脱炭素とエネルギーの動きは、日々めまぐるしく変わります。本連載「今日のNEWS」では、ESG・環境・エネルギー分野の主要な報道を、greenote編集部が要点を絞って毎日お届けします。第2号となる本日(2026年6月18日)の動きをまとめました。
各項目には出典となる媒体へのリンク(Google News経由)を添えています。なお本連載は公開報道をもとに編集部が要約したものです。企業・投資に関する記述は市場動向の解説であり、投資を勧めるものではありません。
≡目次
- 1本日のハイライト
- ►本日の注目トピック
- 2カーボンニュートラル
- ►AI倫理に環境保護の視点
- ►クリーンエネルギーを支える新技術
- 3エネルギー(電力・再エネ)
- ►政策の逆風と大型投資
- ►再エネが支える電力網
- 4ESG投資・金融
- ►炭素除去への巨額資金
- ►AI投資とESGの綱引き
- 5情報開示
- ►開示が開く市場と企業の前進
- ►「第二の経営企画部」へ
- 6水素
- ►水という制約とEVとの比較
- ►各国の産業育成
- 7EV・充電インフラ
- ►逆風を越える充電インフラ
- ►電力網と人材という土台
- 8サーキュラーエコノミー
- ►AIで廃棄物を可視化
- ►欧州の受賞と拠点づくり
- 9生物多様性・ネイチャーポジティブ
- ►企業のネイチャーポジティブ
- ►気候と自然を一体で
- 10編集部の視点|本日のまとめ
本日のハイライト
本日は、炭素除去への巨額投資、AI時代の電力をめぐる技術、自然を「増やす」ネイチャーポジティブまで、幅広い分野で注目すべき報道がありました。まずは、特に押さえておきたい動きを一覧で確認しましょう。
本日のハイライト
2026年6月18日|脱炭素・エネルギーNEWS
9億ドル超
炭素除去への投資
Google・Anthropic・Meta等が出資
3億ドル
クリーンエネルギー助成
マッカーサー財団
2.3兆ドル
気候資本シフト
ブルームバーグが移行支援ツール拡充
1.5億レアル
グリーン水素
ブラジルが電解槽産業に公募
公開報道をもとにgreenote編集部が要約。市場動向の解説であり、投資助言ではありません。
出典:2026年6月18日時点の各種公開報道をもとにgreenote作成
本日の注目トピック
本日は、炭素除去への巨額投資、AI時代の電力をめぐる技術、そして自然を「増やす」ネイチャーポジティブの動きが目立ちました。脱炭素を取り巻くお金・技術・自然の三つの面で、新しい動きが相次いだ一日です。それでは、分野ごとに見ていきましょう。
カーボンニュートラル
AIと脱炭素の交差点で、新しい動きが相次ぎました。倫理から技術、電源まで。
AI倫理に環境保護の視点
教皇レオ、AIの規範づくりに地球保護を。教皇レオが、AI技術の発展が地球環境に与える影響を踏まえ、倫理的な指針の重要性を訴えました。AIの設計・開発で環境保護と持続可能性を優先するよう求める内容で、AIガバナンスにESGの視点を組み込む流れを後押しします(The Invading Sea)。
クリーンエネルギーを支える新技術
分子スポンジでクリーンエネルギーの未来を。CO2や水素などの分子を選択的に吸着・分離する「分子スポンジ」技術が、CO2回収や水素貯蔵への応用で注目されています。まだ研究開発段階ながら、将来のエネルギーシステムに影響を与える可能性を秘めた技術です(EurekAlert!)。
電源の話題も。溶融塩炉はAI時代を支えられるか。次世代原子力とされる溶融塩炉(MSR)が、AIデータセンターの電力需要に応えつつ脱炭素を両立する選択肢として議論されています。安全性が高く核廃棄物も少ないとされ、安定した低炭素電源への期待が高まっています(The Korea Post)。
エネルギー(電力・再エネ)
再生可能エネルギーをめぐり、政策の逆風と投資・実装の追い風が交錯しました。
政策の逆風と大型投資
トランプ政権、反再エネ政策の敗訴に異議。米国で、再生可能エネルギーに反対する政策をめぐる訴訟の敗訴判決に対し、トランプ政権が異議を申し立て。エネルギー移行の流れに逆行する動きとして注目され、最終的な司法判断が今後の米エネルギー政策を左右しそうです(報道)。
一方、民間の資金は脱炭素へ向かいます。マッカーサー財団、クリーンエネルギーに3億ドル。気候変動対策と公正な移行の加速を目的に、開発途上国の地域社会や気候の影響を強く受ける地域のプロジェクトへ重点配分する計画です(報道)。
再エネが支える電力網
