CDPの質問書に取りかかると、多くの企業が最初に戸惑うのが「ガバナンス」の設問です。
「なぜ環境の調査なのに、いきなり”取締役会”のことを聞かれるの?」——そう感じた方も多いはずです。
実はこのガバナンス設問、CDPのスコアを大きく左右する”関門”のひとつです。本記事では、CDP設問解説シリーズの第1回として、ガバナンス設問の意図と、評価される回答のポイントを整理します。
※CDPの質問書・採点基準は年度ごとに更新されます(設問番号も変わります)。本記事は2024年版の公表情報に基づく解説で、設問文の逐語転載は行いません。最新・正確な内容はCDP公式をご確認ください。

① この設問は何を問うのか
ガバナンスの設問(2024年版では設問4.1など)は、ざっくり言えば「気候などの環境課題を、会社の”上の方”がちゃんと見ているか」を問うものです。
具体的には、次のような点が問われます。
- 環境課題を監督する取締役会レベルの体制があるか
- 実際に誰が実行責任を負っているか(役職・委員会)
- 気候課題がどのくらいの頻度で取締役会の議題になっているか
② スコアで評価されるポイント
CDPには「essential criteria(必須要件)」という考え方があります。これは関門(ゲート)のようなもので、必須要件を1つでも満たさないと、それ以上のスコアに進めません。
ガバナンスは、その関門の代表格です。評価される主なポイントは次のとおりです(CDP採点方法論より)。
- 取締役会レベルで環境課題を監督していること
- 気候課題が「定例の議題」になっており、ガバナンスの仕組みに組み込まれていること
- 経営層に気候に関する金銭的インセンティブ(報酬連動など)があること
- 1.5℃に整合した移行計画があること
ESG・気候関連の基礎用語は、用語集でまとめて確認できます。
③ なぜCDPはガバナンスを聞くのか
理由はシンプルです。「気候対策が、現場の一部門の努力で終わっていないか」を見たいからです。
環境課題が経営の重要事項として取締役会で議論され、責任者が明確で、報酬にも反映されている——そうした体制があって初めて、取り組みは”本気”で”継続的”になります。ガバナンスは、その本気度を映す鏡なのです。
④ 高評価企業に共通する対応の「型」
高いスコアを得ている企業の開示には、共通する型があります。
- 監督の場を明確にする:取締役会または専門委員会(サステナビリティ委員会など)が、定期的に気候課題を監督していると示す。
- 専門性を備える:気候関連に精通した取締役を置く。CDPによると、回答企業の約78%が「気候に精通した取締役が1人以上いる」と回答しています。
- 報酬と結びつける:役員報酬にESG・気候の指標を連動させる。
こうした体制を実際にどう開示しているかは、高評価企業の分析記事もあわせて参考になります。
⑤ 自社で押さえるべきこと
いきなり完璧な体制は作れません。まずは、次の順で整えるのが現実的です。
- 気候課題を誰が監督・実行するかを決める(取締役会/委員会/担当役員)
- 取締役会で取り上げる頻度を決める(例:年数回の定例議題に)
- 議論の記録を残し、統合報告書などで開示する
まとめ
CDPのガバナンス設問は、「気候を経営マターとして組み込めているか」を問う、スコアの関門です。取締役会レベルの監督・専門性・報酬連動の3点が、評価される回答の柱になります。
体制づくりは一朝一夕にはいきませんが、できるところから整え、開示につなげていきましょう。次回は「目標設定」の設問を取り上げます。
greenoteでは、CDP対応・ESG開示の実務に役立つ情報を発信しています。ご相談はお気軽にどうぞ。
よくある質問(FAQ)
Q. CDPのガバナンス設問では何が問われますか?
A. 環境課題を監督する取締役会レベルの体制、実行責任を負う役職・委員会、気候課題が取締役会の議題になる頻度などが問われます。気候を経営マターとして組み込めているかを見る設問です。
Q. ガバナンスで高く評価されるポイントは何ですか?
A. 取締役会レベルでの監督、気候課題の定例議題化、経営層への気候関連の金銭的インセンティブ(報酬連動)、1.5℃に整合した移行計画などが評価されます。CDPの必須要件(スコアの関門)の一つです。
Q. ガバナンス体制は何から整えればよいですか?
A. まず気候課題を誰が監督・実行するかを決め、取締役会で取り上げる頻度を定め、議論の記録を残して統合報告書などで開示することから始めるのが現実的です。