「ちゃんと削減目標を掲げているのに、なぜかCDPのスコアが伸びない」——。
もしそう感じているなら、原因は目標の”中身”にあるかもしれません。
CDP設問解説シリーズの第2回は、スコアを大きく左右する「目標設定」の設問です。何が評価され、近年どう変わってきたのかを整理します。
※CDPの質問書・採点基準は年度ごとに更新されます。本記事は2023〜2024年版の公表情報に基づく解説で、設問文の逐語転載は行いません。最新・正確な内容はCDP公式をご確認ください。

① この設問は何を問うのか
目標設定の設問は、ひとことで言えば「いつまでに、どれだけ減らすと約束しているか」を問うものです。
ポイントは、目標が2種類あること。数年先(5〜10年)を見据えた短期目標と、最終的に排出を実質ゼロにするネットゼロ目標です。CDPは、この両方を求めます。
② スコアで評価されるポイント
最大のカギは、SBT(科学的根拠に基づく目標)の認定です。
SBT認定を受けた目標を開示していれば、上位スコア(A-/A)の必須要件を満たせるとされています。SBT認定がない場合でも、次のような同等水準が求められます(CDP採点方法論より)。
- 組織全体(連結範囲)を対象にしている
- Scope1・2の基準年排出量の95%以上をカバー
- 達成年が、目標設定から5〜10年以内
- ネットゼロ目標を設定・報告している
- 1.5℃に整合した移行計画がある(または2年以内に策定予定)
SBTの基礎は、こちらの記事でわかりやすく解説しています。
③ なぜCDPは目標を厳しく見るのか
「2050年ゼロを目指します」という宣言だけなら、誰でも言えます。
CDPが見たいのは、その目標が科学に裏打ちされ、検証可能で、組織全体を本気でカバーしているかです。あいまいな宣言と、実行を伴う約束を見分けるための基準、といえます。
④ 過去からの変化——年々ハードルは上がっている
CDPの目標評価は、ここ数年で着実に厳しくなっています。流れを知っておくと、対応の方向性が見えてきます。
- 移行計画の重視:2024年には、移行計画の信頼性を21の指標で評価する方法論が導入されました。「目標を掲げる」だけでなく「どう実現するか」が一段と問われています。
- 質問書の統合:2024年から、気候変動・水・森林が1つの統合質問書になりました(プラスチック・生物多様性のモジュールも追加)。
- 国際基準との整合:ISSB(IFRS S2)の気候基準を土台に整合が進んでいます。
- 必須要件の強化:上位スコアへの”関門”が増え、1つでも欠けると上に進めない仕組みが強まっています。
つまり、「去年と同じ回答では、同じ評価は得られない」可能性があるということです。
⑤ 高評価企業に共通する対応の「型」
- SBT認定(短期+ネットゼロ)を取得している
- 1.5℃整合の移行計画を策定・開示している
- 進捗を毎年、検証可能な形で開示している
具体的な開示の様子は、高評価企業の分析記事もあわせて参考になります。
⑥ 自社で押さえるべきこと
順番に整えるなら、次の流れが現実的です。
- まず自社の排出量(Scope1・2、できれば3)を正確に把握する
- SBTの取得を検討し、短期目標とネットゼロ目標を設定する
- 「どう実現するか」を示す移行計画を描き、毎年の進捗を開示する
まとめ
CDPの目標設定は、SBTを軸に「科学に基づく・検証可能な・全体をカバーする」目標が評価されます。そして近年は、移行計画の重視など、年々ハードルが上がっています。
大切なのは、宣言で終わらせず「実現の道筋」まで描くこと。前回のガバナンス編とあわせて、体制と目標の両輪で整えていきましょう。
greenoteでは、CDP対応・気候目標・開示の実務に役立つ情報を発信しています。ご相談はお気軽にどうぞ。
よくある質問(FAQ)
Q. CDPの目標設定の設問では何が評価されますか?
A. SBT(科学的根拠に基づく目標)の認定がベストプラクティスとされ、上位スコアの必須要件を満たせます。SBTがない場合も、組織全体を対象にScope1・2の95%以上をカバーし、5〜10年以内の短期目標とネットゼロ目標、1.5℃整合の移行計画があることが求められます。
Q. CDPの目標評価は以前と変わっていますか?
A. はい、年々厳しくなっています。2024年には気候・水・森林の統合質問書化、ISSB基準との整合、移行計画の信頼性を21指標で評価する方法論の導入などがあり、「目標を掲げる」だけでなく「どう実現するか」が一段と問われています。
Q. 目標設定は何から始めればよいですか?
A. まず自社の排出量(Scope1・2、できれば3)を正確に把握し、SBTの取得を検討して短期目標とネットゼロ目標を設定、さらに実現の道筋を示す移行計画を描いて毎年の進捗を開示する、という流れが現実的です。