CDP・DJSIで高評価のESG先進企業に学ぶ|評価される取り組みの共通点

企業事例

ESGへの取り組みは、CDPやS&P Global(旧DJSI)といった外部機関による評価を通じて「見える化」されつつあります。では、高い評価を得ている企業は、具体的に何をしているのでしょうか。本記事では、評価の仕組みを整理したうえで、高評価を得ている日本企業3社の取り組みを取り上げ、「何が評価されているのか」をまとめます。

※企業の評価結果は毎年更新されます。本記事は各社・各評価機関の公表情報(2024〜2025年時点)に基づくもので、最新の状況は各社およびCDP・S&P Globalの公式発表をご確認ください。

企業のサステナビリティ経営のイメージ

ESGを評価する主な仕組み

CDP(旧カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)

CDPは、企業の環境への取り組みを「気候変動」「水セキュリティ」「フォレスト(森林)」の3分野で評価し、最高評価の企業を「Aリスト」として公表する国際的な非営利団体です。CDPの発表によると、2024年は2万2,700社以上がスコアを取得し、A評価を得たのは全体の約2%にとどまりました。日本企業はAリストの常連が多く、地域別でも上位を占めています。

S&P Global(CSA・サステナビリティ年鑑)

S&P Globalは「コーポレート・サステナビリティ評価(CSA)」を通じて企業を評価し、各業種の上位企業を「サステナビリティ年鑑」に掲載します。長年知られる「DJSI(ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックス)」もこの評価が基盤です。2025年版では、評価対象7,690社超のうち掲載されたのは780社でした。

高評価企業に学ぶ|3社の取り組み

花王|環境3分野で最高評価(トリプルA)

花王は、CDPの「気候変動」「フォレスト」「水セキュリティ」の3分野すべてで最高評価(いわゆるトリプルA)を5年連続で獲得したと発表しています(2025年2月発表)。気候変動では「2040年カーボンゼロ・2050年カーボンネガティブ」を掲げ、バリューチェーン全体での排出削減に取り組んでいます。森林分野ではパーム油のRSPO認証への切り替えや小規模農園支援、水分野ではすすぎが少なくて済む製品など、事業を通じた環境負荷低減が特徴です。

キリンホールディングス|水セキュリティで長期にわたり最高評価

キリンホールディングスは、CDP水セキュリティで長年にわたり最高評価「Aリスト」を獲得し、気候変動でも高評価を得ていると公表しています。グローバルなサプライチェーンと自社拠点の水リスクを評価し、水ストレスの高い地域を重視した目標設定を行っている点が評価されています。気候変動では、SBT(科学的根拠に基づく目標)の1.5℃目標やRE100への参加も進めています。

富士フイルムホールディングス|気候・水の2分野で最高評価

富士フイルムホールディングスは、CDPの「気候変動」「水セキュリティ」の2分野で最高評価を獲得したと発表しています。メタネーションや水素などの脱炭素技術の活用、自治体・企業との連携協定のほか、創業以来の事業で培った水管理の知見を活かし、2030年に向けた水投入量の削減目標などを掲げています。

ESG・サステナビリティの基礎用語は、用語集でまとめて確認できます。

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評価される取り組みの共通点

3社の事例から、高い評価を得る企業に共通するポイントが見えてきます。

  • 科学的根拠に基づく目標:SBTの1.5℃目標やRE100など、国際的な枠組みに沿った目標を掲げている。
  • サプライチェーン全体での対応:自社だけでなく、Scope3や調達まで含めて排出・影響の低減に取り組んでいる。
  • 気候以外の自然資本も重視:水・森林など、気候変動にとどまらない環境課題に幅広く対応している。
  • 地域・拠点ごとのリスク評価:水ストレスの高い地域など、リスクの所在を具体的に把握して対策している。
  • 透明性のある情報開示:取り組みと成果を、データと根拠をもって継続的に開示している。

これらは、規模や業種を問わず、多くの企業が参考にできる視点です。ESG情報開示の質を高め、ESG投資家との対話につなげる土台になります。

各社の詳しい分析

まとめ

CDPやS&P Globalなどの評価で高い評価を得る企業は、科学的根拠に基づく目標、サプライチェーン全体での対応、水・森林を含む幅広い環境課題への取り組み、地域ごとのリスク評価、そして透明性のある開示を、いずれも高い水準で実践しています。評価結果そのものよりも、その背景にある「考え方」と「継続性」こそが、自社の取り組みを考えるうえで重要な学びとなります。評価は毎年更新されるため、最新の動向は各社およびCDP・S&P Globalの公式情報でご確認ください。

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よくある質問(FAQ)

Q. CDPの「Aリスト」とは何ですか?

A. CDPが企業の環境への取り組みを気候変動・水セキュリティ・フォレストの各分野で評価し、最高評価の企業を「Aリスト」として公表するものです。2024年は回答企業2万社超のうち、A評価を得たのは全体の約2%にとどまりました。

Q. 評価の高い企業に共通する取り組みは何ですか?

A. 科学的根拠に基づく目標(SBTなど)、サプライチェーン全体での対応、水・森林を含む幅広い環境課題への対応、地域ごとのリスク評価、透明性のある情報開示などが共通点として挙げられます。

Q. 自社の評価を高めるには何から始めればよいですか?

A. まず自社の環境への影響と目標を整理し、データに基づいて開示することが出発点です。SBTなどの国際的な枠組みに沿った目標設定や、サプライチェーンを含めた対応を段階的に進めることが有効とされています。

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