再生可能エネルギーの調達は、企業の脱炭素戦略の中核を担います。しかし「どこから、どのように調達すべきか」は、選択肢が多く分かりにくいのが現状です。本記事では、RE100の概要から、電力調達の主要3手法の比較、そしてPPA(電力購入契約)の基礎知識まで、実務担当者が押さえておくべきポイントを解説します。

RE100とは?参加条件と意義
RE100は、事業活動に使用する電力を100%再生可能エネルギーで調達することを目標とする国際的なビジネスイニシアティブです。2014年にロンドンで設立され、2026年6月時点で400社以上のグローバル企業が参加しています。日本からはソニー、パナソニック、トヨタ自動車など大手企業が加盟しています。
参加要件
RE100に参加するには、以下の基本要件を満たす必要があります。
- 年間電力消費量が100GWh以上(または温室効果ガス排出量が上位20%以内のセクターに属する)
- 2050年までに100%再生可能エネルギー達成を誓約する
- 毎年の進捗をRE100に報告する
RE100非加盟の中小企業でも、RE100 Japanや自治体主導のゼロカーボンシティ宣言を通じて再エネ調達を推進できます。
電力調達3手法の比較
再生可能エネルギーの調達方法は主に3つあります。それぞれの特徴・コスト・証明力を理解した上で、自社に適した組み合わせを選択することが重要です。
1. 自己発電(オンサイト太陽光など)
自社の屋根や敷地に太陽光パネルを設置して発電する方法です。初期投資が必要ですが、長期的な電力コスト削減と電力価格変動リスクの低減が期待できます。RE100の証明においても「高品質」として評価されます。一方、設置スペースが限られる場合は調達量に上限があります。
2. グリーン電力証書・非化石証書
再生可能エネルギーの「環境価値」だけを証書として購入する方法です。初期費用が低く導入しやすい反面、証書の種類によってはRE100の認定基準を満たさない場合もあります。経済産業省の非化石証書は再エネ価値を証明する公的な仕組みとして広く活用されています。
3. PPA(電力購入契約)
再生可能エネルギー発電事業者と長期の電力購入契約を結ぶ方法です。電力の物理的な供給だけでなく環境価値も同時に取得でき、RE100の証明力が高い方法として注目されています。
ESG・サステナビリティに関する最新情報をメールでお届けしています。
オンサイトPPAとオフサイトPPAの違い
PPAは設置場所によって「オンサイト」と「オフサイト」に分けられます。それぞれに異なるメリット・デメリットがあります。
オンサイトPPA
発電設備を需要家(企業)の敷地内に設置し、そこで発電した電気をそのまま使用する形態です。発電設備の所有・管理は発電事業者が行い、企業は発電された電力を一定期間(通常10〜20年)契約価格で購入します。初期投資ゼロで太陽光発電を導入できる点が最大のメリットです。ただし、屋根・敷地の貸与や長期契約へのコミットメントが必要になります。
オフサイトPPA(コーポレートPPA)
需要家の施設から離れた場所(山間部・遊休地など)の再エネ発電所から電力を調達する形態です。日本では「フィジカルPPA」(送配電網を通じて電気を調達)と「バーチャルPPA」(差金決済型で環境価値のみを取得)の2種類があります。大規模な電力消費を持つ企業や、複数拠点を持つ企業に適しています。
日本企業の現実的な取り組みアプローチ
日本では電力市場の構造上、海外と比べてオフサイトPPAの普及が遅れています。しかし2023〜2024年にかけて、経済産業省のコーポレートPPA検討会による制度整備が進み、国内での活用事例が増えてきました。
現実的な調達戦略として、多くの日本企業は以下のような段階的アプローチを採用しています。
- 第1段階:非化石証書・グリーン電力証書で即時に環境価値を確保する
- 第2段階:一部拠点でオンサイトPPAを導入し、実発電量を積み上げる
- 第3段階:大規模調達が必要な拠点でオフサイトPPA・グリーン電力メニューを活用する
まとめ
再生可能エネルギー調達は、脱炭素目標の達成とコスト管理を両立させながら進める必要があります。以下のポイントを参考に、自社の状況に合った調達方法を検討してください。
- RE100の参加要件・報告ルールを事前に確認する
- 自己発電・証書購入・PPAの3手法を組み合わせて活用する
- PPAはオンサイト(初期投資ゼロ)とオフサイト(大規模調達向け)を使い分ける
- 段階的なアプローチで着実に再エネ比率を引き上げる
- 取得した環境価値はRE100・CDP・有価証券報告書などで適切に開示する
greenoteでは企業のESG・サステナビリティ対応を支援しています。お気軽にご相談ください。
よくある質問(FAQ)
Q. PPA(電力購入契約)とは何ですか?
A. 発電事業者と需要家が、再生可能エネルギー由来の電力を長期にわたり売買する契約です。企業が再エネを安定的に調達する手段として広がっています。
Q. 企業が再生可能エネルギーを調達する方法にはどんなものがありますか?
A. 自家発電(自社設備の設置)、PPAによる長期契約、再エネ電力メニューへの切り替え、証書の購入など、複数の方法があります。コストや安定性を踏まえて選びます。
Q. 再エネ調達で気をつけることは?
A. 調達方法によってコストや契約期間、再エネとしての価値の証明方法が異なります。自社の電力使用量や目標に合わせて、適した方法を見極めることが重要です。