自治体も動いています。シアトル市営電力、2027-2032戦略計画。信頼性の高い電力供給、再生可能エネルギーへの投資、インフラの重要なアップグレードを柱に据え、地域の脱炭素に向けた具体的なロードマップを提示(報道)。
再エネの価値は、安定供給にも表れています。太陽光が電力網を夏の暑さに強く。環境アメリカの報告によれば、太陽光発電の普及により、米国の電力網は猛暑時のピーク需要への耐性を増しているとのこと。クリーンなだけでなく、系統の安定にも寄与する好例です(報道)。
ESG投資・金融
気候マネーの大きな動きと、AI時代のESGをめぐる緊張が見えた一日です。
炭素除去への巨額資金
本日の目玉が、これです。Frontier、炭素除去に9億ドル超を調達。炭素除去を推進するFrontierが、Google・Anthropic・Metaなどの大手から9億ドル(約1350億円)超を獲得。大気中からCO2を直接除去する技術の開発・展開を加速させる資金で、民間による気候対策コミットの大きさを示しています(報道)。
移行を支える道具も拡充。ブルームバーグ、トランジション・ツールキットを拡充。投資家が直面する2.3兆ドル規模の気候資本シフトに対応し、移行計画の評価やデータ分析、情報開示の支援を強化(Bloomberg)。
AI投資とESGの綱引き
緊張も見えました。Alphabet、AI投資を推進する一方でESG提案を却下。Googleの親会社AlphabetがAIへの大規模投資を進める一方、株主からのガバナンス・ESG提案を退けた点が報じられています。AIへの集中とESGへの姿勢のバランスが、企業価値の観点から問われる構図です(報道)。投資の視点では、欧州からのグローバル資産配分を論じる分析も出ています。ESG要素の統合が長期リターンの追求に重要だと指摘する内容です(T. Rowe Price)。
情報開示
サステナビリティ開示は、市場参入の武器にも、経営変革の起点にもなりつつあります。
開示が開く市場と企業の前進
GRI、ESG対応がEU市場参入の強みに。マレーシア企業がESG対応を進めれば、サプライチェーンのデューデリジェンスを義務付けるEUの新規制に対応しやすく、競争優位に立てるとGRIが指摘。中小企業向けの報告支援も強化される見通しです(GRI)。
企業の前進も。ヘクラ・マイニング、2026年サステナビリティ・ロードマップ。環境フットプリント削減や安全文化の強化を掲げ、デジタル報告でESGパフォーマンスの透明性を高める方針です(報道)。
「第二の経営企画部」へ
サステナビリティ部門は「第二の経営企画部」になれるか。開示の義務化や投資家の要求が高まるなか、サステナビリティ情報を経営変革に活かす重要性が論点に。財務・非財務を統合した経営計画の策定など、サステナ部門が事業戦略の中核を担う可能性を示す内容です(報道)。
水素
水素には、期待と現実的な制約の両方が突きつけられました。
水という制約とEVとの比較
楽観論への警鐘も。グリーン水素は製造に大量の水を使うため、世界的な水不足がその普及の制約になり得ると指摘する論考が出ています。水資源の課題が、エネルギー戦略の見直しを迫るという見立てです(報道)。EVとの比較でも厳しい見方が。乗用車ではバッテリーEVが効率やインフラ、コストで優位を確立したとし、水素車の普及には依然として課題が大きいと論じる記事もありました(報道)。
各国の産業育成
一方で、産業づくりは着実に進みます。ブラジル政府は、国内のグリーン水素電解槽産業を育てるため、1億5千万レアル(約2700万ドル)規模の公募を開始(報道)。中国のCHNエネルギーは、太陽光発電・蓄電池・水素製造を統合した複合プロジェクトを完了(報道)。
EV・充電インフラ
EVと充電インフラは、政策の揺れを越えて整備が前進しました。
逆風を越える充電インフラ
ミシガン州、連邦資金の変更後もEV充電器拡大を再開。連邦の資金方針が変わるなかでも、州が独自にEVインフラ整備を進める強い意志を表明(報道)。民間も拡充中。エレクトリファイ・アメリカが、カリフォルニア州サンタバーバラに急速充電ステーションを開設し、あわせて同社最大規模のバッテリー貯蔵システム(BESS)も導入。需要ピーク時の系統負荷を抑え、安定した急速充電を支えます(報道)。
電力網と人材という土台
EVは電力網の一部にもなります。電力会社と自動車メーカーの協力で、管理型の双方向充電(V2G)が進展。EVを蓄電池のように使い、系統の安定や再エネ統合に役立てる試みです(報道)。人材育成の動きも。デンバーの交通機関RTDが、EV輸送のキャリアに関心のある高校生を招くイベントを開き、次世代の担い手づくりを推進(報道)。なお、新興EVメーカーVinFastの苦戦は、米国EV市場全体の競争激化やインフラ不足を映す指標といえます(報道)。
