花王のESG経営を分析|CDPで最高評価を続ける理由とは

企業事例

「環境に熱心な日本企業」と聞いて、どこを思い浮かべるでしょうか。

実は花王は、環境評価の国際的な仕組み「CDP」で、日本企業の中でも屈指の高評価を“何年も”続けている会社です。しかも、その評価のされ方には、他社にはない明確な特徴があります。

本記事では、花王のESG経営を分析し、評価機関が高く評価しているポイントを抽出します。

※評価結果は毎年更新されます。本記事は花王およびCDPの公表情報(2024〜2025年時点)に基づくもので、最新の状況は花王公式サイト等でご確認ください。

持続可能なものづくりと水資源のイメージ

花王のESG戦略「Kirei Lifestyle Plan」

花王は2019年に、ESG戦略「Kirei Lifestyle Plan」を策定し、19の重点取り組みテーマを掲げています。「快適な暮らし」「思いやりのある選択」「よりすこやかな地球」という3つの柱のもと、製品ライフサイクル全体での環境負荷低減を経営に組み込んでいる点が特徴です。単発の環境施策ではなく、事業戦略と一体化させている点が、評価の土台になっていると考えられます。

評価機関が高く評価している3つのポイント

① 環境の3分野すべてで最高評価(トリプルA)

花王は、CDPの「気候変動」「水セキュリティ」「フォレスト(森林)」の3分野すべてで最高評価「Aリスト」を5年連続で獲得したと発表しています(2025年2月発表)。3分野同時の最高評価(いわゆるトリプルA)は世界でもごく少数で、気候変動に偏らず水・森林を含む幅広い環境課題に高い水準で対応している点が際立っています。

② サプライチェーン全体を動かす力(最大の特徴)

花王の評価で特に突出しているのが、CDPの「サプライヤー・エンゲージメント・リーダー」への8年連続選定です(2025年7月発表)。これは、自社の排出だけでなく、Scope3(サプライチェーン全体の排出)の削減に向けて取引先を巻き込めているかを評価するものです。花王は主要サプライヤーへ毎年CDPの質問書への回答を依頼し、得られた情報を自社の削減推進に活用しています。「自社単独」ではなく「バリューチェーンを動かす」取り組みが、高評価の核心といえます。

③ 原料調達の責任(パーム油の持続可能性)

花王の主要原材料であるパーム油について、農園までのトレーサビリティ確保を進めている点も評価されています。インドネシアの小規模農園を支援する「SMILE」プログラムでは、生産性向上やRSPO認証の取得支援に加え、農園の苦情を受け付ける仕組み(グリーバンスメカニズム)も導入しています。調達の上流にある社会・環境課題まで踏み込む姿勢が、森林分野での最高評価につながっていると考えられます。

CDP・S&Pなど他の高評価企業の共通点は、総論記事でまとめています。

高評価企業に学ぶ|総論を読む

花王から学べるポイント

花王の事例から、自社の取り組みに活かせる視点を整理します。

  • 事業戦略と一体化させる:環境を「コスト」ではなく経営戦略(Kirei Lifestyle Plan)の中心に据えている。
  • サプライチェーンを巻き込む:自社のScope1・2だけでなく、取引先と協働してScope3の削減を進める。
  • 気候以外の課題にも広げる:水・森林・調達など、環境課題を幅広くカバーする。
  • 上流の課題に踏み込む:原料の産地まで遡り、社会面も含めて責任を果たす。

規模や業種が異なっても、これらの「考え方」は多くの企業が参考にできます。ESG情報開示の質を高める出発点にもなるでしょう。

まとめ

花王が評価機関から高く評価されている理由は、環境3分野での最高評価に加え、サプライチェーン全体を動かすエンゲージメント力と、原料調達の上流まで踏み込む責任ある姿勢にあります。いずれも「自社単独の削減」を超えた取り組みであり、ESG経営を一段深めるうえでの示唆に富んでいます。評価は毎年更新されるため、最新情報は花王およびCDPの公式発表をご確認ください。

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よくある質問(FAQ)

Q. 花王はなぜCDPで高く評価されているのですか?

A. 気候変動・水セキュリティ・フォレストの3分野すべてで最高評価(トリプルA)を継続しているほか、サプライチェーン全体での排出削減を取引先と進める「サプライヤー・エンゲージメント」が高く評価されています。

Q. 花王の「Kirei Lifestyle Plan」とは何ですか?

A. 2019年に策定したESG戦略で、19の重点テーマを掲げ、製品ライフサイクル全体での環境負荷低減を事業戦略に組み込んだものです。環境を経営の中心に据えている点が特徴です。

Q. 花王の取り組みから学べることは何ですか?

A. 環境を経営戦略の中心に据えること、自社だけでなくサプライチェーン全体(Scope3)を取引先と協働して削減すること、原料調達の上流の課題にまで踏み込むことなどが、規模を問わず参考になります。

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