPといった関連枠組みの違いが平易に整理されています。略語が乱立する領域だからこそ、相互の関係を地図のように押さえておくと混乱を避けられるでしょう。
TNFDとTCFDの違い
| 項目 | TCFD(気候) | TNFD(自然) |
|---|---|---|
| 対象 | 気候変動・温室効果ガス | 水・土地・生物多様性を含む自然全般 |
| 公表 | 2017年提言(2023年ISSBへ移管) | 2023年9月 最終提言(v1.0) |
| 4つの柱 | ガバナンス/戦略/リスク管理/指標と目標 | 同じ4本柱(構造を踏襲) |
| 評価手順 | シナリオ分析が中心 | LEAPアプローチ(4ステップ) |
| 関連基準 | ISSB(IFRS S2)へ統合 | ISSBと整合・SBTNと連携 |
日本企業のTNFD開示動向|アダプター数と先行事例
日本はTNFDの初期採用で世界をリードする立場にあります。2024年1月時点で世界320超の組織がTNFD Adopters(早期採用者)に登録し、日本は国別で最多とされてきました(TNFD公式・各種報道に基づく。最新の登録数は公式サイトでご確認ください)。この事実は、国内の関心の高さを物語ります。
日本のTNFD Adopters登録状況
TNFD Adoptersとは、TNFDに沿った開示を始めると表明した組織を指します。日本企業の登録数が突出している点は、海外メディアでも注目を集めてきました。背景には、自然資本への依存が高い産業構造や、官民連携の積極姿勢があるとされています。
数の多さは、国内に学び合える事例が豊富という利点も生みます。先行企業の開示を参考にできる環境が、後続の企業を後押ししています。
業種別の開示傾向
国内では、食品・飲料・素材・金融といった業種が先行する傾向です。水や原材料を通じた自然との関わりが深い分野ほど、開示に積極的な姿勢が見られます。事業の根幹に自然が組み込まれているため、対応の必要性を実感しやすいのでしょう。
一方で、近年は小売や情報サービスなど、依存が間接的な業種にも広がりつつあります。サプライチェーン全体を見渡す動きが、裾野を押し広げています。
環境省によるLEAP実践支援
日本では行政の後押しも進んできました。環境省の自然関連情報開示のページ(部分確認)や解説動画『TNFD開示とその先:世界と日本の最新状況』を通じて、LEAPの実践が支援されています。農林中金総合研究所の解説でも、企業経営とTNFDを結びつける視点が示されました。
私たちgreenote編集部としても、こうした官公庁・研究機関の一次資料を起点に動向を追っています。出所の確かな情報に立ち返ることが、変化の速いこの領域では欠かせません。公的資料を定点観測する姿勢を、読者の皆様にもおすすめします。
ESG・IR担当者がTNFD開示を始める実務ステップ
TNFD開示は、いきなり完璧を目指す必要はありません。初年度はマテリアリティの特定と自然との接点把握から着手するのが、現実的な進め方です。段階的に開示の質を高める姿勢が、無理のない前進を生みます。
まず着手すべきこと(マテリアリティと接点把握)
最初の一歩は、自社にとって重要な自然課題の絞り込みです。マテリアリティとは、企業にとって優先度の高い重要課題を指す言葉です。LEAPのLocateを使い、どの拠点や原材料が自然と深く関わるかを洗い出します。
ここで欲張らないことが、初年度を乗り切るコツになります。範囲を広げすぎると、データ収集だけで息切れしてしまいます。まずは事業の中核に近い接点から手をつけましょう。
既存のTCFD・統合報告書との接続
TNFDは、既存の開示と切り離して考える必要はありません。TCFDや統合報告書で築いたガバナンスの記述を、自然分野へ拡張する形が効率的です。同じ4つの柱を使えるため、骨格をそのまま流用できます。
重複作業を避けられ、開示全体の一貫性も保てます。社内の関係部署にとっても、既存の枠組みの延長なら理解を得やすいはずです。
初年度開示で陥りやすい注意点
初年度は「網羅性」より「誠実さ」を優先したい段階です。データが揃わない項目は、現状と今後の方針を率直に書く。その姿勢が、かえって投資家の信頼につながります。
背伸びした断定より、検証可能な記述を積み重ねたいところです。なお自然関連の数値や制度は、変化が速い領域でもあります。引用する統計や枠組みは、官公庁や国際機関の一次資料で時点を確認することをおすすめします。
まとめ|TNFDは「自然版TCFD」として開示の標準へ
TNFDは、自然関連のリスクと機会を財務情報として開示する枠組みです。TCFDと同じ4つの柱を備え、LEAPアプローチという評価手順を用意しています。気候から自然へ、開示の裾野は着実に広がってきました。
日本は早期採用で世界をリードする位置にあります。ESG・IRの実務では、マテリアリティの特定と既存開示との接続から始めるのが堅実な一歩です。完璧主義に陥らず、誠実な開示を積み重ねる。その先に、投資家からの信頼が育っていきます。
greenoteでは、官公庁・国際機関の一次情報をもとに、こうした開示制度の動向を引き続き整理してまいります。関連するテーマは、サステナビリティ開示の最新動向、環境政策・規制のまとめ、環境情報の基礎解説でも取り上げています。あわせてご覧ください。
よくある質問(FAQ)
Q1. TNFDとTCFDはどちらを優先すべきですか? A. 両者は排他的ではありません。TCFDは2023年にISSBへ役割を引き継ぎ、TNFDがそれを自然分野で補完します。多くの企業はTCFDやISSB対応を進めつつ、TNFDを段階的に取り入れています。まずは既存の気候開示を土台に、自然分野へ広げる順序が現実的でしょう。
Q2. TNFD開示は義務ですか? A. 2025年時点の日本では、TNFDに沿った開示は原則として任意です。ただし投資家からの要請や国際的な基準整備が進み、先行して任意開示する企業が増えてきました。将来的に開示が広く求められる流れも見据え、早めの準備が安心につながります。
Q3. 中小企業もTNFDに対応する必要がありますか? A. 現時点では大企業や上場企業が中心です。とはいえサプライチェーンを通じて、取引先から対応を求められる場面も想定されます。まずは自社事業と自然との接点を把握することから始めるとよいでしょう。
Q4. LEAPアプローチは必ず使わなければなりませんか? A. LEAPは推奨される手順であり、強制ではありません。ただし「どこから手をつけるか」を整理する道具として有効です。多くの企業様が、Locateから順に進める方法を選んでいます。
Q5. TNFDに対応すると、どんなメリットがありますか? A. 投資家への説明力が高まり、資金調達やレピュテーションの面で利点が生まれます。自然リスクを早期に把握できるため、原材料調達などの事業継続性にも寄与すると考えられます。守りと攻めの両面で価値がある取り組みです。
Q6. TNFD開示の準備期間はどのくらい必要ですか? A. 範囲によりますが、初年度は接点の把握とマテリアリティの特定に数か月をかける企業が一般的です。既存のTCFD対応がある場合は、その資産を活用して期間を短縮できます。自社の体制に合わせ、無理のない計画を立てましょう。