サーキュラーエコノミー
循環型経済は、AI活用と地域の実装で前進中です。
AIで廃棄物を可視化
世界経済フォーラム(WEF)は、循環型経済の実現に向け、AIで廃棄物データを正確に捕捉・追跡することの重要性を強調。資源の無駄をなくし、効率的な利用につなげる狙いです(世界経済フォーラム)。
欧州の受賞と拠点づくり
欧州では実装が進みます。「LIFE Turn to e-circular」プロジェクトが、循環型経済と生活の質への貢献を評価され、EUのLIFE賞を受賞(欧州気候・インフラ・環境執行機関)。電子廃棄物の分野では、ERIのジョン・シェゲリアン氏がフランクフルトの会議で、E-WasteリサイクルとITAD(IT資産処分)における循環型経済の役割を報告(WBOC TV)。イタリアでは、エネルギー大手Eniと公益企業Heraが、ラヴェンナに循環型経済の環境センターを開設しています(Inspenet)。
生物多様性・ネイチャーポジティブ
自然を「減らさない」から「増やす」へ。ネイチャーポジティブの実装が進みます。
企業のネイチャーポジティブ
悪影響を抑えるだけでなく、自然を積極的に回復・再生する「ネイチャーポジティブ生産」という概念が、WWFなどにより提唱されています。事業やサプライチェーン全体で生物多様性の損失を止め、最終的に自然を増やすことを目指す考え方です(Panda.org)。具体策も。鉱山会社フォーテスキューと国際自然保護連合(IUCN)が、生物多様性へのネット・ポジティブ・インパクトを目指す科学的根拠に基づくロードマップを策定(IUCN)。
気候と自然を一体で
科学の知見も深まっています。学術誌Natureの研究は、生息地の喪失・分断への生態系の応答が「景観の質」に大きく左右されると示し、量だけでなく質とつながりを重視する保全の必要性を指摘しました(Nature)。気候と自然を切り離さない視点も強調されました。炭素排出削減と生物多様性保全は相互に関わり、統合的に解くべきだと訴える論考です(theenergyst.com)。
編集部の視点|本日のまとめ
本日のニュースを通して見えてくる、脱炭素・エネルギーの大きな流れを整理します。
本日の3つの潮流
2026年6月18日のニュースから
気候マネーが「技術」へ
炭素除去に9億ドル、クリーンエネルギーに3億ドル。資金が抽象的な目標から具体的な脱炭素技術へ流れ込む。
AIと電力・倫理の交差
溶融塩炉や太陽光がAI時代の電力を支える一方、AIの規範づくりに環境・ESGの視点が問われる。
自然を「増やす」段階へ
ネイチャーポジティブ生産やIUCNとの科学的ロードマップ。気候と自然を一体で捉える動きが具体化。
気候マネー・AIと電力・自然。脱炭素を取り巻く論点は、日に日に具体性を増しています。
出典:2026年6月18日時点の各種公開報道をもとにgreenote作成
本日の報道からは、3つの大きな流れが読み取れます。第一に、気候マネーが「技術」へ向かったこと。炭素除去に9億ドル、クリーンエネルギーに3億ドル——資金は、抽象的な目標から具体的な脱炭素技術へと流れ込んでいます。
第二に、AIと電力・倫理の交差です。溶融塩炉や太陽光がAI時代の電力需要を支える一方、AIの規範づくりには環境やESGの視点が問われました。技術の進歩と責任が、同じテーブルに乗りつつあります。第三に、自然を「増やす」段階への移行。ネイチャーポジティブ生産や、IUCNと企業の科学的ロードマップなど、気候と自然を一体で捉える動きが具体化しました。
気候マネー、AIと電力、そして自然。脱炭素を取り巻く論点は、日に日に具体性を増しています。その「いま」を、明日も引き続き追いかけます。明日のNEWSも、greenoteでお届けします。
参考(出典):本記事は2026年6月18日時点の各種公開報道をもとに、greenote編集部が要約・整理したものです。各項目のリンクはGoogle News経由で各媒体へ転送されます。企業・投資に関する記述は市場動向の解説であり、特定の投資を推奨するものではありません。
編集責任
greenote編集責任者
サステナビリティ実務・編集統括
ESG・サステナビリティ開示・脱炭素分野の一次情報を継続的に確認し、greenote掲載記事の企画・編集・公開に責任を持っています。官公庁・国際機関の公式情報に基づく編集方針を統括しています。
最終更新日:2026年6月20日